この世界の裏側で誰かが何かをしている〜最強のモブと自重出来ない美少女双子妹〜

涼月 風

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第ニ章

第21話 校外学習(1)

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 今日は、校外学習の日だ。
 場所は、上ノの美術館。

 妹達と同じ時間に家を出たので、早く着き過ぎた。
 俺は、仕方なく空いてるベンチに腰掛けのんびりと時間が来るまで待つ事にした。

 こういう暇な時間は、スマホで小説投稿サイト『小説家になってやろうじゃねぇか』の投稿小説を読んでいる。

 里でいた頃は、街に出た時に密かにラノベを買っていたが、最近では、このサイトにハマっていた。

「うん、うん。何でみんなこんな面白い小説書けるんだろう……天才かな? 」

 世の中、天才が溢れているようだ。

 俺は、異世界転生ものが好きだが、最近では文芸作品も読んでいる。恋愛ものとか学園物とか、俺とは違う種類の主人公が織りなす物語が好きだ。

「流石、人生が約束されているような人間は、女子達から人気があるなぁ」

 勿論、小説の中の話だ
 日陰で育った人間が、ある日突然モテ期に入る感じの小説は好きではない。

「モブはモブらしく生きないと、モテてはいけないのだ」

 それが持論であった。
 決して主人公になってはいけない。
 そしたら、もう、モブではなくなっているのだから……

 すると、子供の声が聞こえてきた。
 それもたくさんだ。

 スマホから目を逸らし周囲を見渡すと、遠足らしき小学生の子供達が広場で並んで集合していた。

 話の内容を聞いてみると、近くにある動物園に行くようだ。

「動物園があるのか? 陽奈が喜びそうだな」

 動物好きで、おまけに意思疎通ができる陽奈にとっては天国のような場所だろう。

「時間があるときにでも連れてきてやろう」

 そう思いながらまた、スマホに目を向ける。
 すると、L*INのメッセージが入っていた。

 瑠奈からだ。

~~~~~
『兄様、如何お過ごしですか? 』

  如何って、普通だしな……
 それに、さっきまで一緒にいたのに、返事のしようがないよ。

「普通だよ」

『普通とは、とても普通、普通の普通、やはり普通のどれなのでしょうか? 』

 それに意味あるんかいっ! 
 瑠奈的には思うところがあるのかもしれない。

「普通の普通だよ」

『それは大変です。今すぐ私がそちらに向かいます』

 イヤイヤ、来なくていいから……

「大丈夫だよ。何も問題ない」

『いいえ、普通の普通でしたら大変です』

 何の意味があるのかな? 
 ここはスタンプで誤魔化そう……
 俺は熊がのんびりしている姿を送った。
『大丈夫だよ~~』と言うロゴ付きだ。

『熊が兄様に、否、兄様が熊に……』

 スタンプ知ってるよね。前に瑠奈も送ってきたことあるし……

 そろそろ切り上げよう……

「集合時間だ。また、連絡する」

 当たり障りのない文言だ。
 これなら、無闇に連絡は送れない。

『兄様の集合時間まで、あと13分27秒あります』

 何これ、瑠奈、怖いんだけど……

『13分16秒になりました』

 うん、時報かな? 

 このままでは、永遠に瑠奈時報が俺のスマホに送られてくる……

「瑠奈、これは任務だ。皆より早く着いて情報を探らないといけない」

『そうでしたか、失礼しました。ご武運をお祈りいたしております』

~~~~~

 ふぅ~~一気に疲れたぞ……

 さて、ひっそりと集合場所に向かうとするか……

 俺は、集合場所に指定されている美術館前に向かった。





 美術館前の広場では、学園の生徒達がグループでたむろしながら話していた。
 高等部1学年の生徒が全員集合している。
 1クラス35人程度の人数で構成されており、5クラスまである。
 総勢、約175人程度の人数がごった返しにいる風景は壮観だ。

 因みに俺は1年1組である。

 さて、これだけいると気配を消すまでもないな。
 俺が何処にいても誰も気にならないだろう。

 俺は、健やかに気分が良い。
 さっさと見学して、公園のベンチで寝ていよう。

 チラッと庚 絵里香の姿が見えた。
 結城 莉愛夢達、数人で話していた。
 手と足には包帯が巻かれている。
 倉庫の戦闘で負った傷だろう。

 すると、すると、背後から声をかけられた。
 水沢 清香だ。

「霞君、おはよう。良い天気で良かったね」

 こいつは俺の背後をいとも容易く捉えてくる。
 何者なんだ? 

「おはよう。天気が良くって良かったよ」

 近所のおばさん並みのコミニケーションを発揮する俺は、本当は天気がどうであろうと知った事じゃない。

「昨日の放課後、霞君と妹さんが高級な車に乗るとこ見たよ。霞君って何処かの御曹司とか? 何者なの? 」

 マジか……クラスメイトに見られていたとは……

 しかし、水沢 清香には驚かされてばかりだ。
 見られて困る場面を何度も見られている。
 それに、迂闊にも気配を察知できてない。

「遠縁の知り合いなんだ。こっちに来て挨拶がまだだったから、それでね。それに、御曹司とかじゃないよ。至って普通の普通だよ」

「そうだったんだ。お金持ちの知り合いがいるんだね」

「まあね……」

 水沢 清香の隠れファンらしき人物から、嫉妬の視線を感じる。
 この場は早々に退散した方がいい。

「じゃあ、水沢さん。またね」

 そう言ってその場を離れた。

 これなら追いかけて話しかけてくる事はないだろう。

 だが、それは甘かった。

「そうだ、霞君、良かったらL*INE交換しない? お互い、家も近いしね」

 こ、これは予想外だ……
 この場で断っても周りから「何、あいつ生意気なんだよ」とか思われそうだし、OKしても「水沢さんとL*INE交換なんて羨ましい」とか思われてしまう。

 恐るべし、水沢 清香。
 君は何者なんだ? 

「いいよ」

 ここは素直に従う。
 当たり障りのない関係を築けばいい。

 すると、今度は

「旦那様、私も交換したい」

 ギョエーー! 壬がそこにいた。

 こいつは、特Aランクの注意人物だ。
 そこにいるだけで注目の的になる。

「スマホ買ったんだな」

「うん、使い方まだよくわからないけど……」

 まぁ、それなら問題はないだろう。
 使い方が分からなければメッセージも送ってくる事はない。

「じゃあ、交換するか? 」

 すると、付近にいた女子達が「私も~~! 」と大騒ぎになった。
 俺ではない。
 目的は壬だ。
 だが、その騒動に俺は巻き込まれてしまった。
 俺と壬のスマホは、女子達の手に行き来していた。

 何だ、この状況!?

 騒動がひと段落して、先生から点呼が行われた。
 注意事項を説明して、美術館見学となる。

 どういうわけか、壬と水沢が俺と一緒に回っている。

「さっきは凄い事になっちゃったね~~」

「知らない名前がいっぱい。でも、嬉しい」

 壬は、水沢と会話していた。
 この2人は、何となく気が合いそうだ。

 壬……モブ化の道は諦めたようだな。
 十家と言えども、時代の影に生きてきた俺達には敵わないということか……わははは。

 さて、今のうちにこの2人から自然な感じに離れなければならない。

 2人がスマホを見せ合いっこしてる間に、少しづつ歩みを送らせ後方に下がる。

 そして、展示されている絵を如何にも見てました風を装い、このままフェードアウトする作戦だ。

 しかし、その作戦も直ぐに頓挫した。
 俺の後ろから回って来たのは、庚 絵里香と結城 莉愛夢だったからだ。

「霞君、この絵を気に入ってるんだ? さっきから見てるよね」

 流石、気さくに男子に話しかけれる結城 莉愛夢だ。
 侮れない……

「まあね……」

 一方、庚は何となく元気がなかったが、突き刺すような目で俺を見ている。

 何か用かな?

 元気がないのは、初めてとはいえ上級邪鬼を相手したせいだろう。
 その恐怖はすぐには消えないだろうからね。

「良かったら一緒に回らない? この前、あんな風になっちゃったし、絵里香も何だか元気ないしさ」

 この場合はどうすれば……
 そろそろ、俺にも思考の限界がきてしまう。

「あの~~その~~」

 その場をやり過ごす語彙が出てこない。
 困ったぞ……

「そうだ。水沢さん、壬さんもどう? 一緒しない? 」

 結城 莉愛夢 これが一流のコミニケーション・スキル持ちか……

 俺は、抜け出す事も出来ずにすこぶる目立つ女子達と一緒に見て回る羽目になってしまった。

 困った……



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