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肆章 氷雪の国・スノーメイル
十話、マジか此奴
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「で?何で風華がダウンしてる訳?」
「攻撃魔法の鍛錬をしていたんだが、魔力暴走を起こしてな。半端無理矢理気絶させた」
「…」
宿の近くにある開けた平原で、俺達は鍛錬をしてたんだけど、風華とヴィクトールが居る方向から爆発音が聞こえて走って行ったら、風華が倒れてて俺がヴィクトールを質問責めして今此処だ。
「何で魔力暴走を起こした」
「少量の魔力を使った後に、一気に大量の魔力を使う魔術を試したからだ。その高低差に耐えられず、魔力が暴走を起こした。魔力暴走は、魔力コントロールが出来る魔術師ほど起こし易いからな」
魔力暴走って言うのは、体に宿ってる魔力が元の形に落ち着けなくて崩れた時に起こる。元々コントロールが上手くて、基本魔力の形が崩れない魔術師は、少しでも揺らぎが起こると崩れてしまう事がある。風華の場合は、コントロールが上手いのに加えて、魔力量が膨大だから人より魔力暴走しやすいってししょーが言ってたっけ…
「…あんま無理させないでやってくれよ」
「それは出来ない相談だな。フウカが望んで行っている鍛錬だ。お前にとやかく言われる筋合いは無い」
「風華の体が壊れたら元も子もないから言ってんだよ!」
俺とヴィクトールの間に冷え切った空気が流れる。元々寒かったけど、更に何度か冷えた感じがする。
「お前はフウカの努力を踏み躙るのがお望みか?ライハ」
「…は?」
「フウカは強くなっていくお前に負けじと俺の厳しい鍛錬にも着いて来ている。勿論俺も本格的に不味いと感じたら止めさせる。だがそれは今では無い。お前は見守ると言う事すらできんのか」
俺に負けない為…?フウカ、俺にライバル意識持ってたのか…?それはそれで切磋琢磨出来て嬉しいけど、兄貴としては複雑なんだが…
「お前が強くなりたいとアレキサンダーに教えを乞う様に、フウカも攻撃魔法を自分の物にしようとしている。心配だろうが何だろうが、お前がフウカを本当に思うなら、何も言わずに見守れ。それが今出来るお前の最善だ」
「お前に言われたくねえし、俺の最善は俺が決める。風華は…風華は俺の宝物なんだよ!母上が残してくれた唯一の…もう失うのは御免だ。風華を失うくらいなら、俺は嫌われてでも風華を守る。それが俺の意地だ」
「…お前は本当に過保護で困る…」
ヴィクトールは溜息を吐くと、俺の目の前まで歩いて来て、俺の腕から風華を盗んで行った。は?!何だ彼奴!
「返せ」
「お前がフウカの本当の意思に気付ければ返してやる。だがそれまで、俺はフウカとお前を合わせる事はしない。精々悩め」
「あ、おい!!」
そのままフウカはヴィクトールに抱っこされて宿へと戻された。俺はその場に呆然と立ち尽くす。俺の心情を表す様に、さっきまで晴れてた空は黒い雲に覆われて、雪がチラチラと降っていた。
「攻撃魔法の鍛錬をしていたんだが、魔力暴走を起こしてな。半端無理矢理気絶させた」
「…」
宿の近くにある開けた平原で、俺達は鍛錬をしてたんだけど、風華とヴィクトールが居る方向から爆発音が聞こえて走って行ったら、風華が倒れてて俺がヴィクトールを質問責めして今此処だ。
「何で魔力暴走を起こした」
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魔力暴走って言うのは、体に宿ってる魔力が元の形に落ち着けなくて崩れた時に起こる。元々コントロールが上手くて、基本魔力の形が崩れない魔術師は、少しでも揺らぎが起こると崩れてしまう事がある。風華の場合は、コントロールが上手いのに加えて、魔力量が膨大だから人より魔力暴走しやすいってししょーが言ってたっけ…
「…あんま無理させないでやってくれよ」
「それは出来ない相談だな。フウカが望んで行っている鍛錬だ。お前にとやかく言われる筋合いは無い」
「風華の体が壊れたら元も子もないから言ってんだよ!」
俺とヴィクトールの間に冷え切った空気が流れる。元々寒かったけど、更に何度か冷えた感じがする。
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「…は?」
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「お前が強くなりたいとアレキサンダーに教えを乞う様に、フウカも攻撃魔法を自分の物にしようとしている。心配だろうが何だろうが、お前がフウカを本当に思うなら、何も言わずに見守れ。それが今出来るお前の最善だ」
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「返せ」
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「あ、おい!!」
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