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5章

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 私はできた詩と私が弾いたキーボードの曲が入った音楽プレーヤーをもって学校へ行った。学校につくと優汰くんと優心に会った。
「あ、りん、お、おはよー」
「りん、おっはよー」
優汰くんは私に気を使っているのかあれから私への態度が少し変わってしまったけど今まで通りにできる。瞬也くんとは何も変わらない。暁くんとは、、、。
「おはよーこれ、書いてきたんだけど、ダメだったら書き直すから遠慮なく言って。一応、曲も思いついたんだけど」
「え!もう?!しかも、曲まで、昨日の今日ですごい。早速聞いてみるね!ありがとう!」
優心も優汰くんもありがとうっていってくれたけど、気づかれちゃうかな?私の恋愛の詩だってこと。その日の放課後、優心と私と蒼で学校に残って私の作った曲についてはなした。
「りん、これまさかだと思うけど、、、いいの?みんな気付いて、」
「いいの、ごめんね。私、この詩考えてた時本当は暁くんと前みたいにお話したり遊んだりしたいんだなーって分かって。直接話すこととかできないからこの詩から私の気持ちを伝えれたらいいなって。勝手にごめんね。」
「私はこの曲を歌いたいな。りんが曲も作っちゃうものってなんかこう、心に響くってゆうか何度も口ずさんじゃうってゆうか、」
「私もこの曲聞いてから頭の中でグルグルリピートさてお腹のそこからぐわーって、これを私たちが演奏するんだと思うと楽しみなの。りん、ありがとう。きっと、暁たちも喜ぶよ、ねぇ、りん。りんの手から暁に渡すことできない?りんにつくってもらいたいって言ったの暁なんだよ。」
暁くんが?でもなんで?あ、遊園地の時だ。中1のときみんなで行った。そんなに前のこと覚えてるなんて、
「一歩前に進むためにはりんが動かなきゃダメなんだからね!この詩はりんの気持ちなんだよね?進みたいって気持ちがこの詩にはいっぱい詰まってる。りん頑張って。」
私の肩を掴んだ蒼の手は力が入って少し痛い。でもそれだけ私を心配して、なんとかしたいっていう蒼の気持ちが伝わってくる。
「うん、分かった。私、一歩前に進みたい。いつまでもくよくよしててもなにも変わらないもんね。私は暁くんと前みたいに仲良かったあの頃に戻りたいから」
次の日の放課後みんなが練習している音楽準備室に行った。中に入るとドラムやギター、キーボード、スタンドマイクが端に寄せて置いてあった。そして、夕陽のオレンジ色の光によってキラキラと光を放って主人たちを待っていた。私は歌詞と曲をもって教室の出入口に立っていた。
「勝手に入っていいのかな?蒼たちが来るのを待ってよっかな。」
「入っていいぜ。あと、蒼たちはもう少しかかるらしい。」
後ろからの声に驚き振り返ると暁くんがこっちに向かって歩いてくる。私は暁くんの方に向き直す。あれから私達は初めての会話。(と言っても暁くんはずっと話しかけようとしてくれてたんだけど)
「自由に座っていいぜ。」
そういいながら楽器の準備をする暁くんに私は緊張とか罪悪感とかいろんな思いがいつの間にかなくなっていた。前と同じようで少し違う。
「あの、これ。歌詞と曲です。」
「ん?あー、ありがとな。んーっと」
音楽を聞きながら歌詞に目を通す暁くんは夕陽の光を背にして一段とかっこよく見えた。久々にちゃんと暁くんの顔を見た。すると、暁くんははっとして私を見る。一瞬目が合ったけどすぐにそらしてしまった。けど、暁くんはこっちを見ている。なにかいいたそうなようだけど何も言わず歌詞に目線を戻す。一通り聞くとイヤホンを取りギターを手にする。すると、ジャーンっと大きな音を出して曲が流れる。キーボードで弾いた曲ばかりを聞いていたせいかギターが奏でる音はまるで違った曲に聞これた。お腹のそこからぐわーってなにかが湧き上がる。私はその音に合わせれ鼻歌を歌う。すると、
「歌えば?俺、りんの歌聞きたい。歌って?」
といって、笑う暁くん。私の好きな笑顔。私はこの笑顔に恋をした。はっと我に返り全力で首を横に振る。音痴ではないと思うけど人に聞かせれるような歌唱力はない。残念そうな顔をする暁くん、歌えばよかったかな?そんなこんなでみんなが集まってきた。私が作った曲はみんな気に入ってくれた。そして、クリスマスライブに向けて私達は動き出した。
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