Starlog ー星の記憶ー

八城七夜

文字の大きさ
44 / 93

Another

しおりを挟む
魔法陣が最後に落とした影は先に落ちてきた二つのように姿を変えることはせず渦を巻いている。

イザナミが描いた魔法陣、そこから呼び出された人物から千晶ちあきは心当たりのある魔法をひとつ思い出した。

「まさか・・・星霊降臨せいれいこうりんか?」

この地球で偉大な功績を遺した者は死後、星と契約し"星霊せいれい"となる。その星霊を使い魔として現世に召喚する魔法、それが星霊降臨である。

こう聞けば偉人たちを使役できるという便利な魔法だが、この世界でこの魔法を使う、というより使おうとする者はいない。星霊となり、星の記憶に残った者たちを呼び寄せるとなると膨大な魔力が必要な上にこの魔法は言ってしまえば"星が星霊を召喚している"ので呼び出される偉人たちはある程度の基準はあれどランダムなのだ。その上、呼び出された星霊が使用者に絶対服従というわけでもなくもし使用者が星霊のなんらかの逆鱗に触れた場合、殺されるというケースもある。

だが今、この魔法を使用しているのはこの国を無から創り、そこに神々をも産んだとされる女神、伊邪奈美命イザナミノミコト。魔力の量はもちろんのこと、おそらく呼び出せる星霊を選択できるだろう。そしてなにより、星霊たちはイザナミに逆らうことはないだろう。

そこまでは千晶にも想像はついた、おそらく先に呼び出された二人の星霊も相当の手練てだれだと。そして最後に落とされ、渦を巻いていた影が晴れるとそこには千歳ちとせの姿をした星霊が現れた。

その星霊の姿に千歳本人も千晶たちも唖然とする、どう見てもこの場に千歳が二人いるのだ。ひとつ違うとすれば、千歳は子供の頃から見ていた夢の影響で目の下にクマがあるのだが星霊として現れた千歳にはそれがない。



"まるで平行世界から呼ばれたかのような・・・"



一瞬頭に浮かんだ思考に千晶は"まさか"と息を飲んだ。

千歳の姿をした星霊は先の二人と同じように周りをキョロキョロ見渡す、そこへイザナミが近寄り声をかける。

「よく来てくれたな、大儀である。」

「え、あぁ・・・キミ誰だい?」


千歳星霊は気だるそうに千歳と同じ声色でイザナミに問い掛ける。自分の目の前にいる女の子がイザナミであり、星霊降臨を使って自分を呼んだ張本人だとわかっていないようだった。

「妾はイザナミ、お前を呼んだ者だ。」

「イザナミ・・・?」

千歳星霊はイザナミの顔や全身を見渡し顎に手をあてる。

「そう・・・か、なるほど。わかった。」

「では千歳よ、まずはあやつらの命を殺してほしい。」

そう言いながらイザナミが千歳たちの方を指差し、千歳星霊は千歳たちの方を向く。そして千歳の姿を見ると乾いた笑いを浮かべる。

「いいだろう、逆らったら俺が殺されそうだからな。」

千歳星霊の答えに満足したのか、イザナミは笑みを浮かべる。そして鞘に納められた日本刀を取り出し千歳星霊に向かって放り投げる。

千歳星霊は受け取った刀を鞘から抜き刃を見渡すと再び納刀する。

「あ、ちなみに、俺のことは"千歳"じゃなく、"ナガト"でよろしく。」

そう言いながらナガトは千歳たちの方へ悠々と歩き出す。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

Chivalry - 異国のサムライ達 -

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)
ファンタジー
シヴァリー(Chivalry)、それは主に騎士道を指し、時に武士道としても使われる言葉である。騎士道と武士道、両者はどこか似ている。強い精神をその根底に感じる。だが、士道は魔法使いが支配する世界でも通用するのだろうか? これは魔法というものが絶対的な価値を持つ理不尽な世界で、士道を歩んだ者達の物語であり、その中でもアランという男の生き様に主眼を置いた大器晩成なる物語である。(他サイトとの重複投稿です。また、画像は全て配布サイトの規約に従って使用しています)

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...