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Temptation
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天翁の言葉で朧たちは臨戦態勢を解きその場に跪く、そして若葉は立ち上がると千歳から離れ天翁たちのもとへ悠々と歩み寄る。
「また長い間、代わりを任せてしまったようだな。」
『それが議長代理である我が役目にございますれば。』
天翁は深々と若葉に頭を下げる、とても異様な光景だ。
「若葉・・・ちゃん?」
「・・・ん?」
思わず千歳が名前を呼ぶと若葉は振り向く。その眼差しは先ほどと変わらず冷たく、まるで初対面かのように千歳を見ている。若葉の見た目で若葉ではないかのようだ。
「天翁、あの小僧は?」
『長門 千歳、長門の次期当主でございます。橘 若葉、つまりは今の伊邪奈美命の器となっております娘と親しいようで。』
天翁の説明を聞き、若葉は千歳の顔を見て『ふーん』と声をあげ腕を組む。そして次の瞬間には千歳の目の前へと姿を現していた、霊写しの動体視力でも捉えられないほどの速さに千歳は驚く。
「お前、妾の眷属になれ。」
笑みを浮かべる若葉から放たれた言葉に千歳は戸惑う。優しげな笑顔でありながら、眼差しは変わらず鋭い。断ったらなにをされるか千歳には想像もつかない。
「この娘の器は伊邪奈美命である妾のものだ。妾はこの器を使って此度も命を殺す、ひとつでも多くな。お前にはその手伝いをしてほしい、妾はお前が気に入ったようだ。」
若葉に憑依した伊邪奈美命、イザナミはそう言いながら手を伸ばしてくる。この手を取ればイザナミの眷属になるということなのだろう。
「・・・ダメだ、その誘いには応じれない。むしろ俺はアンタの邪魔をする、守りたい命があるからね。」
千歳の答えにイザナミは笑顔から一変、侮蔑の表情を千歳に向ける。威圧感も先ほどとは比べものにならないほどに増している。
「"俺たち"の間違いだろうがよ千歳。」
「守りたい人がいるのは御前だけじゃないぜ?」
そう言いながら千尋と千悟が千歳と肩を組む、千晶も『よく言った。』と言いたげに千歳の背中をバシッと叩く。
『決裂のようですね、いかがしますか?議長。』
「・・・よし、ならばひとつ余興をしようか。」
イザナミがそう言うと手に魔力を纏わせる、そしてその指先で空中に文字のような模様のようなものを描く。そしてそれは意志を持っているかのように動き、魔法陣のようなものに姿を変えると空に向かって上昇していく。
魔法陣は上空で回転し光を発すると千歳たちのいる場所へ影を二つ落とす、ひとつはヨレヨレの袴姿にまたヨレヨレの羽織を着た若者に、ひとつは傷だらけの鎧を着た古風な男へと姿を変える。
二人の男は目を覚ますと周りを見渡す、最初に口を開いたのは若者の方だった。
「どこやここは?ついさっきまで港で船に乗ろうとしちょったはずなんやけんど・・・」
そう言いながら若者はまた周りをキョロキョロする、そして目の前の千歳たちに気づく。
「われら!ここはどこや?今すぐ港に行かんとわしゃ嫁に殺されてしまう!今日から新婚旅行なんや!」
若者は明るく爽やかな笑顔で問い掛けられ、千歳たちは困惑する。そして鎧の男が若者へ声をかける。
「若いの、お前はまだその新婚旅行には行けんぞ。どうやら俺たちは呼ばれたようだ。」
「な、なんやって・・・」
鎧の男の言葉を聞いた若者は膝からガックリと崩れ落ち、この場にいない嫁に大声で謝っている。そこへ天翁が二人のもとへ近き鎧の男に声をかける。
『理解が早い、さすがだ。』
「・・・この魔法のことは知っていたからな。にしても貴様、その姿はどういうわけだ?」
鎧の男の問い掛けに天翁は『ほっほっほ』とわざとらしく笑った。そして空の魔法陣はもうひとつ影を落とすと光とともに霧散していった。
「また長い間、代わりを任せてしまったようだな。」
『それが議長代理である我が役目にございますれば。』
天翁は深々と若葉に頭を下げる、とても異様な光景だ。
「若葉・・・ちゃん?」
「・・・ん?」
思わず千歳が名前を呼ぶと若葉は振り向く。その眼差しは先ほどと変わらず冷たく、まるで初対面かのように千歳を見ている。若葉の見た目で若葉ではないかのようだ。
「天翁、あの小僧は?」
『長門 千歳、長門の次期当主でございます。橘 若葉、つまりは今の伊邪奈美命の器となっております娘と親しいようで。』
天翁の説明を聞き、若葉は千歳の顔を見て『ふーん』と声をあげ腕を組む。そして次の瞬間には千歳の目の前へと姿を現していた、霊写しの動体視力でも捉えられないほどの速さに千歳は驚く。
「お前、妾の眷属になれ。」
笑みを浮かべる若葉から放たれた言葉に千歳は戸惑う。優しげな笑顔でありながら、眼差しは変わらず鋭い。断ったらなにをされるか千歳には想像もつかない。
「この娘の器は伊邪奈美命である妾のものだ。妾はこの器を使って此度も命を殺す、ひとつでも多くな。お前にはその手伝いをしてほしい、妾はお前が気に入ったようだ。」
若葉に憑依した伊邪奈美命、イザナミはそう言いながら手を伸ばしてくる。この手を取ればイザナミの眷属になるということなのだろう。
「・・・ダメだ、その誘いには応じれない。むしろ俺はアンタの邪魔をする、守りたい命があるからね。」
千歳の答えにイザナミは笑顔から一変、侮蔑の表情を千歳に向ける。威圧感も先ほどとは比べものにならないほどに増している。
「"俺たち"の間違いだろうがよ千歳。」
「守りたい人がいるのは御前だけじゃないぜ?」
そう言いながら千尋と千悟が千歳と肩を組む、千晶も『よく言った。』と言いたげに千歳の背中をバシッと叩く。
『決裂のようですね、いかがしますか?議長。』
「・・・よし、ならばひとつ余興をしようか。」
イザナミがそう言うと手に魔力を纏わせる、そしてその指先で空中に文字のような模様のようなものを描く。そしてそれは意志を持っているかのように動き、魔法陣のようなものに姿を変えると空に向かって上昇していく。
魔法陣は上空で回転し光を発すると千歳たちのいる場所へ影を二つ落とす、ひとつはヨレヨレの袴姿にまたヨレヨレの羽織を着た若者に、ひとつは傷だらけの鎧を着た古風な男へと姿を変える。
二人の男は目を覚ますと周りを見渡す、最初に口を開いたのは若者の方だった。
「どこやここは?ついさっきまで港で船に乗ろうとしちょったはずなんやけんど・・・」
そう言いながら若者はまた周りをキョロキョロする、そして目の前の千歳たちに気づく。
「われら!ここはどこや?今すぐ港に行かんとわしゃ嫁に殺されてしまう!今日から新婚旅行なんや!」
若者は明るく爽やかな笑顔で問い掛けられ、千歳たちは困惑する。そして鎧の男が若者へ声をかける。
「若いの、お前はまだその新婚旅行には行けんぞ。どうやら俺たちは呼ばれたようだ。」
「な、なんやって・・・」
鎧の男の言葉を聞いた若者は膝からガックリと崩れ落ち、この場にいない嫁に大声で謝っている。そこへ天翁が二人のもとへ近き鎧の男に声をかける。
『理解が早い、さすがだ。』
「・・・この魔法のことは知っていたからな。にしても貴様、その姿はどういうわけだ?」
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