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魔鏡の真相
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「人間は……我々魔族をどうあっても滅ぼしたいと思うだろう……か」
……魔王ベイザーの目が寂しそうになぜか見える。
「そうだ。さっき口にすべらしたな……家畜にされたくはない」
「私とレンとイリスは300年前話し合った。そして、300年とりあえず待ってみてから結論をだそうということになった。憎しみは消えるだろうかと」
「完全には……消えないだろう。鏡を持ったエリルを襲った怪鳥はなんだったのだ? あれは……魔族だろう」
「ひとくみの魔鏡がなぜ? 私が封じられた帝都とレンとイリスが居た王国の王都に在ったと思う。あの魔鏡は……300年前の我々のちょっとした友情の証だったのだよ……。それを盗まれたら……どう感じるだろうか?」
「……友情の証……か」
「そうだ。仲が良ければ会いたくなるだろう。まして、公にはできない友情であればな」
……たしかに、わからないでもない。わざわざ敵地と近道を作る理由がないからだ。
「その友情を裏切られた……と思ったのだ。部下の暴走だが」
「……300年の間、人間側が記憶を持ち続けるのは難しい」
「わかっているよ。でもレンよ、お前は記憶を失っても変わらないな」
「別に納得したわけではない。理屈には合うと言っているだけだ」
「それで十分だ。なぁ、もう300年間をもらえないだろうか……。300年の間、魔族と人間は戦争をしなかった。それを持って魔族を信じてくれないか」
「……300年後、オレは生きていない……」
「イリスの聖女としての奇跡であれば、300年のときを渡ることができるはずだ……彼女はお前の身近にいるはずだが」
と、そのときだずっと聴いていたエリルが口を開いた。
「アルくん……。離婚しよう……。妹のエル……イリスさんといたほうが……あるくんはいいんだよね?」
彼女は精一杯の笑顔で言った。恋人であるオレがみなくても、その笑顔にムリがあるのは自明だった。瞳から……涙がこぼれ落ちそうなのがわかる。
「突然なにをいうんだ。オレがエリルを捨てて、妹と結ばれることを望んでいるとでも思っているのか?」
「……でも、そんな深い絆で結ばれた二人の間に割って入るなんてムリ……」
魔王ベイザーがそのとき意外なことを言った。
「エリル……お前は私の求婚を断った。人間の皇帝であった私の求婚をだ。それは、一生を誓った恋人がいるからだ……と思っていたが……」
「……あのときは……そう思っていたの。でも自信がない……」
……そうか……それであのときの笑顔に嘘をオレは感じ取ったわけか……。
「エリル……オレは自分がレンであろうと、君を捨てることはしない」
「……うん。そう言ってくれるとは思っていたよ」
「別れるなんて言うなよ?」
「……すまない。エリルよ。私は魔族だが人間の女性と恋をしたかったのだ……。なぜだか、わかってもらえるだろうか?」
……魔王がおずおずとエリルに話しかける。
エリルは応えない。
「……人間と真の友好関係を結ぶ、私とレンとイリスの夢が叶うと思ったからだ。だから、忘れてくれ。……迷惑な求婚をして申し訳なかった」
そう言って魔王は謝罪した。
「アルくん! 私やっぱり別れない」
突然大声でエリルがオレの名を呼ぶ。
「そうだよ、そう誓ったじゃないか」
……彼女を安心させるため、オレは彼女に精一杯の笑顔をみせた。
エリルも笑ってくれた。
こうして、魔鏡がなぜ、魔王復活の地と王都を結んでいたかの謎は解けたかに見えた。……だが、オレは勇者レンとしての記憶を取り戻すべきなのだろうか? そして、妹のエルは本当にかつて300年前に婚約したという恋人だったのだろうか。 ……それを確かめるべきなのか、悩むことになる。
……魔王ベイザーの目が寂しそうになぜか見える。
「そうだ。さっき口にすべらしたな……家畜にされたくはない」
「私とレンとイリスは300年前話し合った。そして、300年とりあえず待ってみてから結論をだそうということになった。憎しみは消えるだろうかと」
「完全には……消えないだろう。鏡を持ったエリルを襲った怪鳥はなんだったのだ? あれは……魔族だろう」
「ひとくみの魔鏡がなぜ? 私が封じられた帝都とレンとイリスが居た王国の王都に在ったと思う。あの魔鏡は……300年前の我々のちょっとした友情の証だったのだよ……。それを盗まれたら……どう感じるだろうか?」
「……友情の証……か」
「そうだ。仲が良ければ会いたくなるだろう。まして、公にはできない友情であればな」
……たしかに、わからないでもない。わざわざ敵地と近道を作る理由がないからだ。
「その友情を裏切られた……と思ったのだ。部下の暴走だが」
「……300年の間、人間側が記憶を持ち続けるのは難しい」
「わかっているよ。でもレンよ、お前は記憶を失っても変わらないな」
「別に納得したわけではない。理屈には合うと言っているだけだ」
「それで十分だ。なぁ、もう300年間をもらえないだろうか……。300年の間、魔族と人間は戦争をしなかった。それを持って魔族を信じてくれないか」
「……300年後、オレは生きていない……」
「イリスの聖女としての奇跡であれば、300年のときを渡ることができるはずだ……彼女はお前の身近にいるはずだが」
と、そのときだずっと聴いていたエリルが口を開いた。
「アルくん……。離婚しよう……。妹のエル……イリスさんといたほうが……あるくんはいいんだよね?」
彼女は精一杯の笑顔で言った。恋人であるオレがみなくても、その笑顔にムリがあるのは自明だった。瞳から……涙がこぼれ落ちそうなのがわかる。
「突然なにをいうんだ。オレがエリルを捨てて、妹と結ばれることを望んでいるとでも思っているのか?」
「……でも、そんな深い絆で結ばれた二人の間に割って入るなんてムリ……」
魔王ベイザーがそのとき意外なことを言った。
「エリル……お前は私の求婚を断った。人間の皇帝であった私の求婚をだ。それは、一生を誓った恋人がいるからだ……と思っていたが……」
「……あのときは……そう思っていたの。でも自信がない……」
……そうか……それであのときの笑顔に嘘をオレは感じ取ったわけか……。
「エリル……オレは自分がレンであろうと、君を捨てることはしない」
「……うん。そう言ってくれるとは思っていたよ」
「別れるなんて言うなよ?」
「……すまない。エリルよ。私は魔族だが人間の女性と恋をしたかったのだ……。なぜだか、わかってもらえるだろうか?」
……魔王がおずおずとエリルに話しかける。
エリルは応えない。
「……人間と真の友好関係を結ぶ、私とレンとイリスの夢が叶うと思ったからだ。だから、忘れてくれ。……迷惑な求婚をして申し訳なかった」
そう言って魔王は謝罪した。
「アルくん! 私やっぱり別れない」
突然大声でエリルがオレの名を呼ぶ。
「そうだよ、そう誓ったじゃないか」
……彼女を安心させるため、オレは彼女に精一杯の笑顔をみせた。
エリルも笑ってくれた。
こうして、魔鏡がなぜ、魔王復活の地と王都を結んでいたかの謎は解けたかに見えた。……だが、オレは勇者レンとしての記憶を取り戻すべきなのだろうか? そして、妹のエルは本当にかつて300年前に婚約したという恋人だったのだろうか。 ……それを確かめるべきなのか、悩むことになる。
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