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第11話 初めてのスキル
しおりを挟むあれから、公園でお弁当を食べて家に帰り、今はエイシスに言われて瞑想をしている。
昨日と違うの点は、体内にある魔力を感じ取る練習を兼ねていることだろう。
目を閉じて心臓の脈動を聞きながら、血液の循環を意識する様に体内にある魔力を身体中に巡らす。
そんな事をエイシスが言ってたけど、不確かな存在の魔力を意識するということは意外と難しい。
『マスター、ダメダメですネ』
「煩い!あるかないかわからない魔力なんてものを意識できる方が異常なんだよ」
何回か挑戦しているのだが、ことごとく失敗している。
エイシスは、呆れてものが言えない、という雰囲気だ。
誰だって自分の身体の中がどうなってるか知ってる人は少ないと思う。
心臓とか胃、または腸などは意識することはできるよ。
脈動はわかるし、食べればお腹が膨れるし、お腹が痛くなればトイレに駆け込むし。
でもね、肝臓とか腎臓、膵臓、他にもいろんな臓器があるけどわかる人っているの?
「お~~今日は膵臓が調子いいぞ」とか言ってる人、聞いた事ないけど。
『お酒を飲んでる時、肝臓が調子いいわ、って言っている人はいます』
「それとこれは別の意味だよ!」
魔力なんてまして意識しずらいっていうか意識できない。
エイシスが言うには、この世界の人間でも少なからず魔力は持っているそうだ。
そんな事急に言われてその魔力を知覚できる人っていないと思うよ。いないよね。
『仕方ありませんね。マスターの愚痴を聞いてるだけで気が滅入ります。私が魔力を操作して動かしますので意識してみて下さい』
「そんな裏技あるんだったら、初めからやろうよ」
『何でも私に頼るようではマスターの為になりません。では、動かしますから意識してください』
エイシスがまとも風な事言ってたと思ったら、いきなり身体の中がグニョグニョし出した。
「待て、ちょっとストップ!」
『何ですかマスター。今いいところでしたのに』
「ドラマの最終局面を邪魔したような言い方しないでよ。身体の中がグニョグニョ動いて気持ち悪いんだけど!」
『魔力を動かしているのですから当たり前です。続けます』
「あっ、まって。あ~~気持ち悪い」
身体の中の無数のうなぎが這いずり回ってる感じがする。
何で、うなぎに例えたかと言うと僕が鰻丼が好きだからだ。それ以上の意味はない。
「あああああ、何これ?」
『それがマスターの中にある魔力です。何度も言ってますよね。バカなのですか』
エイシスに僕の身体の中の魔力を動かされている。
気持ち悪い感じは今も同じだが、何だか体が温かくなってきて次第に快感に……
「そんなわけあるか!気持ち悪いままだわ」
『一人で突っ込み入れて遊ばないで下さい。もう、魔力は意識できてると思いますので私が動かすのはやめにします。マスターは、この感覚を忘れずに自分でできるようになってください』
「ふう~~、治ったあ。はい、はい。わかりましたよ」
『右手だけに集中させたり、足だけに集中させたり、身体全体に行き渡らせたりと、やる事はたくさんあります。これが出来なければ魔法を自由に使えませんから精進してください』
エイシスの要求は高い。
言われた通り、僕は夕方までその魔力操作を続けたのだった。
◇◇◇
《ポン、スキル魔力操作を習得しました》
エイシスとは違う女性の機械音が脳内に響いた。
もう、外は真っ暗というか真夜中だ。
夕方までエイシスに言われた通り、一人で魔力を動かし続けた。
エイシスが要求する身体の一部や全体に巡らす操作はできなかったが、自分で動かせている感が気分がいい。
気持ちは悪いままだったけどね……
夕方、一旦やめてランニングに出かける前に茜さんが作ってくれたお弁当箱を柚木家に届けた。何故か僕が早退したことや病院に行った事を知っていたけど「異常なし」と医者に言われた事を話したら、安心してくれた。
おそらくチーちゃんが話したのだろうけど、何で知ってるんだ?
そのチーちゃんは、友達と一緒に寄り道してくると連絡があったらしい。
友達と遊ぶだと~~リア充め……
そんな事を一瞬思ったけど、人は人と割り切ってランニングに出かけたんだ。
そして、お風呂に入って途中で買ったコンビニのお弁当を食べて、瞑想しながら魔力を操作してました。
そして、やっとです。
何かスキルを覚えたらしい。
『はあ~~やっと魔力操作のスキルを習得しましたね。マスターえらい、えらい。ふう、ねむっ……』
「おい、もっと感動しろよ。ここまで、気持ち悪いのを我慢して身体の中のうなぎと戦ったんだぞ。ってか、エイシスって眠気あるの?」
『はい、はい。真夜中なのにテンション高過ぎです。何日も寝てなくてドーパミンがドボドボ溢れた廃人ゲーマーみたいですよ』
「どっからそんな知識得たんだよ」
『この世界にもマナはあります。魔法が廃れ科学が発展したせいでその量は微々たるものしかありませんが、マナがあればそこから知識を得ることができます。つまり、この世界の事は何でも知っています』
エイシスが目の前にいたら、きっとドヤ顔してんだろうな。
何か腹立つ……
『ステータスでも表示して一人で喜んでいて下さい。私は寝ますので……ぐーぐー』
寝息がわざとらしい。
でも、初めてのスキルだ。
確認しないわけないじゃないか!
【ステータス・オープン】
____________________________________
御門 賢一郎(15歳) 人間? 性別 男性
職業 高校生(1学年) 大賢者(仮)
Lv1
HP100
MP100
STR(力量)100
DEX(器用)100
VIT(防御)100
AGI(敏捷)100
INT(知力)100
MMD(精神) 10
LUK(運) 10
CHA(魅力) 68
オリジナルスキル
※大賢者(賢者の石 解放率0・8834%)
【叡智システム】呼称 エイシス
所持スキル
魔力操作 Lv1(NEW)
________________________________
おおーー!魔力操作のスキルがある。
レベル1って事は、練習すればこのレベルが上がるのか?
それよりも精神が9から10に上がっている。
以前より人と話す機会があったからか、それとも瞑想のおかげ?
まあ、順調に進歩してるって事で、僕も寝ますか。
大賢者への道はまだまだ遠い。
◇◇◇
「ピピ、ピピ、ピピ、ピピ、ピピピピピピピ……」
「あ~~、もう、煩いな~~!」
鳴り響く目覚ましを止めて、また布団に潜る。
『マスター、ランニングに行く時間です』
脳内に響くエイシスの声。
魔力操作は体内の魔力を動かす為、結構疲れる。
今日は土曜日で学校は休みのはず。
もう少し寝てても文句はないよね。
『マスター、朝です。10…9…8…7…』
エイシスがカウントダウンを唱え始めた。
嫌な予感がする。
「そのカウントダウンって……」
『ええ、お仕置き用です。……4…3…』
「わかった。もう起きたから、起きてるでしょう」
『ええ、マスターの起床を確認しました。朝のトレーニングメニューを消化して下さい』
「わかった。着替えて走ってくるから」
全く、こんな事いつまで続くんだよ。
『マスターが立派な大賢者になるまでです』
「ですよね~~」
ランニングに出かけて、腕立て、腹筋などいつものメニューをやりシャワーを浴びる。
1時間ほど魔力操作の練習をして午前7時半、食パンを齧って朝食終了。
「食材を買って自炊しないとダメだな」
入院前はこまめに自炊をしていた。
料理研究家の母親から小さい時から料理は仕込まれていたので、作るのは苦にならない。退院後は、忙しくてその機会が無かっただけだ。
「野菜がないな。肉類も補充しないと……」
『マスター、野菜は庭先にある畑で育てたら良いと思いますよ』
確かにエイシスの言う通り、畑はお祖父さん達が亡くなってから作物を作ってないようだ。茜おばさんに言って、畑を貸してもらおうか。
「でも、野菜を育てた事ないよ。素人でもできるものなの」
『簡単に育つものから始めれば良いのでは?今の時期だと、ナス、ピーマン、トマトなどでしょうか』
「そうなんだ。採れたてのトマトなんて瑞々しくて美味しいんだよね。お祖父ちゃんが生きてた頃、もらって食べたけどほっぺが落ちそうなほど美味しかったイメージがあるよ」
『では、食材を買いに行く時、種か苗も一緒に買いましょう』
「よし、そうと決まれば茜おばさんに言って畑を貸してもらおう」
僕は畑に野菜が一杯になっている様子を想像しながら柚木家を訪ようとした。
その時、スマホにメッセージが入る。
【姉】……………
「身体の調子はいかがですか?」
「退院したと茜さんから聞きました」
「お見舞いに行けなくてごめんなさい」
姉の凛音から続け様に3つも連絡がきた。
今まで無視しといてどういうつもりなんだろう?
俺はそのメッセージを読みはしたが返信しないでスマホをポケットに入れた。
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