Starlog ー星の記憶ー

八城七夜

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Blackout

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道雪の雷切らいきりは魁が身にまとっていた黒い雷の魔力魁の身体を斬り裂き、魁の着ている白いジャケットからは鮮血の赤が滲み出ていた。

魁はジャケットを乱雑に脱ぎ捨て、左肩から袈裟懸けに走る傷とそこから滲む血を見て痛みと屈辱に顔を歪める。

「ふ・・・くく、人間にしてはそこそこ。だが・・・」

魁は魔力を纏った右手を空にかざす、すると辺りが暗くなり雷がゴロゴロと鳴り響く、道雪を見守っていた千尋と万歳の辺りが一層暗くなると魁が右手を振り下ろす。その瞬間、空から黒い雷が千尋と万歳に向かって一直線に落ちる。

道雪は右手に建御雷の雷を全集中させ、全力で走りながら地面を蹴り黒雷に向かって跳ぶ。そして右手の手刀を振るうと紫色の稲妻が黒雷を切り裂き、黒雷は魔力の残滓となって消え失せた。

「雷を・・・切った・・・。」

「言ったであろう?『雷切』と。」

目の前で起きた光景に面食らう千尋に平然として話す万歳、道雪の右手の雷は先程の青白い色から紫色へと変化している。

「魁さん、もう終わりにしよう。」

「いいだろう、来てみろ。人間風情が・・・」

魁が再び魔力を身にまとうと道雪は右手を構え、魔力を纏っていない脚で走り出す。

魁は先程と同じように魔力の弾を撃ち出し、道雪を牽制する。だが道雪は先程と違い弾の合間を縫うようにかすり傷も負いながら全力で走る。

魁は身にまとっている黒雷を鬼の姿へと形状かたちを変えた、その姿はまるで建御雷を顕現させた千尋のようであった。

それにも怯まず道雪は地面を蹴って跳び上がり、右手を振りかざす。

雷切らいきり紫電しでん!」

道雪の紫電を纏った右手が振り下ろされる。紫電の刃は魁の黒雷の鬼も、魁が身にまとっている黒雷の鎧さえも斬り裂いた。

しかし道雪は魁に致命傷を与えることはなく、自身の右手に纏っている紫電の魔力を解いた。

「・・・どういうつもりだ。」

「今回の件、アナタだけの企みだとは思えない。殺してしまっては誰が首謀者かも聞けない、それだけだ。」

道雪の言葉に魁は下を向き『ククク』と小さな笑い声をあげる。

「なるほど、賢(さか)しいな。いずれわかること、教えておいてやろう。我が主は・・・」




                                『待て。』




魁がなにかを言おうとした時、どこからか声が聞こえた。魁はその場で片膝をつき、万歳は目を見開き驚愕している様子だった。

辺りには白い濃霧が立ち込め、魁の後ろから人影が覗く。

『久しぶりだな、万歳。』

「あ、貴方は・・・まさか。」

声を掛けられた万歳は冷や汗をかきながら小刻みに震えている、その場にいる誰もが見たことも無いであろう万歳の様子にみんな一斉に身構えた。

「お前たち、構えを解け!この方は・・・」

『よい、思えばお前とですら幕無しで直接顔を合わせるのははじめてのこと。しかし儂は立場上無闇に顔を晒せぬのでな、こうして姿を隠させてもらっている。ゆるせ。』

そう言うと人影は『さて』と魁の方に顔を向ける、万歳と同じように魁も下を向きその人影の言葉を待っていた。

『此度のこと、ご苦労だったな。魁よ。』

「任された務めを全うできず、なんの言い分もございません。如何なる罰も受け容れる所存です。」

震えた声で言う魁の肩を人影がポンと叩く、それは落ち込んでいる友人を励ますかのようだった。

『なにを言う、お前はよくやってくれた。そんなお前に下す罰などない。』

『帰るぞ』と言いながら人影が手を差し伸べると魁はただありがたそうにその手を取り、立ち上がると人影の後ろに立つ。

『我が盟友ともが世話になったな、万歳。』

そう言うと人影は指をパチンと鳴らす、すると背後に穴のような次元の歪みが現れ人影はまるで我が家に入るようにそれに入っていく。魁はそれを見届けると辺りに倒れている部下たちに号令をかける。

「いつまで寝転がっている!天翁てんおうが帰還の許可をくださった、帰るぞ!」

魁の呼び掛けに魁の部下たちは立ち上がり、次元の歪みに向かって歩き出す。その途中で全員が人から鬼に姿が変わり、それを見た万尋は『やはりな』と小声でつぶやく。

「今日のところは見逃してやる、だが次こそは貴様らを根絶やしにしてやるぞ。人間共!」

そう言い捨てると魁は次元の歪みに入って行き、魁の部下たちも続々と歪みに入っていく。全員が入っていくと歪みは閉じ、静寂が訪れる。

「万歳、あれが・・・?」

「あぁ、あの方こそが、現評議会序列第2位、議長代理。『天翁てんおう』だ。」
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