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平和な日常のプロローグ
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魔術師、それは様々な『素質』を有する者のみが進むことのできる道。魔女、それは魔術師になるため、とある学園に集められた『素質』を有する者達を指す。これはアルバート学園に通う、何処か未熟な魔女達の平和な日常を綴った物語である。
ある日の夕刻、国内で唯一魔術課程が存在するアルバート学園のとある教室で、友人の帰還を待つ1人の魔女がいた。その魔女の手には『ルイスの花』と呼ばれる、エフォルト山脈の観光名所の伝承が綴られたパンフレットがある。その魔女はひとしきりの間を埋めるためにその伝承を読んでいた。
『吹雪は視界を奪い、意識を不確かなものにした。彼は、唯一の希望である魔力も底をつきかけ、震える体を成すすべなくゆっくりと摩る事しか出来なかった。そして、口と鼻から生命活動を行う度に、それこそが彼を苦しめる原因であり、そこが生き地獄なのだと彼は察する。打開のために最善の手を考える脳は生命維持を優先で、助かると言う虚勢に付き合っている暇などなく、結局は彼は彼の役割を全うしていた。
暫くして朦朧とする意識の中、気がつけば左頬に暖かいような冷たさを感じる。最後の最期まで、彼は無駄な足掻きを続けた。しかし、安らぎの時間が来たようだ。ふと、俯く顔を上げた時、その朧目に映る花一輪。その場に崩れた彼は、自分と違い、自然に負けじと強い根っことその意思に強さを感じた。
彼は最後の餞に、届いてるかすらわからないが、その花に向け手を伸ばし、残り極小量の魔力を自分の生命と共にその花に与えた。家族を顧みる事なく、生き続ける人生を送ることしかできなかった彼は、己が人生の末端で自然の脅威と華美な自然を知ることができたのだ。
その花は、彼の命を受け継ぎ成長をし続け、大きな花を咲かせる。『ルイスの花』、それが一輪の花に着いた呼称だ』
その全文を読み終えた魔女は、パンフレットを自らの鞄にしまい、教卓の前で教師と対峙する友人の為体を見つめていた。
「全くお前は!極寒の地に咲くルイスの花を見習え!」
その友人に厳しい声が降り注いだ。それは叱責であり、期待に対する結果に呆れて縋る言葉だった。しかし、叱られている友人を傍聴している魔女の心には、一抹の疑念が浮かぶ。
その疑問とは、友人が反省をしていないのではないかというものだ。それを裏付ける事実として、教師が友人に対しこの話をするのはもう何度目かなのである。1度ならず2度、2度ならず3度と積み上げられてきた反省は、上辺だけなのでは無いかと思い始める。そして、またこの反省も意味が無くなり、またこの退屈が訪れるのではとも魔女は思う。
何度繰り返した刹那だろうか、あまりにも長い待ち時間なので、魔女は頭の中で今日習った全ての魔術構文を復習し、組み合わせ、新たな魔術を生み出そうとしていた。
今暫く友人が叱られているため、この2人について話そう。この2人、その魔女とその友人はその学園内でも有名なコンビなのである。2人共互いに大きな特徴を持っており、その特徴が互いを補完することができる。その相乗効果で生み出される実力が、学園でも有名な2人である所以である。
他にも2人共、それぞれの特徴が稀有なもので、単独で存在感を放っていた。例えば現在魔女と記している人物は、魔術法規最高機関の魔術省が公認する異能の1人だ。魔女の功績として、現存する魔術構文の魔力効率を格段に上げるチューニングを行なった事がある。他にも現代に存在する魔術を組み合わせ、独自の魔術を生み出し、その魔術を学校に提供した事もある。これら魔術に対する貢献度が高さがその魔女が有名な理由、その一つとしてあげられる。
現代に置いて異能とされる魔女であるが、魔術師としての才能に最悪とも呼べる欠点が1つある。それは魔力量が極端に少ない欠陥だ。魔力とは魔術を使う為に必要なエネルギーであり、一定以上の魔力が無ければ魔術師にはなれない。ただ魔女はとある方法で乗り越えて現在この学園で過ごしている。これが魔女マリアの大きな特徴である。
「ごめんねマリア。随分と待たせちゃった」
「待つのは構いません。ちゃんと反省するのですよメリー」
「はーい」
マリアの友人、メリーも魔女である。メリーはマリアと違い、魔術構文に関しての知識などは殆ど無い。メリーの年次の魔術構文の習得目標にはギリギリ届く程度である。それに加えて自由奔放な性格が悪い方面に発揮される事が多い。その結果として授業を抜け出し学園内の地図作成へ向かったり、遅刻を繰り返すなど、問題児的な側面が強い。
しかし、メリーには誰にも負けない特徴がある。それは不変の魔力。そのあまりにも膨大な魔力量は、魔力量が測定可能になった近代史上、最上とされている。その量は、神の依代と呼ばれる魔術省大臣を凌駕する程で、幾ら魔術を行使しても、魔力量の変化を感知することは出来ない。
ただ、メリー本人の学習能力が平凡以下なので若干持て余してる。その中でもメリーはその魔力量を生かし、情報の保持に魔力が必要な地図魔術の精度に関しては、彼女の右に出るものはいない。これが不変の魔力を持つ魔女、メリーの特徴だ。
先生によるメリーに対する長い説教が終わった後、2人は教室の隅にいた。そこには、椅子に大人しく座るマリアと、5階にある教室で開かれた窓の淵に座るメリーしか居ない。彼女らの会話はメリーが叱られたことに対し、しっかりと反省をしているかどうかの確認から始まった。がしかし、時間が経つにつれて話が段々と逸れ始める。
「それにしてもあの先生、ルイスの花の話すごい好きだよね」
メリーは先生が口酸っぱく話すルイスの花を話題に上げた。
「まあ、テイラー先生はルイスの花が大好きですから。そして、それにもちゃんと理由があるのです」
「そうなの?あそこまでぞっこんなのはちょっと気になりますなぁ。教えて下さるマリア様?」
「普通に聞かないと突き落としますよ?」
「あはは、ごめんごめん。それで、テイラー先生は何でルイスの花が好きなの?」
聞き返されたマリアは指で宙に文字を描き始める。そして、ある一点の文字を書き終えた途端、選手名鑑のような映像が宙に映された。
「おー!今のが問合魔術構文ってやつ?」
「そうです、これは知ってるのですね」
「酷いなぁ。そりゃ知ってるよぉ。この間マリアが練習するのに付き合ったからね!」
「そう言えばそうでしたね。とはいえ、扱い始めてまだ数日程度なので、構文記述に時間が掛かってしまいました」
「常人は11ヶ月かかるらしいけど」
「それで、これが私が知っているテイラー・オリビア先生の情報から、ルイスの花との関連している部分を抜き出したものです」
マリアが導き出した情報にはテイラーの出身地が記載されていた。
「って出身地だけじゃん。これだけなの?」
「はい」
「他の情報も見たいけど、そう言うわけにはいかないよねぇ」
「はい、私が倒れてしまいます」
「貧弱魔力め」
「うるさいですよ、問題児さん」
「うへへ、それでこの出身地のエフォルトがルイスの花とどんな関係があるの?」
マリアは少し驚く。
「何その顔?」
「え、あぁ、本当に知ってないのですね。珍しい」
「うへへ」
「褒めてないですよ」
マリアは少しだけ鞄を漁り、先ほどのパンフレットを取り出す。
「これを見てください。ほら」
「これは綺麗な花だなぁ。エフォルトにはこんな花があるの?」
「そうです。これがルイスの花ですし、ルイスの花はここ、エフォルト山脈の観光名所ですよ。そして、テイラー先生はその近くの集落の出身ですから、関連性があるのです」
「っえ、ルイスの花って実在するの」
マリアの首から上が枝垂れる。そこには明らかに落胆の雰囲気が漂っていた。さらにマリアは、もしかしたらメリーはルイスの花が実在しない空想のお話だから反省をしなかったのでは無いのではないか?と余計な思考を巡らせる。それを確かめる為、マリアは事実確認と付加情報をメリーに捲し立てた。
「知らなかったんですか?エフォルトにあるエフォルト山脈こそ、ルイスの花が存在する場所ですよ」
「知らないなぁ」
「そもそも、このパンフレットやテイラー先生が話すルイスの花の伝承は、実在するルイスの花に触れた賢者様によって、ルイスの花から記憶を読み取って記した魔術省公認の実話ですからね」
「初耳だよ」
「だからですか」
「何が?」
「何でもないです」
マリアは自身の考えが恐らく正解である事が確定した所で話を切る。そこから少しだけ話が進み、他愛無い談笑を繰り返す2人。
時間が流れ、夕陽が落ち始めた頃、帰宅の準備をし始めたマリアの元にメリーの不穏な一言が届く。
「エフォルトってここからどのくらいで着くんだろう」
帰宅の支度を済ませたマリアは、帰宅の準備はおろか、未だ窓の淵に座り続けるメリーの発言に体を強張らせた。
「ま、まさか、メリー?行く気じゃないですよね?」
「うーん?」
「一応、リバティ鉄道のアルバート学園前駅から出ている特急列車に乗れば2時間ぐらいで着きます、けど」
はっきりとしない答えに、一応エフォルトへの行き方を教えるマリア。それを聞いたメリーは応えた。
「意外と近いね」
「近くないです」
「ねぇ、マリア、今から行こうか」
マリアは恐れていた一言に、深いため息と絶望的な表情の二つの情報で応戦する。
「はぁ、本当に行こうと思うとは思いもしませんでしたよ」
しかし、こんな小細工はメリーには効かない事をマリアは知っていた。
「憂さ晴らし、憂さ晴らし。ルイスの花ってのがどれだけ凄いものなのかこの目に焼き付けることで私も何かしら成長するんじゃないかなってね」
メリーは足をバタつかせながら話す。マリアはその様子を見て半ば諦めながら最後の足掻きをする。
「そうですね。そうなれば私も嬉しい限りです。が、ルイスの花は、そこへ向かうルートはあったとしても、今の季節は一般の観光客が入れない場所にあります。ので、現実的に難しいと思いますよ?」
「えぇ、それじゃあ、私は成長しないままだよぉ?マリアはそれでもいいって言うの?」
「そういう訳じゃ…」
「ぅう、悲しいなぁ、ってぅぉあ!」
メリーはマリアの反応に泣き真似で答えた。その行為のためにバランスを支えていた手を離してしまった。焦ったのも瞬間、メリーはバランスを崩し窓から落ちそうになる。
「メリー!」
本能的に動いたマリアは、落下寸前の所でメリーの手を掴む。
「ぐぬゔゔ、マリアぁぁぁ」
「メリィィィ、ごめんなさいぃぃぃ」
固く掴んだ手は離れなかった。だが残念な事に、マリアにはメリーを引き上げるだけの力がなかった。やがて窓の外に倒れるメリーに、マリアは自らもろとも引っ張られ、2人とも外に投げられてしまった。
「うわぁぁぁぁ!マリアごめんなさぃぃぃ」
マリアにメリーの謝罪に返す余裕は無い。それはこの状況を凌ぐために全身を尽くしていたからだ。そして、自由落下を始める刹那、マリアは無意識に言葉を発した。
「飛べ!」
しかし、状況は変わらない。2人の体は4階の高さまで落ち、メリーは意識の狭間にいた。しかしそれでも、マリアは叫ぶ。
「飛べ!」
しかし、状況は変わらない。3階、一巻の終わりを覚悟する高さまで来た。がしかし、マリアは力強く、念じる様に叫んだ。
「飛べぇぇぇぇ!」
その奇跡の目撃者は学園の理事長だけだった。理事長の手記にはこう記されていた。
『それは暴走とも言える魔術だった。まず、マリアは1度目と2度目の段階で魔術を完成させていたが、発動に魔力が足りていない。3度目は生存本能がそれを許さなかったんだろう。メリーとマリアの間に魔力遷移が発生した。必要な魔力が揃ったところで、言葉に応じる様に、多くの文字が刻まれた淡い光が2人を包み、その光が消える頃、2人に奇跡が起きたのだ』
後日記にあった通り、彼女らに奇跡が起きる。そして、それに気づいたのは自分の身体に違和感を覚えて目を覚ましたメリーだ。
「っえ!すご!マリア!ねえマリア!マリアってば!」
無理を悟ったマリアも、気を失っていた。しかし、あまりにも五月蝿く響くメリーの声で目を覚ます。
「もう、何ですか」
「何って見てよ!ほら私たち浮いてる!!」
「そんな事が、これはまさか」
それは奇跡とも言える魔術だった。2人の自由落下は2階の高さで止まったのだ。いや、正確には若干上下に揺れており、完全に落下が止まっているわけではなかった。
「やっぱりそうだよね!マリアがそれだけ取り乱すって事は!」
「これは恐らく魔法です!ただ、魔力の消費による倦怠感が発生しないと言うことは」
「私の魔力じゃないかな?」
「そうでしたか、ごめんなさい。また勝手に」
「いや、うん、今回は私が本当に悪いし、気にしないで。てか、私の魔力を使う事自体、いつでもいいんだから」
それから少しだけ会話が進み、問題の焦点は現在の状況に向けられた。
「しかし、浮いてますねこれは」
「そうだね、浮いてるね」
「授業中のメリー並みに浮いてますね」
「どさくさに紛ればいいと思うなよ?てか、これ、私、マリアから手放しても大丈夫なのかな?」
「分からないので一瞬だけ離してみますか、はい」
「私の同意を得てからに、ってうぁぁぁ!」
マリアがメリーを掴んでいた手を離したあと刹那の間を開けてからメリーは自由落下を再開した。落下の瞬間に少しのズレを感じ取ったマリアは、メリーが重力を感じて少し落下したところで再度手を掴む事ができたのだ。
「落下する寸前までに、魔術解除の遷移があったので瞬間的な落下で済みましたね。良かったです」
「良くないよぉ、ほんと、良くないよぉ。友人の命なんだと思ってるんだよぉ」
「もし落ちたとしても、この距離なら地面に向けて強力な黒魔術を放つとかすれば落下の衝撃を和らげることができるので、覚えておいて下さい」
「せめて、先に言おう。あと使えないの分かってて言ってるでしょ」
「はい」
「むぅ」
下唇を持ち上げ、山の様な形の口で不満を訴えるメリー。
「拗ねないで下さい。それで、恐らくこの魔術は魔法の類になると思います。なので、使い方は感覚です」
「ふむふむ」
「触れているものにも影響を及ぼすので、早く操作及び解除方法を探らないといけないのですが」
メリーは話の途中である事に気がつく。
「ねぇマリア、さっきから少しずつ高さ変わってない?」
マリアはメリーの発言を聞いて、先程まで見えてた2階にある教室の窓の方を見る。しかし、そこにあったのは窓ではなく1階と2階の境であり、メリーが言った通り徐々に落下してることを把握する。マリアはこの魔法の利便性と危険性の2つを理解しメリーに言葉を返す。
「この魔法は研究が必要そうです。解除する方法も分からないので」
「そうだね、さあどうやっても解除するのかな」
徐々に下がる高度はついに一階の教室の窓上まで来ていた。
「およそ2m、この高さなら防護魔術をかければ怪我もすることはないでしょう」
「うん?まあ」
「それでは手順を説明しますね」
「おーけー」
元気よく返事をするメリーに、マリアは無慈悲な一言を放つ。
「まずはメリーを落とします」
「え、心の準備がぁぁぁ」
マリアは無詠唱で軽度の防護魔術をメリーに付与し、マリアの手を離す。そして、叫びながら落下していくメリー。ちゃんと地面に着地できたのを確認したマリアは、次の手順を説明する。
「危ないなぁ。マリア、次はどうすればいい?」
「今からリンクを切ります」
「正気?」
「はい、それで魔力不足で魔術自体を強制終了させます」
「あー、はいはい。それで落下するマリアを受け止めればいいのね。ちょっと待ってね。…おし、こいや!」
落下点にメリーが来た事を確認して、マリアは魔術構文の記述を始めた。
「それでは、行きます」
「おーけー!」
構文を書き終えた瞬間、マリアから淡い光が放たれ、瞬間に消えた。それと同時にマリアの体は落下を再開し、メリーによって掬われる。メリーに抱き抱えられたマリアは、薄らに眼でメリーに話しかける。
「ありがとうございます、メリー。申し訳ないのですが、このまま座れる場所まで私を運んだ後、教室から私達の荷物を持ってきてはくれないでしょうか」
「おーけー、分かったよマリア。すぐ行ってくるね!」
魔女マリア、彼女の欠点は彼女の自由を、才能を制限する。マリアはメリーとの間に発生した魔力共有を遮断したのだ。そして、マリアが持つ極小な魔力量を利用し、必要魔力量を不足させた。その結果、魔術の継続行使が不可となり、彼女の体にもたらされていた効果が切れたのだ。
「マリア!お待たせ、持ってきたよ」
「ありがとう、メリー。それじゃ、あ、かえ、りま…」
「ここで寝ちゃったかぁ、仕方ない背負って帰るか。…よいっしょっと!はぁ、私が少し応用的な魔術が使えれば少しは楽になるんだけどなぁ」
茜色が空を統べ、欠けた月が昇る頃。2人の魔女は帰路につく。これは魔女にとっての平和な日常譚であり、この2人の成長を辿る記録だ。
ある日の夕刻、国内で唯一魔術課程が存在するアルバート学園のとある教室で、友人の帰還を待つ1人の魔女がいた。その魔女の手には『ルイスの花』と呼ばれる、エフォルト山脈の観光名所の伝承が綴られたパンフレットがある。その魔女はひとしきりの間を埋めるためにその伝承を読んでいた。
『吹雪は視界を奪い、意識を不確かなものにした。彼は、唯一の希望である魔力も底をつきかけ、震える体を成すすべなくゆっくりと摩る事しか出来なかった。そして、口と鼻から生命活動を行う度に、それこそが彼を苦しめる原因であり、そこが生き地獄なのだと彼は察する。打開のために最善の手を考える脳は生命維持を優先で、助かると言う虚勢に付き合っている暇などなく、結局は彼は彼の役割を全うしていた。
暫くして朦朧とする意識の中、気がつけば左頬に暖かいような冷たさを感じる。最後の最期まで、彼は無駄な足掻きを続けた。しかし、安らぎの時間が来たようだ。ふと、俯く顔を上げた時、その朧目に映る花一輪。その場に崩れた彼は、自分と違い、自然に負けじと強い根っことその意思に強さを感じた。
彼は最後の餞に、届いてるかすらわからないが、その花に向け手を伸ばし、残り極小量の魔力を自分の生命と共にその花に与えた。家族を顧みる事なく、生き続ける人生を送ることしかできなかった彼は、己が人生の末端で自然の脅威と華美な自然を知ることができたのだ。
その花は、彼の命を受け継ぎ成長をし続け、大きな花を咲かせる。『ルイスの花』、それが一輪の花に着いた呼称だ』
その全文を読み終えた魔女は、パンフレットを自らの鞄にしまい、教卓の前で教師と対峙する友人の為体を見つめていた。
「全くお前は!極寒の地に咲くルイスの花を見習え!」
その友人に厳しい声が降り注いだ。それは叱責であり、期待に対する結果に呆れて縋る言葉だった。しかし、叱られている友人を傍聴している魔女の心には、一抹の疑念が浮かぶ。
その疑問とは、友人が反省をしていないのではないかというものだ。それを裏付ける事実として、教師が友人に対しこの話をするのはもう何度目かなのである。1度ならず2度、2度ならず3度と積み上げられてきた反省は、上辺だけなのでは無いかと思い始める。そして、またこの反省も意味が無くなり、またこの退屈が訪れるのではとも魔女は思う。
何度繰り返した刹那だろうか、あまりにも長い待ち時間なので、魔女は頭の中で今日習った全ての魔術構文を復習し、組み合わせ、新たな魔術を生み出そうとしていた。
今暫く友人が叱られているため、この2人について話そう。この2人、その魔女とその友人はその学園内でも有名なコンビなのである。2人共互いに大きな特徴を持っており、その特徴が互いを補完することができる。その相乗効果で生み出される実力が、学園でも有名な2人である所以である。
他にも2人共、それぞれの特徴が稀有なもので、単独で存在感を放っていた。例えば現在魔女と記している人物は、魔術法規最高機関の魔術省が公認する異能の1人だ。魔女の功績として、現存する魔術構文の魔力効率を格段に上げるチューニングを行なった事がある。他にも現代に存在する魔術を組み合わせ、独自の魔術を生み出し、その魔術を学校に提供した事もある。これら魔術に対する貢献度が高さがその魔女が有名な理由、その一つとしてあげられる。
現代に置いて異能とされる魔女であるが、魔術師としての才能に最悪とも呼べる欠点が1つある。それは魔力量が極端に少ない欠陥だ。魔力とは魔術を使う為に必要なエネルギーであり、一定以上の魔力が無ければ魔術師にはなれない。ただ魔女はとある方法で乗り越えて現在この学園で過ごしている。これが魔女マリアの大きな特徴である。
「ごめんねマリア。随分と待たせちゃった」
「待つのは構いません。ちゃんと反省するのですよメリー」
「はーい」
マリアの友人、メリーも魔女である。メリーはマリアと違い、魔術構文に関しての知識などは殆ど無い。メリーの年次の魔術構文の習得目標にはギリギリ届く程度である。それに加えて自由奔放な性格が悪い方面に発揮される事が多い。その結果として授業を抜け出し学園内の地図作成へ向かったり、遅刻を繰り返すなど、問題児的な側面が強い。
しかし、メリーには誰にも負けない特徴がある。それは不変の魔力。そのあまりにも膨大な魔力量は、魔力量が測定可能になった近代史上、最上とされている。その量は、神の依代と呼ばれる魔術省大臣を凌駕する程で、幾ら魔術を行使しても、魔力量の変化を感知することは出来ない。
ただ、メリー本人の学習能力が平凡以下なので若干持て余してる。その中でもメリーはその魔力量を生かし、情報の保持に魔力が必要な地図魔術の精度に関しては、彼女の右に出るものはいない。これが不変の魔力を持つ魔女、メリーの特徴だ。
先生によるメリーに対する長い説教が終わった後、2人は教室の隅にいた。そこには、椅子に大人しく座るマリアと、5階にある教室で開かれた窓の淵に座るメリーしか居ない。彼女らの会話はメリーが叱られたことに対し、しっかりと反省をしているかどうかの確認から始まった。がしかし、時間が経つにつれて話が段々と逸れ始める。
「それにしてもあの先生、ルイスの花の話すごい好きだよね」
メリーは先生が口酸っぱく話すルイスの花を話題に上げた。
「まあ、テイラー先生はルイスの花が大好きですから。そして、それにもちゃんと理由があるのです」
「そうなの?あそこまでぞっこんなのはちょっと気になりますなぁ。教えて下さるマリア様?」
「普通に聞かないと突き落としますよ?」
「あはは、ごめんごめん。それで、テイラー先生は何でルイスの花が好きなの?」
聞き返されたマリアは指で宙に文字を描き始める。そして、ある一点の文字を書き終えた途端、選手名鑑のような映像が宙に映された。
「おー!今のが問合魔術構文ってやつ?」
「そうです、これは知ってるのですね」
「酷いなぁ。そりゃ知ってるよぉ。この間マリアが練習するのに付き合ったからね!」
「そう言えばそうでしたね。とはいえ、扱い始めてまだ数日程度なので、構文記述に時間が掛かってしまいました」
「常人は11ヶ月かかるらしいけど」
「それで、これが私が知っているテイラー・オリビア先生の情報から、ルイスの花との関連している部分を抜き出したものです」
マリアが導き出した情報にはテイラーの出身地が記載されていた。
「って出身地だけじゃん。これだけなの?」
「はい」
「他の情報も見たいけど、そう言うわけにはいかないよねぇ」
「はい、私が倒れてしまいます」
「貧弱魔力め」
「うるさいですよ、問題児さん」
「うへへ、それでこの出身地のエフォルトがルイスの花とどんな関係があるの?」
マリアは少し驚く。
「何その顔?」
「え、あぁ、本当に知ってないのですね。珍しい」
「うへへ」
「褒めてないですよ」
マリアは少しだけ鞄を漁り、先ほどのパンフレットを取り出す。
「これを見てください。ほら」
「これは綺麗な花だなぁ。エフォルトにはこんな花があるの?」
「そうです。これがルイスの花ですし、ルイスの花はここ、エフォルト山脈の観光名所ですよ。そして、テイラー先生はその近くの集落の出身ですから、関連性があるのです」
「っえ、ルイスの花って実在するの」
マリアの首から上が枝垂れる。そこには明らかに落胆の雰囲気が漂っていた。さらにマリアは、もしかしたらメリーはルイスの花が実在しない空想のお話だから反省をしなかったのでは無いのではないか?と余計な思考を巡らせる。それを確かめる為、マリアは事実確認と付加情報をメリーに捲し立てた。
「知らなかったんですか?エフォルトにあるエフォルト山脈こそ、ルイスの花が存在する場所ですよ」
「知らないなぁ」
「そもそも、このパンフレットやテイラー先生が話すルイスの花の伝承は、実在するルイスの花に触れた賢者様によって、ルイスの花から記憶を読み取って記した魔術省公認の実話ですからね」
「初耳だよ」
「だからですか」
「何が?」
「何でもないです」
マリアは自身の考えが恐らく正解である事が確定した所で話を切る。そこから少しだけ話が進み、他愛無い談笑を繰り返す2人。
時間が流れ、夕陽が落ち始めた頃、帰宅の準備をし始めたマリアの元にメリーの不穏な一言が届く。
「エフォルトってここからどのくらいで着くんだろう」
帰宅の支度を済ませたマリアは、帰宅の準備はおろか、未だ窓の淵に座り続けるメリーの発言に体を強張らせた。
「ま、まさか、メリー?行く気じゃないですよね?」
「うーん?」
「一応、リバティ鉄道のアルバート学園前駅から出ている特急列車に乗れば2時間ぐらいで着きます、けど」
はっきりとしない答えに、一応エフォルトへの行き方を教えるマリア。それを聞いたメリーは応えた。
「意外と近いね」
「近くないです」
「ねぇ、マリア、今から行こうか」
マリアは恐れていた一言に、深いため息と絶望的な表情の二つの情報で応戦する。
「はぁ、本当に行こうと思うとは思いもしませんでしたよ」
しかし、こんな小細工はメリーには効かない事をマリアは知っていた。
「憂さ晴らし、憂さ晴らし。ルイスの花ってのがどれだけ凄いものなのかこの目に焼き付けることで私も何かしら成長するんじゃないかなってね」
メリーは足をバタつかせながら話す。マリアはその様子を見て半ば諦めながら最後の足掻きをする。
「そうですね。そうなれば私も嬉しい限りです。が、ルイスの花は、そこへ向かうルートはあったとしても、今の季節は一般の観光客が入れない場所にあります。ので、現実的に難しいと思いますよ?」
「えぇ、それじゃあ、私は成長しないままだよぉ?マリアはそれでもいいって言うの?」
「そういう訳じゃ…」
「ぅう、悲しいなぁ、ってぅぉあ!」
メリーはマリアの反応に泣き真似で答えた。その行為のためにバランスを支えていた手を離してしまった。焦ったのも瞬間、メリーはバランスを崩し窓から落ちそうになる。
「メリー!」
本能的に動いたマリアは、落下寸前の所でメリーの手を掴む。
「ぐぬゔゔ、マリアぁぁぁ」
「メリィィィ、ごめんなさいぃぃぃ」
固く掴んだ手は離れなかった。だが残念な事に、マリアにはメリーを引き上げるだけの力がなかった。やがて窓の外に倒れるメリーに、マリアは自らもろとも引っ張られ、2人とも外に投げられてしまった。
「うわぁぁぁぁ!マリアごめんなさぃぃぃ」
マリアにメリーの謝罪に返す余裕は無い。それはこの状況を凌ぐために全身を尽くしていたからだ。そして、自由落下を始める刹那、マリアは無意識に言葉を発した。
「飛べ!」
しかし、状況は変わらない。2人の体は4階の高さまで落ち、メリーは意識の狭間にいた。しかしそれでも、マリアは叫ぶ。
「飛べ!」
しかし、状況は変わらない。3階、一巻の終わりを覚悟する高さまで来た。がしかし、マリアは力強く、念じる様に叫んだ。
「飛べぇぇぇぇ!」
その奇跡の目撃者は学園の理事長だけだった。理事長の手記にはこう記されていた。
『それは暴走とも言える魔術だった。まず、マリアは1度目と2度目の段階で魔術を完成させていたが、発動に魔力が足りていない。3度目は生存本能がそれを許さなかったんだろう。メリーとマリアの間に魔力遷移が発生した。必要な魔力が揃ったところで、言葉に応じる様に、多くの文字が刻まれた淡い光が2人を包み、その光が消える頃、2人に奇跡が起きたのだ』
後日記にあった通り、彼女らに奇跡が起きる。そして、それに気づいたのは自分の身体に違和感を覚えて目を覚ましたメリーだ。
「っえ!すご!マリア!ねえマリア!マリアってば!」
無理を悟ったマリアも、気を失っていた。しかし、あまりにも五月蝿く響くメリーの声で目を覚ます。
「もう、何ですか」
「何って見てよ!ほら私たち浮いてる!!」
「そんな事が、これはまさか」
それは奇跡とも言える魔術だった。2人の自由落下は2階の高さで止まったのだ。いや、正確には若干上下に揺れており、完全に落下が止まっているわけではなかった。
「やっぱりそうだよね!マリアがそれだけ取り乱すって事は!」
「これは恐らく魔法です!ただ、魔力の消費による倦怠感が発生しないと言うことは」
「私の魔力じゃないかな?」
「そうでしたか、ごめんなさい。また勝手に」
「いや、うん、今回は私が本当に悪いし、気にしないで。てか、私の魔力を使う事自体、いつでもいいんだから」
それから少しだけ会話が進み、問題の焦点は現在の状況に向けられた。
「しかし、浮いてますねこれは」
「そうだね、浮いてるね」
「授業中のメリー並みに浮いてますね」
「どさくさに紛ればいいと思うなよ?てか、これ、私、マリアから手放しても大丈夫なのかな?」
「分からないので一瞬だけ離してみますか、はい」
「私の同意を得てからに、ってうぁぁぁ!」
マリアがメリーを掴んでいた手を離したあと刹那の間を開けてからメリーは自由落下を再開した。落下の瞬間に少しのズレを感じ取ったマリアは、メリーが重力を感じて少し落下したところで再度手を掴む事ができたのだ。
「落下する寸前までに、魔術解除の遷移があったので瞬間的な落下で済みましたね。良かったです」
「良くないよぉ、ほんと、良くないよぉ。友人の命なんだと思ってるんだよぉ」
「もし落ちたとしても、この距離なら地面に向けて強力な黒魔術を放つとかすれば落下の衝撃を和らげることができるので、覚えておいて下さい」
「せめて、先に言おう。あと使えないの分かってて言ってるでしょ」
「はい」
「むぅ」
下唇を持ち上げ、山の様な形の口で不満を訴えるメリー。
「拗ねないで下さい。それで、恐らくこの魔術は魔法の類になると思います。なので、使い方は感覚です」
「ふむふむ」
「触れているものにも影響を及ぼすので、早く操作及び解除方法を探らないといけないのですが」
メリーは話の途中である事に気がつく。
「ねぇマリア、さっきから少しずつ高さ変わってない?」
マリアはメリーの発言を聞いて、先程まで見えてた2階にある教室の窓の方を見る。しかし、そこにあったのは窓ではなく1階と2階の境であり、メリーが言った通り徐々に落下してることを把握する。マリアはこの魔法の利便性と危険性の2つを理解しメリーに言葉を返す。
「この魔法は研究が必要そうです。解除する方法も分からないので」
「そうだね、さあどうやっても解除するのかな」
徐々に下がる高度はついに一階の教室の窓上まで来ていた。
「およそ2m、この高さなら防護魔術をかければ怪我もすることはないでしょう」
「うん?まあ」
「それでは手順を説明しますね」
「おーけー」
元気よく返事をするメリーに、マリアは無慈悲な一言を放つ。
「まずはメリーを落とします」
「え、心の準備がぁぁぁ」
マリアは無詠唱で軽度の防護魔術をメリーに付与し、マリアの手を離す。そして、叫びながら落下していくメリー。ちゃんと地面に着地できたのを確認したマリアは、次の手順を説明する。
「危ないなぁ。マリア、次はどうすればいい?」
「今からリンクを切ります」
「正気?」
「はい、それで魔力不足で魔術自体を強制終了させます」
「あー、はいはい。それで落下するマリアを受け止めればいいのね。ちょっと待ってね。…おし、こいや!」
落下点にメリーが来た事を確認して、マリアは魔術構文の記述を始めた。
「それでは、行きます」
「おーけー!」
構文を書き終えた瞬間、マリアから淡い光が放たれ、瞬間に消えた。それと同時にマリアの体は落下を再開し、メリーによって掬われる。メリーに抱き抱えられたマリアは、薄らに眼でメリーに話しかける。
「ありがとうございます、メリー。申し訳ないのですが、このまま座れる場所まで私を運んだ後、教室から私達の荷物を持ってきてはくれないでしょうか」
「おーけー、分かったよマリア。すぐ行ってくるね!」
魔女マリア、彼女の欠点は彼女の自由を、才能を制限する。マリアはメリーとの間に発生した魔力共有を遮断したのだ。そして、マリアが持つ極小な魔力量を利用し、必要魔力量を不足させた。その結果、魔術の継続行使が不可となり、彼女の体にもたらされていた効果が切れたのだ。
「マリア!お待たせ、持ってきたよ」
「ありがとう、メリー。それじゃ、あ、かえ、りま…」
「ここで寝ちゃったかぁ、仕方ない背負って帰るか。…よいっしょっと!はぁ、私が少し応用的な魔術が使えれば少しは楽になるんだけどなぁ」
茜色が空を統べ、欠けた月が昇る頃。2人の魔女は帰路につく。これは魔女にとっての平和な日常譚であり、この2人の成長を辿る記録だ。
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