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二人の関係
恋人
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その夜、千鶴と私は確かめあうように深く愛し合った。
セックスのあとも裸のままベッドに横たわり、お互いの温もりを感じあう。
「先生、もう一度好きって言って…?」
「大好きですよ」
千鶴は心底嬉しそうに私の胸に顔をうずめる。
「私は先生の恋人になれたんですね」
ああ、そうか。
この子が私のものになったと同時に、私もこの子のものになったのだ。
不安がないわけではないが、今は特に、安心感が大きい。
「そうですね、これからよろしくお願いします」
「早速なんですが…
今日は泊まっていっていいですか……?」
「明日は祝日ですし私は構いませんが、親御さんは大丈夫ですか?」
「大丈夫です、お父さん今日も泊まり込みでお仕事だから」
このとき私は、千鶴の家族のことを初めて知った。
母親は中学生の頃に事故で亡くなったそうだ。
元より余裕のない暮らしをしていた彼女の家は、働き手をひとり失ってかなり貧窮したらしい。
大学進学こそ諦めざるを得なかったが、父親は彼女に苦労をかけないよう、今も働き詰めで借金をひとりで返済していると。
それなりに苦労してる子なのだ。
「先生のおうちは?どんな家族ですか?」
「どんなと言っても、普通ですよ。
両親は幼い頃に離婚して、父親とはそれきり。母親とも今はもうあまり連絡をとってません。
祖母には時々電話をしてますが…」
そう言えば、最近田舎に住む祖母に会いに行けていない。
彼女ももう90歳を迎えようとしている。電話で話していても時々つじつまがあわないことがある。一瞬に過ごせる時間は少ないのだろうな…。
「そろそろ顔を出さないとな…」
そう独り言を呟いた。
「…。」
静かになった千鶴の顔を覗くと、すやすやと寝息をたてていた。
こう見るとまだあどけなささえ残している。
その子を祖母のところに連れていったら、驚くだろうな。
と思ってから、自分で自分を少し笑った。
結婚する気か?この18歳も歳下の子と?
それでも、付き合うと言うことはそれを視野に入れるということだ。
少なくとも私はそう言う認識でいる。
千鶴とはこの先も苦労や障害は多いだろう。
それでも私は私を愛してくれるこの女性のためにできる限りのことをしたいと思う。
「…おやすみ千鶴さん」
私も彼女を抱き締めながら眠りについた。
セックスのあとも裸のままベッドに横たわり、お互いの温もりを感じあう。
「先生、もう一度好きって言って…?」
「大好きですよ」
千鶴は心底嬉しそうに私の胸に顔をうずめる。
「私は先生の恋人になれたんですね」
ああ、そうか。
この子が私のものになったと同時に、私もこの子のものになったのだ。
不安がないわけではないが、今は特に、安心感が大きい。
「そうですね、これからよろしくお願いします」
「早速なんですが…
今日は泊まっていっていいですか……?」
「明日は祝日ですし私は構いませんが、親御さんは大丈夫ですか?」
「大丈夫です、お父さん今日も泊まり込みでお仕事だから」
このとき私は、千鶴の家族のことを初めて知った。
母親は中学生の頃に事故で亡くなったそうだ。
元より余裕のない暮らしをしていた彼女の家は、働き手をひとり失ってかなり貧窮したらしい。
大学進学こそ諦めざるを得なかったが、父親は彼女に苦労をかけないよう、今も働き詰めで借金をひとりで返済していると。
それなりに苦労してる子なのだ。
「先生のおうちは?どんな家族ですか?」
「どんなと言っても、普通ですよ。
両親は幼い頃に離婚して、父親とはそれきり。母親とも今はもうあまり連絡をとってません。
祖母には時々電話をしてますが…」
そう言えば、最近田舎に住む祖母に会いに行けていない。
彼女ももう90歳を迎えようとしている。電話で話していても時々つじつまがあわないことがある。一瞬に過ごせる時間は少ないのだろうな…。
「そろそろ顔を出さないとな…」
そう独り言を呟いた。
「…。」
静かになった千鶴の顔を覗くと、すやすやと寝息をたてていた。
こう見るとまだあどけなささえ残している。
その子を祖母のところに連れていったら、驚くだろうな。
と思ってから、自分で自分を少し笑った。
結婚する気か?この18歳も歳下の子と?
それでも、付き合うと言うことはそれを視野に入れるということだ。
少なくとも私はそう言う認識でいる。
千鶴とはこの先も苦労や障害は多いだろう。
それでも私は私を愛してくれるこの女性のためにできる限りのことをしたいと思う。
「…おやすみ千鶴さん」
私も彼女を抱き締めながら眠りについた。
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