アテンションプリーズ!ガラポンの特賞は異世界でした!?~アオイ50歳。異世界でエンジョイしろと言われても…若くないので出来ません!~

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エルフの里~リイルーン~

25:アトリエ ハイドアウトのジグミン&ミノモン ☆

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******


 翌日、早速アイさんへ相談を持ちかけに行った私。
 ルティは多分また吊し上げられてしまうと容易に想像できる為、泣く泣くお留守番。今日はラトさんと久しぶりに鍛錬に励むとか。

 アイさんからは思った通り、良い反応を頂けて、ついでにシルバーさんも参戦することになった。


「――…というわけでして。お二人にこの『水着』の素材に使えそうなものを教えて頂きたいのと…あ、水着デザインの参考資料はこれなんですが、できれば作って頂けるところも紹介して頂けたらと」


 私は空間魔法に入れっぱなしですっかり忘れていた、ファッション雑誌を参考資料として差し出した。


「や~ん♡アイ、この本すごぉ~い!その『ミズギ』って言うものも、セクスィなものからKawaiiものまであるし、それに洋服、ドレス、夜着、そして下着よぉ!あぁインスピレーションが掻き立てられるわぁ!!」


 すごい……姉さんが言うと、セクシーが、なぜか総合結婚情報誌に聞こえる。確かに特集ページにドレスも載っていたけどね!どんだけ!?


「アオイちゃん、本当にこんな貴重な本を譲ってもらっちゃって良かったの?とても貴重なものでしょうし、元の世界の思い出の本ではないの?」

「いいんです。正直、今日まで存在を忘れていたくらいの雑誌ですし、私が持つよりも、美のスペシャリストであるお二人の方が絶対に有効活用できると思いますので」


 実は機内での暇つぶしの為に購入した雑誌。ほぼ読まずに寝落ちしていたので、特に思い入れもない雑誌なんです……とは言えない。


「やっだぁ~そんなこと言われちゃったら、良い物作るしかないじゃない?ねぇアイ」
「そうね。でも、私思いついてしまったのだけど、今回はアレが役に立つと思うのよねぇ~うふふ……」


「アレ、とは……?」



***



<アトリエ ハイドアウト>

 その名の通り、隠れ家的な工房のようだ。連れて来られなければ全くわからないと思う。


 私の目の前には、スイカくらいの大きさのクモっぽい虫さんが入っているという白い筒状の袋、と言うか巣……え、職人さんは?


「アオイちゃん紹介するわね。彼はここであらゆる生地を専門に作っているオニグモと地蜘蛛のハーフのジグミン。
 こちらの彼女はかなり珍しい異種族ハーフで、繊細だけど、かなり丈夫な糸の作り手のミノムシとダーウィンズ・バーク・スパイダーのハーフのミノモンよ」



 クモ!?あと、ダーウィンズ…え、なんて?あっミノムシ以外はクモなんですね……なるほど。ミノムシとクモの恋愛が成立することにも密かに驚きだ



 そして名前が……イメージ的にはジグミンが女子っぽくない?ミノモンは男子的…というかオジサマっぽいというか?
 あと、ジグミンは地蜘蛛の巣の中にいるから、顔見えないし(シャイなの?)
 そしてミノモンは……えと、どこにいるの?


「アイさん、ジグミンさんはその……巣?の中にいらっしゃるんですよね?ミノモンさんは……?」
「あらやだぁ~ミノモンちゃんは父親譲りで擬態が得意だから、森の中だとわかりにくいのよねぇ。
 ここよ、ここ!」


 え?どこ?アイさんの指の先を辿る。


 じーーーーーーー……うわっ本当にいた!!しかも案外そばにいたし!!背景に溶け込み過ぎてない?!
 でもよく見たら、ちょっとオシャレにみのを帽子のようにかぶってて、どんぐりちゃんみたい!


「すみません!近くにいたのに気づかなくて……って、そう言えばお二人とは会話はできるんですか?」


 そもそも、クモって話さないよね?アイさん達はどうやって意思疎通を図っているのかな?それにしても私、一部の虫以外なら平気なタイプで良かった。じゃなければ倒れてるだろうな……


「この子達こう見えて結構おしゃべりなのよ~。念話を使ってお話しているのよ」

「そうよ、この子達もオシャレ大好きだから、いつも『次の流行は何がくるか』なんて話していると、ついつい話し込んじゃって朝になってたなんてザラなのよ~。ホント困っちゃうわぁ~友へ投げ~♡」


 流行談義でオールナイト!!美への飽くなき探求心にリスペクト。
 そして巴投げってTO萌え以外にも活用できたのか!?


「へぇ、念話って便利なんですね。みんな使えるものなんですか?私にもできるかなぁ」
「そうねぇ、基本的に人族以外の魔力が高い者ならたいていは使えるけど、人族は聞いたことないし、使えないのかもしれないわね。念話自体はそんなに魔力消費もないのだけれど」


 そっかぁ便利でいいなとは思ったけど、誰でも使えたら無言ばっかりになっちゃうか


「残念ですが、ジグミンさんとミノモンさんへの通訳はお二人にお任せしていいですか?」
「もちろんよ。まずはこの子たちが作っている素材をアオイちゃんに確認してもらいたいの。全く同じではないと思うけれど、特徴を聞いた感じではイケそうかなって思ったのよね」


 さすがアイさん!伸縮性があって、身体にぴったりフィットする素材ってだけで気づいちゃうなんて。
 そして誘導されながら、ジグミンさんとミノモンさんの作業所へ連れて来られた。
 
 アトリエの裏手にある、透明度の高い川には、まるで京都の友禅流しみたいに、色とりどりの反物のような生地が浮かんでいた。


「す、ご……い」


 クモさんの作る生地ってなんだろう?なんて、ちょっとなめていた自分を恥じたい。これはもう芸術の域だ。アイさんやシルバーさんが薦めるのも頷ける。
 
 ワノ国での着物技術を参考に、エルフの里仕様にも作れないか試行錯誤している最中と言っていたけど、見た感じでは十分完成形では?という出来栄えだった。


「そうでしょ?かなりKawaiiわよねぇ!でも、これだと絹のような肌滑りとか、柔らかさに欠けていて、ふわっとなびかせるとか、透け感を出すには、まだまだなのよねぇ。
 でも『ミズギ』は透け感はむしろいらなくて、ふわっとさせるよりはぴったりフィットさせたいのでしょ?どうかしらね?」


 見本生地を渡され触ってみる。……これ……いけるんじゃない!?


「これ……これだと思います!これで作れると思います!!すごい伸び縮みもあって良さそう~」

「あらぁやっぱり?さすが私よね!ふふ。じゃあ早速今日中に試作品を作ってみましょう!試作品だから一番作りやすそうなデザインで作るわね。サイズはわかっているし、夕方には届けてあげられるわよ。うふふ」


 え?今日の今日で作れるの?あ、あの…生地なるべく多めで!お腹出ないやつを希望です!


「ありがとうございます!楽しみにして待っていますとジグミンさんとミノモンさんにもお伝えください」
「ええ、二人もこの生地の使いどころに悩んでいたから嬉しいって言ってるわよ!全ての脚を使えばすぐできるから、ルーティエの分も一緒に作るそうよ。楽しみにしていてね」


 それは助かる!彼にはタオルを巻いてもらう?とか、着古したハーフパンツを代用してもらう?とか悩んでいたんだよね。そもそも着古しってあるのかすら謎だけど。


「はい、宜しくお願いします!」


 プロ集団の中に素人は邪魔になる。デザインはサプライズにしたいからと言われ、私だけ先に帰ることに。ちょうど里内を見回り中のコーディエさんに送ってもらったので、迷わず安心だ。
 普通には話すんだけど、他の人達が更に話すせいか、一番寡黙な方という印象。それでも「父」という貫禄や包容力を感じる素敵なオジサマである。
 
 
***


 夕方に差し掛かる頃、予定より早くアイさんシルバーさんが試作一号を届けに来てくれた。
 いつもならそのまま『試着よ、試着~』と言われそうなものなのに、なぜか二人は箱を渡すなり、『後日、感想を教えてね~』と言って帰って行った。やだ、なんで?怖い!
 
 一応作って用意しておいたプリンだけは渡すことができたけど、『直前まで見ちゃダメよ』と言われ逆に気になる。


「ただいま……あ、アオイ!思ったよりも早かったのですね」


 そうこうしている間に、ルティもちょうど帰って来た。良かった、開けずに済んだよ。


「おかえり、ルティ。お疲れ様!」


 ルティもいつもより汗を掻いていたけれど、当然<汗臭い状態>なんて彼には存在しない。なんならシャワー浴びた後くらいの爽やかさを醸しているので羨ましい。
 御年400歳、加齢臭はいくつからですか?


「そうですね、久しぶりに手合わせもしましたので。ユーロピアで少し引き籠った分、やはり少し勘が鈍っていたみたいです。兄上に指摘されて、指導して頂きました」
「そうなんだねぇ……あの期間でも勘が鈍ってしまうなら、やっぱり私は戦いに向かないね」


「いいのですよ。その為に私がいるのですから。ところで、その箱はなんですか?」
「あっこの箱は水着が出来上がったからって、さっきアイさん達が届けてくれたの。ルティの分もあるし、どうせシャワーを浴びる予定なら……あの…えーっと、着替えて一緒に、入る?」

「~~っっ!?すぐにお湯を張ってきますっ!」


***


 ルティにお湯を張ってもらったので、とりあえず身体だけ先に洗わせてもらって、着替えたら呼ぶことに。そして、目の前の箱をついにオープン!!

「……スク水はそもそも雑誌に載ってないか……これは、、、一応ビキニかな……?」

<恋人たちの水着特集>が確かあった気がするけど……数ある中からこれをチョイスか。
 ホルターネックでフロントツイストビキニでもビスチェタイプでお腹は見えない。下は、サイドが太めの紐で結ぶタイプ。上下とも柄はなく、シンプルなライトグレー。
 
 ビキニとはいってもしっかり布地は多めに取ってくれている方だし、下はパジャマの短パンとそんなに足の見え方が変わらない感じかな?
 
 そもそも生地も貴重なものだもんね。タダで作ってもらって文句は言っちゃいかんよね、うん。


 とは言っても、前世では一度も着たことなかったから『若い内に一度くらい着てみたら良かったなぁ』と、確かに憧れたりもしたけどさ!!でもまさかすぐに出来上がるとは思わず、覚悟もしていなかったわけで……
 
 あぁどうしよう、今更『延期してもいい?』って……言えるわけないよね。ルティもめちゃくちゃテンション上がっていたし。


「ハァァ……覚悟を決めるか、私っ!着てみたかったんだから夢が叶ったんでしょ?それに見せるのはルティだけだし、そう思えば大丈夫!似合ってなくても平気だ!!」


***


「ルティ?お待たせ。もういいよー」


 顔だけ脱衣所からひょっこり出してルティを呼ぶ。彼は先に着替え、リビングで寛いでいるかと思いきや、90度の姿勢で目を閉じて正座していた。面接会場か何かですか?『次の方~』みたいな。


「あ、準備できたのですね?すみません、少々精神統一をしておりました。これで多少は衝撃を緩和できるといいのですが……」


 衝撃緩和とは?意味不明なことを言って、こちらへ向かってくる彼。お風呂は修行の場ではなくて、リラックスする場なんだけど


「あ、ルティも水着似合うね!すごくカッコいい」


 スタイルは言うまでもなくだが、細く思えた身体は案外がっしりとしていて、着やせするタイプみたいだ。水着は黒から徐々にライトグレーにグラデーション状になっているハーフ丈で、色白の彼によく似合っていた。


「そうですか?ありがとうございます。アオイの水着姿も見せてくだ……」


 ちょっと恥ずかしいけど、二人だけだしね。どうかな?……
 あれ?両手で顔を覆って天井向いてる。しかも何かブツブツ唱えてない?


「ルティ、これ私には似合わなかった?私はもっと下も布地があった方がいいと思ったんだけど、貴重な布みたいでね。それに試作品だって言うから……」


 全てを言い終わる前に、肩をガシッ!っと掴まれる。なにごと!?


「アオイっ!!!こ、こここここれは、本当にアオイの世界では、当たり前に着ていたものなのですか?美しいものは見せる主義のエルフですら、こん、こんなほとんど下着のようなものっ」

「そっか……やっぱり下品に見えるのか。じゃあ、やっぱりこれはもう着ないように……」
「最高です!!」


 えーー!?180度意見が変わってない?『こんなものを』みたいに言ってなかった?いいの?


「全然、全く、これっぽっちも問題ありません。アオイの良さが前面に、もう前面にも後面にも、これでもか!というほど出ておりますし、せっかく作ってもらったのでしょう?
 アオイが着なければ母上達も悲しみますよ。ほら、足元も滑るといけませんからね、私がエスコート致しましょう」


 前面と後面に出る良さってなに?あと、お風呂場までエスコートはいらないと思う。たった数歩で着くし。
 でもそうだよね、アイさんとシルバーさん、ジグモンさん、ミノモンさん、みんなが一生懸命作ってくれたんだもんね。


「うん。ルティが似合うって言ってくれるならいいや。ふふ、前世では着たことがなくて、実はちょっと憧れてたんだぁ」


「それを聞いて安心致しました。前世であろうと、アオイが他の男性の前でこんな姿をもし晒していたのなら、私も正気を保てたかどうかわかりませんからね。では、私が初めての男となるわけですね?」


 若干台詞が不穏な上に、初めてのって言い方が……まぁ間違えてはいないんだけどさ。って言うか、今更、学生の頃は水泳の授業で着てました……とは怖くて言えない。


***


 浴槽に入ったら思ったよりも深くて、私は彼の膝の上に座って入っている。こうするとなぜか高さがちょうどいい

「ふぅ~~お風呂とはとてもいいものですね。まるで……天国のようです……」
「ふふ。そう、極楽、極楽って、天国みたいなこと言うもん。間違ってはいないね」

「胸辺りまでぬるめのお湯を張って、1時間くらい半身浴なんかもしていたなぁ」
「なんと!ぬるめであれば、1時間も一緒にお風呂に入れたのですか?次はそう致しましょう」

「え、次?一緒に入るのって今回だけじゃないの?水着も洗い替えとかないし……」

「え、どういうことです?まさか、たった一回きりの話だったなんて……これから私は何を楽しみに長い人生を生きて行けばよいのか……もはや希望が見出せません。……すみません、たかだかお風呂を作ったくらいで厚かましいお願いでしたよね」


 えぇ……なんか最近、彼のやり口がどんどん遠慮なしにというか、むしろ姑息になってきたように思うんだけど気のせい?水着なんていくらかかってもいいから何着か買いましょう!みたいになりそうだな


「う~ん。でも一人でゆっくり入りたい時もあるから、そういう時に一人で入らせてくれるならいいよ」
「はい、それで十分です!ありがとうございます!!」


 そう言って、後ろから抱き締めたまま、肩の辺りに頭をぐりぐりしてくるルティ。喜んでいるならいいか。
 

 さて、そろそろ逆上せそうだから先に出てもいい?と彼に声を掛け、お風呂を上がった。
 彼は随分お風呂を気に入ったようで、私が着替え終わっても入ったままだった。
 

 ようやく出てきたと思ったら『お風呂とは、入る前の覚悟と、入ってからの忍耐、精神力が試される場所でもありますよね……』とよくわからないことを呟きつつも、どこかスッキリとした感じに見えたし、サウナじゃないけど彼なりに「整った」のかもしれない。



 このルティも大絶賛だった水着は、里内でもすぐに話題を呼び、爆発的大ヒットとなった。
 ジグモンさんとミノモンさんのアトリエも連日大忙しで、嬉しい悲鳴をあげているとか。こちらがお世話になったのに、むしろお礼をしたいと言い、別のデザインの水着セットを5着もプレゼントされた。
 


 合計6着の水着がある……一週間の内、一人で入れるのは一回と言うことなのだろうか……。





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