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1.2.3で心踊り
しおりを挟む「アルバ様、俺、踊れない……っ」
「部屋で練習すればいい」
「そんなちょっとの練習でいけるわけない! 前々から言っておいてくださいよ」
「最低限の教養だと思っていた」
ぷんっとリオールは頬を膨らませた。馬鹿にしやがって。悪かったとアルバは謝った。以前にはなかった、王子の主催するパーティに招待される。リオールは首都には行ったことがなかったため、目新しいものばかりだった。馬車に揺られて長い時間をかけ移動した。アルバは以前とは違い、王族とのコネクションがあるみたいだ。王子の別邸に一泊することになった。凄い豪華な部屋だった。ダンスを踊ることになると言われて、リオールはアルバに文句を言った。
「お前の異母兄たちもいるのではないか?」
「ああ、にいさま……、フォス様とクロード様……、ダンスできないと怒……ら、れ」
リオールはすぐにでもやらねばまずいとアルバに教えを請うた。アルバは真っ直ぐ立ち、リオールに手を差し伸べる。
「まずは、お前は俺以外と踊ることはない。最初に踊る相手がパートナーであり、一度踊った後は食事でもしていればいい」
「そう、なんですか?」
「俺がリードするから、俺の足さえ踏まなければいい」
アルバはリオールの両手を取り、向かい合う。こう見ると本当に大きいのだと思った。アルバは片手をリオールの腰に回す。グイッと抱き寄せられ、心臓の音が聞こえてしまうかと思った。
「俺の腕に手を沿わせろ」
「はい」
片手を腕に沿わせた。一二、三とアルバの単調なカウントが鼓膜を揺らす。アルバがリードしてくれるおかげで何となく動けるようにはなった。足を踏んづけまくること以外は。
「あっ、ごめんなさい」
「……っ」
「ふんじゃった、あ、また、ごめんなさ」
「…………、おまえ、俺の足に乗ってる時間の方が長いぞ。向いてない、絶望的に」
アルバの冷たい言葉に昔ならリオールは萎縮していたが、怒っているわけではないかと分かったため素を出してリオールは笑っていた。
「ぜっ、たい他人とは踊るな。もうこの際、本番で足を踏んでもいい」
「む……、俺だってやればできますよ! リード変わってください。大体覚えました」
「この身長差でどうやってリードするんだ」
アルバは呆れたように言った。リオールはむくれた後、我慢しきれず笑った。アルバは一度ペースが乱れると連続して間違えてしまうのだと謎のフォローを入れてくれた。
体をぴたりとくっつけるとアルバの動きに引っ張られて何となく踊れるようになった。下を向けないので文字通りアルバにリードしてもらえないと何もできない。リオールの方は少し息が上がり疲れてしまったが、アルバは息一つ上がっていない。ソファに座り、はあっとリオールは一息をついた。アルバは隣に座り、飲み物を渡してくれた。
「アルバ、楽しいです」
「そうか。……ここまでセンスがないとは」
「ひどいです」
アルバが口元を押さえて、笑っている。リオールは拗ねた後、ぴとりと彼の腕にくっついた。
「意地悪」
アルバが動揺したのを見てリオールは優越感を覚える。アルバの太腿に手を伸ばし、すりすりと際どいところを撫でる。
「俺を、試しているのか……」
「試す? 何を」
「挑発の代償は高くつくぞ」
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