28 / 93
Blackout
しおりを挟む
道雪の雷切は魁が身にまとっていた黒い雷の魔力ごと魁の身体を斬り裂き、魁の着ている白いジャケットからは鮮血の赤が滲み出ていた。
魁はジャケットを乱雑に脱ぎ捨て、左肩から袈裟懸けに走る傷とそこから滲む血を見て痛みと屈辱に顔を歪める。
「ふ・・・くく、人間にしてはそこそこ。だが・・・」
魁は魔力を纏った右手を空にかざす、すると辺りが暗くなり雷がゴロゴロと鳴り響く、道雪を見守っていた千尋と万歳の辺りが一層暗くなると魁が右手を振り下ろす。その瞬間、空から黒い雷が千尋と万歳に向かって一直線に落ちる。
道雪は右手に建御雷の雷を全集中させ、全力で走りながら地面を蹴り黒雷に向かって跳ぶ。そして右手の手刀を振るうと紫色の稲妻が黒雷を切り裂き、黒雷は魔力の残滓となって消え失せた。
「雷を・・・切った・・・。」
「言ったであろう?『雷切』と。」
目の前で起きた光景に面食らう千尋に平然として話す万歳、道雪の右手の雷は先程の青白い色から紫色へと変化している。
「魁さん、もう終わりにしよう。」
「いいだろう、来てみろ。人間風情が・・・」
魁が再び魔力を身にまとうと道雪は右手を構え、魔力を纏っていない脚で走り出す。
魁は先程と同じように魔力の弾を撃ち出し、道雪を牽制する。だが道雪は先程と違い弾の合間を縫うようにかすり傷も負いながら全力で走る。
魁は身にまとっている黒雷を鬼の姿へと形状を変えた、その姿はまるで建御雷を顕現させた千尋のようであった。
それにも怯まず道雪は地面を蹴って跳び上がり、右手を振りかざす。
「雷切・紫電!」
道雪の紫電を纏った右手が振り下ろされる。紫電の刃は魁の黒雷の鬼も、魁が身にまとっている黒雷の鎧さえも斬り裂いた。
しかし道雪は魁に致命傷を与えることはなく、自身の右手に纏っている紫電の魔力を解いた。
「・・・どういうつもりだ。」
「今回の件、アナタだけの企みだとは思えない。殺してしまっては誰が首謀者かも聞けない、それだけだ。」
道雪の言葉に魁は下を向き『ククク』と小さな笑い声をあげる。
「なるほど、賢(さか)しいな。いずれわかること、教えておいてやろう。我が主は・・・」
『待て。』
魁がなにかを言おうとした時、どこからか声が聞こえた。魁はその場で片膝をつき、万歳は目を見開き驚愕している様子だった。
辺りには白い濃霧が立ち込め、魁の後ろから人影が覗く。
『久しぶりだな、万歳。』
「あ、貴方は・・・まさか。」
声を掛けられた万歳は冷や汗をかきながら小刻みに震えている、その場にいる誰もが見たことも無いであろう万歳の様子にみんな一斉に身構えた。
「お前たち、構えを解け!この方は・・・」
『よい、思えばお前とですら幕無しで直接顔を合わせるのははじめてのこと。しかし儂は立場上無闇に顔を晒せぬのでな、こうして姿を隠させてもらっている。赦せ。』
そう言うと人影は『さて』と魁の方に顔を向ける、万歳と同じように魁も下を向きその人影の言葉を待っていた。
『此度のこと、ご苦労だったな。魁よ。』
「任された務めを全うできず、なんの言い分もございません。如何なる罰も受け容れる所存です。」
震えた声で言う魁の肩を人影がポンと叩く、それは落ち込んでいる友人を励ますかのようだった。
『なにを言う、お前はよくやってくれた。そんなお前に下す罰などない。』
『帰るぞ』と言いながら人影が手を差し伸べると魁はただありがたそうにその手を取り、立ち上がると人影の後ろに立つ。
『我が盟友が世話になったな、万歳。』
そう言うと人影は指をパチンと鳴らす、すると背後に穴のような次元の歪みが現れ人影はまるで我が家に入るようにそれに入っていく。魁はそれを見届けると辺りに倒れている部下たちに号令をかける。
「いつまで寝転がっている!天翁が帰還の許可をくださった、帰るぞ!」
魁の呼び掛けに魁の部下たちは立ち上がり、次元の歪みに向かって歩き出す。その途中で全員が人から鬼に姿が変わり、それを見た万尋は『やはりな』と小声でつぶやく。
「今日のところは見逃してやる、だが次こそは貴様らを根絶やしにしてやるぞ。人間共!」
そう言い捨てると魁は次元の歪みに入って行き、魁の部下たちも続々と歪みに入っていく。全員が入っていくと歪みは閉じ、静寂が訪れる。
「万歳、あれが・・・?」
「あぁ、あの方こそが、現評議会序列第2位、議長代理。『天翁』だ。」
魁はジャケットを乱雑に脱ぎ捨て、左肩から袈裟懸けに走る傷とそこから滲む血を見て痛みと屈辱に顔を歪める。
「ふ・・・くく、人間にしてはそこそこ。だが・・・」
魁は魔力を纏った右手を空にかざす、すると辺りが暗くなり雷がゴロゴロと鳴り響く、道雪を見守っていた千尋と万歳の辺りが一層暗くなると魁が右手を振り下ろす。その瞬間、空から黒い雷が千尋と万歳に向かって一直線に落ちる。
道雪は右手に建御雷の雷を全集中させ、全力で走りながら地面を蹴り黒雷に向かって跳ぶ。そして右手の手刀を振るうと紫色の稲妻が黒雷を切り裂き、黒雷は魔力の残滓となって消え失せた。
「雷を・・・切った・・・。」
「言ったであろう?『雷切』と。」
目の前で起きた光景に面食らう千尋に平然として話す万歳、道雪の右手の雷は先程の青白い色から紫色へと変化している。
「魁さん、もう終わりにしよう。」
「いいだろう、来てみろ。人間風情が・・・」
魁が再び魔力を身にまとうと道雪は右手を構え、魔力を纏っていない脚で走り出す。
魁は先程と同じように魔力の弾を撃ち出し、道雪を牽制する。だが道雪は先程と違い弾の合間を縫うようにかすり傷も負いながら全力で走る。
魁は身にまとっている黒雷を鬼の姿へと形状を変えた、その姿はまるで建御雷を顕現させた千尋のようであった。
それにも怯まず道雪は地面を蹴って跳び上がり、右手を振りかざす。
「雷切・紫電!」
道雪の紫電を纏った右手が振り下ろされる。紫電の刃は魁の黒雷の鬼も、魁が身にまとっている黒雷の鎧さえも斬り裂いた。
しかし道雪は魁に致命傷を与えることはなく、自身の右手に纏っている紫電の魔力を解いた。
「・・・どういうつもりだ。」
「今回の件、アナタだけの企みだとは思えない。殺してしまっては誰が首謀者かも聞けない、それだけだ。」
道雪の言葉に魁は下を向き『ククク』と小さな笑い声をあげる。
「なるほど、賢(さか)しいな。いずれわかること、教えておいてやろう。我が主は・・・」
『待て。』
魁がなにかを言おうとした時、どこからか声が聞こえた。魁はその場で片膝をつき、万歳は目を見開き驚愕している様子だった。
辺りには白い濃霧が立ち込め、魁の後ろから人影が覗く。
『久しぶりだな、万歳。』
「あ、貴方は・・・まさか。」
声を掛けられた万歳は冷や汗をかきながら小刻みに震えている、その場にいる誰もが見たことも無いであろう万歳の様子にみんな一斉に身構えた。
「お前たち、構えを解け!この方は・・・」
『よい、思えばお前とですら幕無しで直接顔を合わせるのははじめてのこと。しかし儂は立場上無闇に顔を晒せぬのでな、こうして姿を隠させてもらっている。赦せ。』
そう言うと人影は『さて』と魁の方に顔を向ける、万歳と同じように魁も下を向きその人影の言葉を待っていた。
『此度のこと、ご苦労だったな。魁よ。』
「任された務めを全うできず、なんの言い分もございません。如何なる罰も受け容れる所存です。」
震えた声で言う魁の肩を人影がポンと叩く、それは落ち込んでいる友人を励ますかのようだった。
『なにを言う、お前はよくやってくれた。そんなお前に下す罰などない。』
『帰るぞ』と言いながら人影が手を差し伸べると魁はただありがたそうにその手を取り、立ち上がると人影の後ろに立つ。
『我が盟友が世話になったな、万歳。』
そう言うと人影は指をパチンと鳴らす、すると背後に穴のような次元の歪みが現れ人影はまるで我が家に入るようにそれに入っていく。魁はそれを見届けると辺りに倒れている部下たちに号令をかける。
「いつまで寝転がっている!天翁が帰還の許可をくださった、帰るぞ!」
魁の呼び掛けに魁の部下たちは立ち上がり、次元の歪みに向かって歩き出す。その途中で全員が人から鬼に姿が変わり、それを見た万尋は『やはりな』と小声でつぶやく。
「今日のところは見逃してやる、だが次こそは貴様らを根絶やしにしてやるぞ。人間共!」
そう言い捨てると魁は次元の歪みに入って行き、魁の部下たちも続々と歪みに入っていく。全員が入っていくと歪みは閉じ、静寂が訪れる。
「万歳、あれが・・・?」
「あぁ、あの方こそが、現評議会序列第2位、議長代理。『天翁』だ。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
Chivalry - 異国のサムライ達 -
稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)
ファンタジー
シヴァリー(Chivalry)、それは主に騎士道を指し、時に武士道としても使われる言葉である。騎士道と武士道、両者はどこか似ている。強い精神をその根底に感じる。だが、士道は魔法使いが支配する世界でも通用するのだろうか?
これは魔法というものが絶対的な価値を持つ理不尽な世界で、士道を歩んだ者達の物語であり、その中でもアランという男の生き様に主眼を置いた大器晩成なる物語である。(他サイトとの重複投稿です。また、画像は全て配布サイトの規約に従って使用しています)
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる