Starlog ー星の記憶ー

八城七夜

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翌日、千歳はダンテに連れられ再び荒野にやってきていた。千歳は昨日戦ったゴーレムがまた出てこないか周りを見渡しながらおそるおそる歩いている。

「チトセ、ゴーレムは岩に龍脈を注ぐか自然に危害を加えない限り起動しないから安心してくれ。」

「あ、そうなの。よかった・・・」

そのゴーレムも千歳が倒したのだが、ダンテはその事を千歳には黙っていた。もし千歳がそれを知ればあの黒い影を頼りにしてしまい、千歳自身の成長を妨げてしまうと思ったからだ。

ダンテが立ち止まるとそこは高く細い岩が3つ並んだ場所で、その3つの岩からは不思議と優しげな雰囲気が感じられる。

「さて、今日の修行場所はここだ、チトセ。君はまだ完璧に龍脈を使いこなせてはいない、まずは自分の龍脈と向き合うことからスタートだ!」

ダンテの示した修行方法は至ってシンプル。まず3つの岩を目の前にして座り込む、そして目を閉じて気分を落ち着かせ意識を自分の体内に流れる龍脈に集中させるというもの。

(日本の坐禅に少し似てるな、でもどうしてこの場所で・・・?)

Cutカット!!!」

ダンテがいきなり大声を出すので千歳は驚いて身体がビクッと跳ねる。

「疑念を抱くなチトセ、邪念はCut遮断だ!」

「は、はい・・・」

ダンテに言われた通り千歳は再び目を閉じ疑念や思考を抱かないように努める。すると3つの岩から色彩やかなエネルギーが溢れ出し、それは千歳の身体を包む。

(これは・・・龍脈か!)

千歳はその龍脈を身体の中に受け入れるイメージをしながら意識を集中させると周りが無音になり、千歳はおそるおそる目をそっと開ける。そこには見渡す限りの真っ白な空間、あの夢で何度も見た景色が広がっていた。

千歳はふと後ろに気配がしたのでバッと振り向くと、そこにはいつも夢に現れていた人型の黒い影が千歳と向き合う様に立っていた。

「君が俺の・・・龍脈だったんだね。」

黒い影は何も言わず千歳と言葉を交わすことはない、だが鬼恐山での戦いから黒い影を纏っているだけで声が聞こえてくる。その声が聞こえるとまるで睡魔に襲われたかのように意識が朦朧もうろうとし、千歳は黒い影を纏って全力を出して戦うことができないでいた。

千歳はダンテに自身の龍脈と向き合うように言われたことを思い出し、意を決して黒い影に話しかける。

「君は俺の味方なのか?」


千歳の問に黒い影はコクンと頷く。


「俺が影を纏っている時、話しかけてくるのは君?」


この問にも黒い影は頷く、はっきりとは見えないが微笑んでいるように見える。


「君の力を俺に貸してほしい。そのかわり俺のことは、もう守ろうとしなくていい。」

千歳の言葉を聞き黒い影は俯く、足下の真っ白な床にポタポタと黒い雫が落ちる。そして黒い影はドロッと人の形から崩れていき、龍の姿へと形を変えて千歳の前に姿を現した。

黒い龍は千歳の姿を見て咆哮をあげると、ビリビリと殺意が千歳の意識に伝わってくる。そして千歳の身体は金縛りにあったかのように動かなくなり、黒い龍の手に持つ剣が千歳の身体を貫く。

ーーーーー
ーーー


千歳の意識が目を覚まし起き上がると目の前には3つの岩があり、先程まで千歳の身体を包んでいた龍脈はなくなっていた。千歳は自分の身体を見て傷ひとつ無いことに安堵のため息をつく。

「チトセ、何があった?君の龍脈がなんか、こう・・・スゴい歪んでいたが。」

「あぁ・・・俺にもどういうわけだか。」

目覚める直前の千歳の龍脈の歪み、そして千歳の身体の凍えたような冷たさ、ダンテはこれ以上は危険だとその日の修行を断念した。

帰宅するとダンテは千歳に休息を取らせた、千歳が2階の部屋のベッドに寝転がっていると紗奈が部屋に入ってくる。

「おかえり、ちぃちゃん。大丈夫?」

「ただいま・・・うん、大丈夫だよ。」

『よかった』と安堵しながら紗奈は千歳が寝ているベッドに腰掛ける、そして少しの沈黙のあと紗奈が口を開く。

「びっくりしたよ、ちぃちゃんが龍脈の修行のためにアメリカに来てただなんて。」

帰宅の際、既に家にいた紗奈と千歳は顔を合わせた。その時の千歳の異常を感じ取り、紗奈はダンテに問い詰めたのだ。

「・・・聞いたんだ。」

「うん、若葉ちゃんのこともね。」

若葉がイザナミの器になったことは紗奈や双子姉妹に話せないでいた。話せばきっと彼女たちは無茶をする、千歳はそう思っていたからだ。

「私になにか手伝えることは無いかな?龍脈のことならキャプテン・ドラゴンを観てるからある程度はわかるよ。」

「えぇっと、じゃあ・・・」

得意気に胸を張る紗奈に千歳は自身の龍脈は黒い人影であること、そして修行での自身の夢の世界で起こったことを話した。紗奈は千歳の話を聞き、顎に手を当てて少し考えると口を開く。

「私はなんかわかるなぁ、の気持ち。」

「え?」

"その子"とはおそらく黒い人影の事だろう、紗奈の予想外の言葉に千歳は思わず声をあげた。
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