死に戻りオメガはもう旦那様の言うことを聞きたくありません!

進木えい

文字の大きさ
17 / 28

1.2.3で心踊り

しおりを挟む
 
「アルバ様、俺、踊れない……っ」
「部屋で練習すればいい」
「そんなちょっとの練習でいけるわけない! 前々から言っておいてくださいよ」
「最低限の教養だと思っていた」
 
 ぷんっとリオールは頬を膨らませた。馬鹿にしやがって。悪かったとアルバは謝った。以前にはなかった、王子の主催するパーティに招待される。リオールは首都には行ったことがなかったため、目新しいものばかりだった。馬車に揺られて長い時間をかけ移動した。アルバは以前とは違い、王族とのコネクションがあるみたいだ。王子の別邸に一泊することになった。凄い豪華な部屋だった。ダンスを踊ることになると言われて、リオールはアルバに文句を言った。
 
「お前の異母兄たちもいるのではないか?」
「ああ、にいさま……、フォス様とクロード様……、ダンスできないと怒……ら、れ」
 
 リオールはすぐにでもやらねばまずいとアルバに教えを請うた。アルバは真っ直ぐ立ち、リオールに手を差し伸べる。
 
「まずは、お前は俺以外と踊ることはない。最初に踊る相手がパートナーであり、一度踊った後は食事でもしていればいい」
「そう、なんですか?」
「俺がリードするから、俺の足さえ踏まなければいい」
 
 アルバはリオールの両手を取り、向かい合う。こう見ると本当に大きいのだと思った。アルバは片手をリオールの腰に回す。グイッと抱き寄せられ、心臓の音が聞こえてしまうかと思った。
 
「俺の腕に手を沿わせろ」
「はい」
 
 片手を腕に沿わせた。一二、三とアルバの単調なカウントが鼓膜を揺らす。アルバがリードしてくれるおかげで何となく動けるようにはなった。足を踏んづけまくること以外は。
 
「あっ、ごめんなさい」
「……っ」
「ふんじゃった、あ、また、ごめんなさ」
「…………、おまえ、俺の足に乗ってる時間の方が長いぞ。向いてない、絶望的に」
 
 アルバの冷たい言葉に昔ならリオールは萎縮していたが、怒っているわけではないかと分かったため素を出してリオールは笑っていた。
 
「ぜっ、たい他人とは踊るな。もうこの際、本番で足を踏んでもいい」
「む……、俺だってやればできますよ! リード変わってください。大体覚えました」
「この身長差でどうやってリードするんだ」
 
 アルバは呆れたように言った。リオールはむくれた後、我慢しきれず笑った。アルバは一度ペースが乱れると連続して間違えてしまうのだと謎のフォローを入れてくれた。
 体をぴたりとくっつけるとアルバの動きに引っ張られて何となく踊れるようになった。下を向けないので文字通りアルバにリードしてもらえないと何もできない。リオールの方は少し息が上がり疲れてしまったが、アルバは息一つ上がっていない。ソファに座り、はあっとリオールは一息をついた。アルバは隣に座り、飲み物を渡してくれた。
 
「アルバ、楽しいです」
「そうか。……ここまでセンスがないとは」
「ひどいです」
 
 アルバが口元を押さえて、笑っている。リオールは拗ねた後、ぴとりと彼の腕にくっついた。
 
「意地悪」
 
 アルバが動揺したのを見てリオールは優越感を覚える。アルバの太腿に手を伸ばし、すりすりと際どいところを撫でる。
 
「俺を、試しているのか……」
「試す? 何を」
「挑発の代償は高くつくぞ」
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

回帰したシリルの見る夢は

riiko
BL
公爵令息シリルは幼い頃より王太子の婚約者として、彼と番になる未来を夢見てきた。 しかし王太子は婚約者の自分には冷たい。どうやら彼には恋人がいるのだと知った日、物語は動き出した。 嫉妬に狂い断罪されたシリルは、何故だかきっかけの日に回帰した。そして回帰前には見えなかったことが少しずつ見えてきて、本当に望む夢が何かを徐々に思い出す。 執着をやめた途端、執着される側になったオメガが、次こそ間違えないようにと、可愛くも真面目に奮闘する物語! 執着アルファ×回帰オメガ 本編では明かされなかった、回帰前の出来事は外伝に掲載しております。 性描写が入るシーンは ※マークをタイトルにつけます。 物語お楽しみいただけたら幸いです。 *** 2022.12.26「第10回BL小説大賞」で奨励賞をいただきました! 応援してくれた皆様のお陰です。 ご投票いただけた方、お読みくださった方、本当にありがとうございました!! ☆☆☆ 2024.3.13 書籍発売&レンタル開始いたしました!!!! 応援してくださった読者さまのお陰でございます。本当にありがとうございます。書籍化にあたり連載時よりも読みやすく書き直しました。お楽しみいただけたら幸いです。

「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」

星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。 ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。 番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。 あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、 平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。 そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。 ――何でいまさら。オメガだった、なんて。 オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。 2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。 どうして、いまさら。 すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。 ハピエン確定です。(全10話) 2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

運命の番は姉の婚約者

riiko
BL
オメガの爽はある日偶然、運命のアルファを見つけてしまった。 しかし彼は姉の婚約者だったことがわかり、運命に自分の存在を知られる前に、運命を諦める決意をする。 結婚式で彼と対面したら、大好きな姉を前にその場で「運命の男」に発情する未来しか見えない。婚約者に「運命の番」がいることを知らずに、ベータの姉にはただ幸せな花嫁になってもらいたい。 運命と出会っても発情しない方法を探る中、ある男に出会い、策略の中に翻弄されていく爽。最後にはいったい…どんな結末が。 姉の幸せを願うがために取る対処法は、様々な人を巻き込みながらも運命と対峙して、無事に幸せを掴むまでのそんなお話です。 性描写が入るシーンは ※マークをタイトルにつけますのでご注意くださいませ。 物語、お楽しみいただけたら幸いです。

オメガの復讐

riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。 しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。 とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

処理中です...