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5章

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 それから半年。10月蒼の誕生日が来た。私達はプレゼントを用意して毎年のように蒼の家でパーティーをした。
「ねーりん、まだ暁と話せてないの?避けてたこと悪く思ったから謝ってまた、友達に戻るって言ってたじゃん。」
そう、私は例の話をした野球部員の人から謝られて暁くんのこと半分ホントで半分嘘ということを聞いたけど、どこまでがほんとなのかわからなくてずっと聞こう聞こうと思ってたけど聞けずにぎくしゃくしっぱなし。蒼にも優心にも話すタイミングを作ってもらってもどうしても聞くのが怖かった。
「ったく、もうラストだからね!町でさクリスマスライブをやってんの知ってるでしょ?それに6人で出るからね!りん、いいね!」
「え?なに?急に、ライブ?楽器なんて弾けないし、優心知ってた?」
「りんには言ってなかったけど私達は部活引退してからバンド組もっていってたんだよね。6人で、秘密にしてたわけじゃないんだけど、組もっていったの暁だし、みんながそれなりにできるようになってからりんに話そうってで暁との仲直りのきっかけにしたいって。りんに頼みがあって、詩作ってくれないかな?ってお願いします!自由に書いていいから」
詩かーいつから書いてないかなー毎日が楽しくてやることがあってネタになることはいっぱいあったのに全く書いてない。書こうとしても全然いい歌詞が浮かばなくて結局一つも作れていなかった。まー優心がここまでいうなら書くだけならいいかな?
「うん、分かった。いいけどいつまで書けばいい?あと、内容は自由にしていいんだよね?」
「感謝します!できれば、2週間。あ、ちなみにいうと私がキーボードで蒼がボーカル、優汰がドラムで瞬也がベース、暁はギターだよ!りんにも入ってもらいたかったけど無理には言わないから、でも詩は書いて欲しいです。」
「分かったよ。書く、じゃあ、私帰るね。蒼、優心また、学校で」
「うん!ありがとね」
私は家に帰って、早速歌詞を考え始めた。バンドだからテンポの早い曲だよね。そんなことを考えてると、あることを思いついた。
「、、、ラブ、ソング書いてみようかな?」
今まで書いたこともなかったし、書こうとも思わなかった。暁くんに恋をして失恋してぎくしゃくして、話したいけど話せない。そんな私の気持ちを書いてみたい。どうやったら前みたいにみんな仲良くなれるかな?私があの日あの場所にいなかったら。そう思うと
「記憶がなくなったら、もしあの日に戻って、」
私はどんどんペンを動かした。詩だけじゃない、メロディーまでも頭の中に浮かんでくる。みんなの演奏を聞いたこともないのに暁くんたちにぴったりな曲調、テンポ、みんながこの曲を演奏しているイメージが浮かぶ。私は気づく朝になっていた。驚いたことに一晩で詩をかいただけでなく曲まで作ってしまった。前書いていた時も詩と一緒に曲も思いつくことはあったけど、一晩でなんて初めて。それだけ思いが強かったのかもしれない。
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