この世界の裏側で誰かが何かをしている〜最強のモブと自重出来ない美少女双子妹〜

涼月 風

文字の大きさ
33 / 71
第ニ章

第32話 買い物

しおりを挟む


 今日は、日曜日。
 昨日はあれから麗華さんが帰って来るまで待って、それから夕飯を食べに行った。
 それと茜叔母さんから連絡があり、水曜日には帰れると言っていた。

 そして、今日は日曜日。

 瑠奈が欲しいと言っていた機材を買う為に、今、秋葉バラに来ている。

「私、秋葉バラ苦手なんだよね~~」

 麗華さんは、この雰囲気が合わないようだ。

「あそこにメイドさんがいるよ」
「メイド喫茶の宣伝でしょう」

 陽奈と瑠奈は、どこでも楽しそうだ。

 俺は既に荷物を両脇に抱えていた。

「瑠奈、まだ買うのか? 」

「兄様、まだ、予定の三分の一も買ってませんよ」

 まだ、荷物が増えるようだ。

「お兄はアイテムボックス使わないの? 」

 陽奈、前にも言ったが、そんな便利道具ありませんから……

「今日、ワンボックスカー借りてきて正解だったね。一旦、荷物を車に入れに行く? 」

「はい、お願いします」

 麗華さんは気配りやさんだ。
 本当、助かる……

「陽奈、瑠奈。麗華さんと一緒に荷物を車に入れてくるよ。適当に見ててくれるか? 」

『は~~い』

 珍しそうにあたりを見渡す双子妹をおいていき、俺と麗華さんは、車まで荷物を運ぶ。

「お兄さんは大変ね」

「麗華さんだってお兄さんがいるじゃないですか? 」

「そう言えばいたわ。でも、うちの兄貴とこんな風に買い物したこと無かったわよ」

「そうなんですか? 」

「景樹君達兄妹が仲が良すぎるのよ」

 そう言われても実感がわかないが、世間一般ではそうなのかもしれない。
 車に荷物を詰め混んでもまだ十分余裕がある。
 あと、何度往復しなければならないのか考えると気が滅入ってくるが……

「あれ、あそこに神社があるんですか?」

 コインパーキングから見えるところに神社の鳥居が見えた。

「ええ、神ダ明神よ。東京では有名な神社よ」

「そうですか……」

 結界の反応があり、少し気になるが、多分神社独自の結界だろう……

「行ってみる? 」

 麗華さんにそう言われたが俺は妹達が心配なので断った。
 あの双子妹を野放しにさせておくといらぬ犠牲者が増えそうだ。

 その予感は当たった。
 歩行者天国の大通りに人垣が出来ている。
 その中心にいるのは双子妹だ。

「あら、陽奈ちゃん、瑠奈ちゃんメイド服着てる~~かわいすぎる」

 麗華さんもその人垣を掻い潜り、スマホで写真を撮り出した。

「何であいつらメイド服なんか着てるんだ? 」

 意味がわからん……

 近くの店の看板には「メイド服レンタルします」と書かれた看板がある。

 俺は、妹達に見つからないようにその場を離れる。

 あの場で見つかればこの人垣全員の注目を浴びる事になる。

 だが……

「あっ! お兄だ! 」
「兄様~~! 」

 大きく手を振っている2人。

 見つかってしまった。

 俺、目立つのはダメなんだが……

 俺は、その場から速攻で逃げた。





「お兄、何で逃げるのさーー! 」
「兄様、私のどこがいけなかったのでしょう? 」

 妹達は、おかんむりだ。

「あの場では、最善の措置だ。俺は忍びだ。目立つわけにはいかない」

 逃げた訳ではない。最善の措置だと説明する。

「え~~目立ってないよ。普通じゃん」
「そうでしたか、兄様はいつでも修行をされてるのですね」

「誰もいなかったら一緒にいたかったよ。2人ともメイド服似合ってたしね」

「えへへへ、そうでしょう」
「兄様、誰もいないところで……アレしたかったのですね」

 少し機嫌が良くなったが、会話がとんでもない方向に行きそうなので一旦打ち切ることにした。

「買い物は、どうしたの? 」

 何も買っていないことは明らかだったので、そう質問して意識を買い物に向けさせた。

 それからは、俺達は買い物に集中する。
 大きな荷物や品が揃ってない物は配送してもらう事になった。

 瑠奈が欲しがっていた国家規模のスーパーコンピュータや人工衛星は、新たに調達するには時間が足りないという事で、既存の設備を使えるように手配をしてもらっている最中だ。

 普通ならあり得ない事だが、この国を動かす事ができる十家の協力があれば無理な話ではない。

 そんな買い物途中で、俺は、近くにあった雑貨屋で見つけた『消せるんです』という何でも消せるスーパーアイテムを手に入れた。

 勿論、学校の俺の机に書かれたイタズラ書きを消す為だ。

 買い物が終わり、そろそろ帰るという時、俺は、この『消せるんです』を試してみたくなった。
 明日、早く学校に行って消すのも悪くないが、誰かに見られるのも目立つ要因になる。

 今日は、日曜日、忘れ物をしたと言って校舎に入り、誰もいない教室で黙々とこのアイテムを試す、自分。

 なんかモブっぽい……

 と言うわけで、妹達や麗華さんに『馬鹿じゃないの? 』と言われたが、俺は学校に向かうのだった。





 それで、今、俺はこのスーパーアイテムを試している。
 スプレー式で机に吹きかけ、それを雑巾で拭くと、あら不思議、油性マジックが綺麗に落ちる。

「何か楽しいんですけど……」

 俺は、綺麗になっていく快感を味わいながら、黙々と机磨きに集中した。

「出来たぞ」

 誰もいない教室での作業は、心地いい。

「あ~~今、俺は生きてるって感じる~~」

 昔から、武器の手入れとか好きだった。
 血がついた刀身を拭く感覚は、俺を身震いさせる程だ。

 終わってしまったぞ……

 誰もいない教室で机に座って窓を呆けてみる。
 部活をしている生徒の声が聞こえてくるが、それが眠気を誘う。

「いかん、ここで寝たら夜になってしまう」

 俺は、眠気を覚まして校舎を出る。
 もう、陽が傾いていた。

 夕焼け空を見ると、里を思い出す。
 あの時は、のんびり見ることは無かったが、今となっては懐かしい。

 ふと、高等部の校舎や中等部の校舎、そして図書館を見上げると、視線の端に人物が映った。

 それは、図書館の上、元菜園部の管理下にあって、結城 莉愛夢達とお弁当を食べたところだ。

 その場所に、飯塚 早苗が今にも飛び降りそうな雰囲気でそこに立っていた。





 図書館の屋上にいる飯塚 早苗はどこか遠くを見つめていた。
 一歩、前に出るだけでその場から落ちる場所だ。

 身投げか……

 まあ、誰が死のうが関係ないが、俺の目の前というのは気分が悪い。
 そして、クラスでこのような事件があれば、しばらくみんなが騒ぎ出して落ち着かないだろう。

 すると、ある気配を感じた。
 庚 絵里香と結城 莉愛夢だ。

 剣道部の部活で学校に来ていたようだ。

 マズい……あいつらに見られると、面倒な事になりそうだ。

 やはり、2人の声が聞こえたのか飯塚 早苗は、足を一歩前に踏み出した。

 俺は、神霊術を発動する。
 目が金色に光りだした。

 飯塚は、真っ逆さまに地上に向けて落ちていった。

「キャッーー! 」
「えっ、何、落ちたのか! 」

 庚と結城はその現場を目撃した。
 もしかしたら、こうなるように時間を選んだのかもしれない。

 一瞬だった。

 俺の腕の中には、落ちたはずの飯塚 早苗を抱きしめていた。





 俺が飯塚 早苗を抱きしめていると、慌てたように庚と結城が駆けつけてきた。

「えっ!? 早苗……霞君? 」

「き、君が助けたのか! 」

 2人は落ちた人物とそれを救った人物が同じクラスメイトで見知った人物であった事に驚いた様子だ。

「早苗、大丈夫なの? 」

「怪我はないか? 直ぐに救急車を……」

 慌てている2人を何とか落ち着かせて、俺は、飯塚 早苗が気を失っているだけだと伝えた。

 だが、気を失っているだけでは、様子が変だ。
 目の周りが薄黒くなっているし、精気がない。

 これは、薬が切れた症状か……

 その事を2人に告げるのを躊躇ったが、見られてしまった以上隠せそうもない。

 その時、背後に気配を感じる。
 腕の立つ人物の気配だ。
 だが、この気配を俺は知っている。

「これは、霞様。こんな所で何をなさっているのですか? 」

 現れたのは、戊家の執事自称セバスチャンだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...