双子の世界見聞録〜転生したら生まれた集落で忌子呼ばわりされたからとりま双子の妹と一緒に世界を回ることにした話〜

瑠璃川翡翠

文字の大きさ
165 / 186
肆章 氷雪の国・スノーメイル

二十八話、これは現実か?

しおりを挟む
「んあ…?寝てたのか…」


風華に弱音を吐露してから、体感だと数分。でも実際時計を見てみると、あれからもう数時間経っていた。ベッドサイドに居た筈の風華の姿が無くなってる。飯か?


「て言うか…静かすぎねえか?」


俺が居なくて静かなのは分かるが、レオンやせんせーが居てこんなに静まりかえってるなんて有り得るか?依頼…いや、今は夜中だ。そんな可能性は無い。せんせーは俺達を夜中に外に出す様な大人じゃねえからな。


「…おい!風華!」


ベッドからリビングに向かって声を張り上げても返事が無い。足は風華の魔術で治りかけてはいるけど、無理に動かしたらまた動かなくなるらしい。


「レオン!せんせー!マキア!」


どんなに名前を呼んでも、宿の中はシン…と静まっている。ヴィクトールがまだ寝てるから、風華もまだ宿に居る筈だ。なのに…何で…!


「クソッ…歩けないとか言ってる場合じゃねえな」


剣を鞘に仕舞ったまま、杖にしてリビングへと向かう。嫌な胸騒ぎがするんだ。


「風華?居るか?」


灯りの漏れているリビングへと顔を覗かせた。その瞬間、俺の体は床に転がり落ちた。支えが無くなった剣がカランと倒れたのも気付かない程に、目の前から目を離せない。


「は…?」


やっと喉から絞り出したのはそんな間抜けな声だった。声が震えて、体もそのまま身動きが取れない。


「ふ…か…?」


「これで全部か?」


「嗚呼。もう一匹は見つからねえから、また次の夜だ。そろそろ夜が明ける」


目の前には見慣れたイーブルギルドのロープ。そしてボロボロに痛め付けられた四人の姿だった。


「取り敢えず此奴等は闇市で、こっちは一回本部に連れ帰りだ。此奴は双子だから、どっちも揃わねえと意味が無え」


「…ッ!?」


気絶してる風華の髪を掴み上げて、乱暴に放り投げた。少し先に居る俺には目もくれない。見えてないってのか?


「しっかし、このパーティは宝の山だな。御使四人に有名な魔導人形、それに高名な魔術師と来た。しかも御使には双子と獣人…儀式か愛玩か…どっちにしろ地獄だな」


(動け…動けよ俺の体…風華達を助けねえとだろ!何で俺はこう言う時何も出来ない!!俺は何の為に強くなるって言ってんだよ!!)


必死に体を動かそうと藻搔くが、足が鉛の様になって動かない。段々と視界が狭くなる中で視たのは、薄汚い奴等のせせら嗤う表情だった。


「さ…にいさ…」


…やめてくれ…今の俺に風華の声を聞かせないでくれよ…


「兄さん…!」


俺は…結局彼奴を…


「兄さんご飯!!」


え…?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

処理中です...