アテンションプリーズ!ガラポンの特賞は異世界でした!?~アオイ50歳。異世界でエンジョイしろと言われても…若くないので出来ません!~

三星

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若くないのでエンジョイできません!

10:旅の醍醐味はやっぱり名物料理だよね

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「わぁぁぁぁぁ!海がとっても綺麗だねぇ!透明度の高いエメラルドグリーン……まさにリゾート!」

 あんまり綺麗だったから、下船前に船首で某豪華客船映画での名シーンの再現を一人でやっていたら、ルーに『手すりにきちんと掴まっていないと危ないですよ』と注意されてしまった……スミマセン。
 
 でもさ、その手すりに掴まらせた手を、上から握る必要はないと思う。『つい、うっかり……』じゃないよ!!

 お安い帆船もあったけど、私は船酔いが心配、ルーは『アオイが乗るなら安全性の高い方の船じゃないと駄目です!』とオカンみたいな事を言っていた。

 お互い別々の理由ではあったけど意見が合致した為、ほぼ揺れがないという、魔導石を利用した最新式の魔導船というものに乗ることになった。

 ジェットフォイルみたいっていうか……ホントに海面を飛んでいた。ファンタジー!
 
 サイズ感は近郊を周るクルーズ船くらいかな?200人程度乗れる大きさで、豪華客船とは呼べないが、ちゃんと鉄船で強度もある船舶だった


 ミトパイの街から船で出発し、向かうはダーン国の北に位置する、一番大きな人族の国“ガレット帝国”
 その中でもダーン国に一番最寄りで交易が盛んな“キシュタルトの街”へ向かう。
 中継点に当たる、この小さな漁村“パイッシュ”でキシュタルト行きの船に乗り換えの為、下船したところだ。

 漁村というだけあって、人口は500人程度と多いとは言えない。
 だけど、キシュタルトや逆にミトパイ経由でダーン国に入る際、必ず乗り換えの為に寄港する場所でもあるので、観光客や仕入れ・納品ついでに来ている商人らが多く利用していて、港付近は大いに賑わっていた。

 その為、こうして乗り換えまでの時間も多めに取り、少しでもお金を落として貰うべく、露店も非常に活気づいていた。これも彼らにとって大きな収入源の一つとなっている。商魂たくましい


「ふふ。海とアオイ、絵になりますね。アオイは山や森よりも海派なんですか?」

「ううん、別にこっちじゃないとっていうのはないよ。だけど、今は猛烈に何でもいいから魚介類を使った料理が食べたくて、テンションが上がっちゃってるだけ!」

「そうだったのですね。少し早いですが、次の乗り換えまでの時間がそれなりにありますので、どこか休めるところで昼食にしませんか?実はアオイが身体を休めていた間に、たくさん食料も買い込んでいたのです。
 ミトパイの街は挽肉のパイが有名で何度か一緒に食べましたが、アオイがあまり食べた事がなかった主にデザート系のものを、小さ目サイズで少しずつ買っておいたのです。さっぱり系の果実水もありますよ」


「ルー!すごい!!最高!!!そういえば私が作っていたから、後半は名物料理を制覇するのをすっかり忘れていたよ。じゃあせっかくパイッシュは魚介系のパイ料理が名物みたいだし、買い足して食べ比べしようよ。わぁあ、バイキングみたい!」


 バイキングってテンション上がるよねぇ。滅多に行けなかったから、行く時は元を取るべく、死ぬ気で食べたなぁ……


「……あ、や、その、アオイがいなかったので好みがわからなく……気付いたら色んな種類を買ってしまっただけなのですが。でも、お陰でアオイに喜んで頂けたので良かった。魚介系もそうですね、ずっと食べたがっておりましたし、買い足しましょうか」

「そうそう、結果良ければ全て良しだよ!早速買って来るよ!」
「あ、アオイ、一人は危ないですよ!待って下さいっ!」


***


「う~~ん!小さ目とは言ってもこれだけあると圧巻だねぇ。どれも美味しそう~!どうしようか、まずはルーが買ってくれたやつからにする?おススメとかあれば教えて!」


 とりあえず一通り買ったものを並べてみた。パイの宝石箱ですな。


「私のおススメですか?ふむ、私もあまり多くの種類は食べた事がないのですが、街の名前が商品名のミトパイのピリ辛味はいかがですか?ノーマルはもう食してますけど、ピリ辛味も中々人気らしいですよ。
 あとデザート系はハチミツが絡んだ木の実たっぷりのパイや、リンゴのパイなんかは保証できますよ」


 そういえば、ルーは木の実と果物と魔素でほぼ生きてたんだったわ!
 今じゃ何でも食べるから忘れていたよ。


「じゃあ、それは必ず食べるとして……あとさ、一種類を半分こずつして食べない?その方がお互いに沢山の種類食べられるし、好みもわかっていいんじゃないかな?」


 欲望に忠実に言えば、食べたいものが多すぎる!でも、できるだけ種類を食べたいのが本音。。。


「アオイの好みを知るのは大切ですね。そうしましょう!ぜひやりましょう!」
「いや、自分の好みも知っておこうよ。今後作る時の参考にしたいしね」

「アオイが私好みのものを……感無量です!!」
「うん、落ち着いて。まぁ食べようよ、いただきまーす!」

「そうですね。イタダキマス!」


***


「ほわぁぁぁぁぁ幸せ♡ミトパイはやっぱり看板メニューだけあるねぇ! ピリ辛味の美味しい…けどちょっと舌にピリピリ残るかな……あぁ辛っ!でもウマッ!いや、やっぱり辛っ!」

「アオイ、大丈夫ですか?果実水をどうぞ……。次はこの木の実のパイで口直ししたら良いかと」

「ありがとー……ふぅ、少しピリピリが引いたかな。甘いパイいいね!あ、でもごめん今両手ふさがってるから、そこに置い……」
「では、そのままお口を開けて、はいどうぞ」

「え?ちょっまっモガァ!!んーーんんっ!!」


パリパリッ……カリッゴリ…ポリカリ……


 はぁぁぁぁ甘ウマ~♡
 危うく喉詰まらすところだったけど、美味しかったから許す!


「口直しになりましたか?では、アオイが持っている、ピリ辛味のミトパイの残りは私が貰いますよ」

 そうだった!一気に食べれば良かったかぁ。せっかく中和されたのに!
 食べ残しを人様にあげるのはちょっと気になるんだけど、でも割ってから食べたから歯形もついていないし、ルーが食べられるならいいか


「じゃあ……ってルーもいつの間にか手がふさがってるじゃん!……ん?何その笑顔?」
「生憎と両手がふさがっておりますので、私の口にも入れて下さいませんか?」

「え~~~何か策略的なものを感じるんですけど……?まぁいいか。買ってくれたのルーだし。はい、あーーーん」


 やった後に、即後悔!めっちゃくちゃニマニマしながら食べてるよっ!相手からの要望なのに、なぜか私の方が悪い事しているような気分になるわ。
 特定のホストを囲っているおばさんの図かしら?実際囲われているのは私の方なんだけど……ヒモと化していきそうな今日この頃


「んふふ、ふれふぃれす嬉しいです♡……ふぅ、ピリ辛だと言うのに甘く感じるのはなぜでしょうか?」


 あーーーーーうん。味覚障害なんじゃないかな?もはやこっちは戸惑いしかないんですが?


「あ、お次はアオイが大興奮で買っていたホタテの貝柱たっぷりのクリームパイを食べましょう。陶器の入れ物に入っているので具沢山ですよ」

「そうそうそうそう!ポットパイに出会えるなんて思わなかったよ。しかもこっちのホタテは元の世界のものよりも3倍位大きいし。
 この食べるときにサクっとパイを崩すのが楽しいんだよねぇ!あ、ルーはパイをつける派?浸す派?私ポットパイだけは浸して柔らかくなったのが好きなんだぁ~」

「話を伺うに、相当おススメということですね?
 私は「ぽっとぱい?」は初めてですが、アオイのおススメ方法で食べてみたいですね」

「初めて?じゃあ一発目のサクっと割るのはルーが体験しないと!」
「え?宜しいのですか?アオイがやってくれて良いのですよ」

「いーから、いーから!はい、スプーン」
「はい、ではお言葉に甘えまして……」


 サク、ザク……これこれ!焼き立てだったらASMRにも出せそう。
 内側はしっとりしてるけど、表面はまだパリッと感が残っていて良かったよ。
 さぁルー、香ってみて!


「……はぁぁ、クリームソースの香りとパイのバターの香りが合わさって、これは食欲そそりますね」
「でしょでしょ、これがたまらないのよ!それにパイが蓋代わりになっているから、冷めにくいしね!
 ほらほら、早く食べてみて!!」

 そして早く交代して欲しい

「一口目はアオイがどうぞ。まずはパイなしで、お口を開けて?」


 いいのっ?ホタテでかっ!あーーーー…って、うっかり開けてしまったぁぁぁ
 私の食い意地のバカァァァァ


「……うぅっグス……れもでもふぉいふぃ~ひょ美味しい~よ~」
「おやおや、泣くほどなんですか?では、私も……うん……うん……」

 どう?どう?

「ふむ。今度は浸したパイと……うん、う~~ん!これは病みつきになりそうですね」

 え?まさかのやめられない、止まらないってやつなの……?!ちょっと待って!私、ホタテは大好物なの!それだけは、それだけは全部食べないでぇぇぇ!

 とりあえず、この少し固めのアメリケーヌソースっぽいやつにプリプリのエビが入ったパイと交換要請だ!
 ホタテのはやっぱり二個買うべきだったかっ!あとで追加購入して空間魔法でしまっておこうと固く誓う


「あぁ!すみません、想像以上に美味しくて。無知とは怖いものです。アオイ、ホタテ単体も後で買いに行きましょう。これでしたら、きっと普通に焼いても美味しいのではないですか?」

「大賛成だよルー君!!塩バターも良いし、同じクリーム系でグラタンとか?お酒と一緒に海鮮BBQとかもいいよ」

「買いましょう!その「ばーべきゅう?」とやらも、その他もみんなやりましょう!」
「おぉ!!ルーもノリノリじゃーん」


 こうして二人は待ち時間を目一杯堪能し、漁村の露店員もビックリなほど魚介類をわんさと買い漁った。


 やたらとテンションの高いエルフと人族のおばさんという奇妙な組み合わせではあったが、特にホタテのクリームパイを『ポットパイ最高!』と絶賛していて、それを聞きつけた他の客も購入しだし、あれよあれよと飛ぶように売れた。


 その後、漁港の寄り合いで、今回新作で作ったパイ包みを<ポットパイ>と命名し、名物として定番販売。
 後に季節ごとの限定味なんかも販売されるようになったとか



 ただ、二人が叫んでいた【ばーべきゅう】なるものだけは、最後まで何だったのかはわからず。
 お酒と合うのならぜひ聞いておけば良かったなぁ、と近くに居合わせていた露店員は少しだけ残念に思ったそうな。




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