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若くないのでエンジョイできません!
15:知らない方が良かった事を、知ってしまった件 ☆
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(どどどどどど、どうなってるの~~~~!?)
ぬくぬくで気持ちの良い朝だと思ったら、まさかのルーに抱き込まれて寝ていたという事態
Q:この場合どうしますか?
A:
①イケメンに抱き込まれて目覚めるなんてご褒美じゃん!と思い、堪能する
②今すぐ引っぱたいて起こす
③ルーが起きるのを狸寝入りで待ち、離れてから起きる
④忍びの如く抜け出して、夜中に見張りをしてくれた彼をゆっくり寝かせておく
⑤その他(何か良い案はないか!)
普段なら叫んで引っぱたくの一択だったと思う。でも今回の私は④だ
私が寝落ちする前に、ルーは寝ずに番をすると確か言っていた。
自分は知らない間に寝落ちした挙句、テントまで運ばせるという失態を犯しておいて、怒る権利があるのかい?ないのかい?どっちなんだい?!って胸筋に聞いたら……左の胸筋が「ない」と答えるでしょうね。
それに狭いテントだもん。もしかしたら私が寝相悪くて、ルー側へ妨害に行った可能性もあるもんね。
それならそれで、私が有罪なのか?いや、それはまずい。やはり早く抜け出さなきゃ……
「ぅ、ん……アオ、イ?起きたのですか?」
ひぃぃぃぃぃぃ!!!まずいっ逃げ遅れたぁぁぁぁ!有罪か?私が有罪なのか!?
「あああ、あぁうん!!そう、たった今!まさに、今!!ジャスト ナウ目覚めたのよ!まいったね、こりゃ」
多分顔も赤い。まさに赤べこの如くカクカク頷く私
「ふふ。そうなのですね。それにしてもアオイは少し体温が低めではないですか?
風邪を引かれるのではないかと心配で、こうして温めていたのですが、いつの間にか私まで眠ってしまいました」
なんてこった!やっぱりルーから抱き込んできていたのか!
怒るタイミングを逃してしまったじゃん!まぁでも寝落ちして運んでもらった手前、怒れる立場でもないんだけど
「体温?そうかな……高い方だと思ってたんだけど。それよりルーは大丈夫?
朝まで起きてたんじゃないの?ゆっくり支度して、朝ごはんの準備しておくからルーはもう少し寝てたらいいよ」
「いえ……もう十分寝ましたし。軽く体を動かしてきますね」
「うん、わかったよ。いつものやつだね?」
「そう、ですね」
なんだかちょっと歯切れが悪いようだったけど、寝起きは怠いもんね。
その後の朝食でも、移動中もルーはいつも通りだったから、私も違和感は気のせいだと思うことにした
***
ようやく到着しました、ガレット帝国の首都ユーロピア!!
ルーのお陰で二日半と、予定通りだった。でも、ルーがほとんど休まず走らせてくれたお陰だと思うと、感謝もあるけど、申し訳ない気持ちで一杯だ。
ここでは街を大きく取り囲む砦のような壁に東西南北それぞれに検問所があって、そこを通過すると、ようやく街に入れる仕組みになっている。
「ここが人族最大の都市かぁ……遠ぉぉぉくに見えるのがお城?初めて見た」
ドイツのロマンチック街道に行ってみたかったから、こんな感じだったのだろうかと少しだけ元の世界に思いを馳せる。とはいえ、結局実物は見たことがないのでハッキリと想像はできないのだけど。
「そういえば、アオイの国にはお城はなかったのですか?」
「私の時代にはなかったけど、昔はあったよ。でもこういう洋風なお城じゃなくて……う~ん説明が難しいなぁ。
ワノ国に似た建物があれば説明しやすいかもしれないから、もしあったらこんな感じって教えてあげるね」
「………」
「ルー?どうしたの?あ、別にお城に興味なかった?」
「……あ、あぁいえ。興味、ありますよ!ワノ国に似た建物があるといいですね。それにワノ国もですが、獣人の国や魔国なんかにも興味があるのではないですか?」
「そうだよ!獣人の国!!どれほどモフモフ天国なのかなぁ~」
「獣人の国は、少し面倒な事情もあるので、行くのであれば追々……といったところでしょうか」
「そうなんだ。魔国も怖い国じゃないなら行ってみたいなぁ。そういえば、ルーの住むエルフの里はどこにあるの?」
旅してまわるなら、どこかで里の近くを通るんじゃないのかな?
里帰りとかしないのかしら
「魔国の雰囲気は日照時間が冬場は特に短いので暗いイメージですが、怖い国ではないですよ
私の母の兄にあたる伯父が魔国のダークエルフと結婚したので、一応身内が住んではおりますね。
私の里は、実はこのガレット帝国の北の方に位置しておりまして、通常は大規模結界と隠ぺい魔法で隠されていて見えませんが、私と一緒なら入ることができますよ。気になりますか?」
「へぇ……エルフもダークエルフも同じエルフなのに、住む国は違うんだね。あ、でも人族もそこは同じか。ルーの伯父さんがいるなら従兄弟なんかもいるの?
エルフの里もさ、ここから近いなら少しは顔を見せてあげた方がご両親も喜ぶんじゃない?」
「……エルフの里も魔国も、私が行きたいと言ったら、アオイはついて来てくれますか?」
「ん?どういう事?どちらかといえば、私がルーに連れて行ってもらってる立場なんだけど?」
「それは、そうかもしれませんが……アオイが行かないのでしたら、行かなくてもいいです」
「えぇ!そんな、里帰りを私の判断に委ねないでよー。
世界旅行なんだから、行けるならどちらも行きたいよ。
それにルーのご両親にも、息子さんには大変、大変お世話になってますって挨拶もしたいし。
あっ菓子折りはなにがいいかな?」
「私の親に挨拶、ですか?そうです、ね。そうです!しましょう挨拶!!必要ですね確かに。そしてワノ国も魔国も獣人の国も全て私がお連れしますからね!」
「う、うん……ありがとう。どうせ一人では行けないだろうからさ。お願いします」
「はい!任せて下さい」
なんかよくわからないけど、いきなり元気になった……??
実家が恋しくなっていたのかな?ルーにはお世話になりっぱなしだから、彼が希望するところもちゃんと考えてあげなきゃね
でも、それはそれでズルズル先延ばしにしてるだけな気もするけど……困った
***
ユーロピアは何となく予感はしていたんだけど、街並みはヨーロッパ的ですごく素敵!
石畳の道も、統一感のある建物も……そして名物は“ガレット”だったことも!やっぱりねー
定番のハム×目玉焼き、野菜たっぷりのサラダ風、フルーツの乗ったデザートタイプ、どれも美味しかった~さすが都会!ビバ都会!
「そういえばルー、この世界って年末年始……
えっと、年の終わりと始まりを祝う風習とかってあるのかな?」
そば粉のガレットを食べていたせいか、年越しそばをふと思い出す。すすりたい
「そうですね……国によるかもしれませんね。観光目的で巡っていなかったので、若干曖昧になりますが、年の始まりに確か魔弾が打ち上がっていたと思います」
「魔弾?それって夜空に上がる、丸くカラフルなお花みたいなやつ?」
「そうです、花や雪の結晶の形、キラキラ光るタイプとあったと思います。人族の催しの中でもこれは美しかったので好きでしたね」
「へぇ……花火と似てるっぽいなぁ。いつか見たい」
「アオイは<転移>魔法が使えるじゃないですか。ここにはもう訪れたので、転移を使えばすぐに来れますよ。機会があれば一緒に見に来ましょう?」
「うん、タイミングが合えば。
でも、習得したらすごく便利だよねぇ転移魔法って。まぁ行ったことがあるところ限定だから、結局は一度は全てまわないとなんだけど」
「行かなければイメージできませんからね。こればかりは仕方がないですよ」
花火かぁ、故郷の夏の花火大会も綺麗だったな。もう二度と見れないけど……
***
季節はもう夏真っ盛りの7月……も瞬く間に越え、ユーロピアに滞在して三ヶ月半ほどが経った。
私は観光しまくり……ではなく、現在ベッドの上の住人。なんか計画と全然チガウ!
『今日のお花はアオイの好きな、美味しいお花ですよ』と言って、クレープの有名店【プリムローズ】の店名がついた、【プリムローズの花束風クレープ】をリッチなお茶請けに出され、もちゃもちゃと食べている。
うん。一番人気なだけあって美味しいし、白、黄、ピンクのカラフルなクリームも、プリムローズに似せて作られているこだわり様。食べるのが勿体ない……とはいえ、花の部分はもう胃の中ではあるが。
初めて行ったときは売り切れていたので、ルーが予約しておいてくれたらしい。やはり、デキる男は違う。
そして、彼が入れてくれたミントティーを優雅に啜る……
(あぁ、暇だ)
「ねぇルー、今は全然眠くないから大丈夫だと思うんだけど……?」
―――カチャン。
いつも優雅な所作で紅茶を飲む彼が、珍しく音を立てて、カップをソーサーに置いた。
「ダメです。アオイの身体は今、とても疲れている状態なのです。先日もそう言って散歩に行き、歩いている途中で眠くなって、私に運ばれたのは誰ですか?」
「はい、私です……」
ぐうの音も出ないとはこの事か。これはだいぶ怒っていらっしゃる。
しかも、おかわりのミントティーが……めちゃくちゃ濃いめなんですが。。。地味に責める
オカンは ぷんすこモード発動中ですね。反省します、、、にがっ
「でもさぁ、一日中ベッドの上はさすがに辛いんだよ~!絶対筋力も落ちるし。クレープは最高に美味しいけど、動かず食べていたら太っちゃうよ!
せめて本とか読みたい……。お願い!本を買って来てくれたら大人しくしているから、ルー何冊か買ってきて!」
「……はぁ、仕方ないですね。その代わり私が帰るまでしっかりベッドの上ですからね。
約束を守らなかったら……」
「はい!ルーの膝の上で一日過ごします!絶対嫌なので、ベッドから動きません!」
とりあえずお財布巾着をスッと献上しておく。この国の本って、まだまともに読んだことがないから楽しみだ。
「……やや複雑ではありますがいいでしょう。では良さそうな本を何冊か買ってきますね」
と言って即買いに行き、即帰って来たルー。正味30分あった?はやっ!
クレープの時は15分くらいで帰ってきたけど、行列に並ぶはずなのに、どうやって購入したのだろうか??
「うわー早いね、ありがとう!」
「アオイを一人にするのは心配ですからね。適当に見繕ったのでジャンルは様々ですが、気に入ったものがあれば続編もあるので買ってきますよ」
どれどれ……
<エルフ少年の150年漂流記>
ふんふん、もはや漂流の粋じゃないよね?本の厚みが半端ないよこれ
こっちは雑誌系かな?
<美容のことはエルフに聞け!教えて!?シルバー姉さん>
……ちょっと興味あるかも。あとでこっそり見ようかな。
やっぱり美の代名詞なんだねエルフって
<1001年目のプロポーズ~例えあと一年の寿命だとしても、君といたい~珠玉のラブロマンス>
何か聞き覚えあるような……って言うか1001年も君たちは何やってたんだっていう。
のんびりにも程があるんじゃない?こっちは逆に珠玉のラブロマンスなのに、かなり凝縮しているのか、案外薄い本。1001年分の想いは、案外薄いのか……?
<世界の中心でエルフと叫ぶ>
いや、好きにSAY!これジャンル何!?本にする意味あるのかな?ええ!シリーズ物なの?!
魔国の中心で、ワノ国の中心で……とりあえず叫んでるって話だね。はい、これはパス
<エルフ族が教える!今日から使える花言葉>
おぉ、花言葉ねぇ。ルーが教えてくれるのもあれば、知らないままのもあったよね。
これ読もうかな
「ところでルーさん。これって全部エルフ族に偏った本しかないけど、この世界の本はそういうものなのかな?」
「気に入る本がなかったでしょうか?私は150年漂流記がおススメだったのですが。
絶対に帰るぞっていう少年の諦めない心に胸打たれるというか……あっネタバレはいけませんね。
他は店員が一押しだと言ったものと、花言葉は以前知りたがっていたので買いました。たまたまエルフ寄りになっただけですよ」
変わり種は店員チョイスか……そんな偶然あるのかな?まぁいいか。
漂流記は気になるけど、ルーから掻い摘んで話を聞く方が良さそうかな。
厚みが広辞苑くらいあるしね。そして重い
「そうなんだね。じゃあ、まずは花言葉のを読もうかな」
ルーの手作りの家で毎日花が飾られていたけど、あの時も気分でって言ってたから意味はあったんだよね。載ってるかな?ちょっとした興味本位でページを捲ってみた
あっすごい、50音順みたいな感じで索引がついてる!
流石に全部覚えてはいないけど、馴染みある花の名前くらいは覚えている。
(初めは何だったかな……あ、ライラックだったね。ラ、ラ、ラ……あった!)
●ライラック……初恋の香り
へぇ、初恋の香りかぁ、例えがいいね。甘く香る匂いが初恋っぽいのかな?
あとは、え~っと、リ、リ……リナリアっと
●リナリア……この恋に気付いて
群生していないと確かに見つけづらいかもしれないけど、お庭の名脇役で好きだなぁ
あとは……
●ハナミズキ……私の想いを受け止めて下さい
ふんふん……ん?初恋・気づいて・受け止めて……いやいや、たまたまだよね?
もしかして……今日の美味しい花も…?
●プリムローズ……あなたなしでは生きられない
あなたなしでは……って。『私のその日の気分です』って、爽やかとか、優美とか、元気、健康とかそういうものだとずっと思ってたのに……
しかもこの本、よく見たら<恋の基本編>って書いてあったわ!
―――パタン、と本を閉じる
(だめだめだめだめ!!!!これは見ちゃいけなかったやつ!世の中知らない方が良いこともあるってやつだよ!)
「アオイ?顔が真っ赤ですよ!熱でもあるんじゃないですか?!」
「ひぇっ!ななななないよ、全然元気、めっちゃ元気!なんでもできる!」
少しひんやりとした彼の手が、おでこにそっと触れる
「一応確認しますよ?う~ん熱は確かにないようですね……。ん?そういえば花言葉は何の花を調べたのですか?」
「え?花言葉?あ~なんだったかなぁ……?」
誤魔化すものが思いつかないから、表紙の挿絵から適当に指差しておこう
「こ、このピンクの胡蝶蘭とか、あ、これとかこれとか……?」
「ピンクの胡蝶蘭は『あなたを愛しています』」
「へっ?」
「ペンステモンは『あなたに見とれています』」
気付けばラズベリー色の瞳がジッと私を見つめていた
熱を測る時にベッドに腰掛けていたので、肩と肩がつきそうなほど、その距離は近い
「ジャノメギクは『私を見つめて』」
「あ、あの、ルー?」
(まずい……目を逸らせない!)
気付けばルーの左手が私の肩にまわっていた。
少しずつ、彼の顔が近づいてくる
「そしてヤドリギは……………『キスして下さい』」
肩を引き寄せられ、右手が頬へ添えられる
互いに目を逸らさないまま、どちらからなのかはわからない
まるで引力が引き合うように、気づいたら唇が重なり合っていた
初めての口づけは、仄かにミントティーの香りがした……
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