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4章

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「だって、暁は蒼が好きなんだよなー」

目の前が真っ暗になった。あんなに優しくしてくれてたのは蒼が好きだったから?わからない。え?だったらあの言葉もあのボールもあの笑顔も、、、
「りん?なにやってーっておいりん!あれ?」
「どうした?暁そんな叫んで」
「いや、りんがこれ落としていってさ」
「え?相川いたの?あ、もしかして、、、暁わり!あれ聞かれたかも」
「あれってなんだよ!りんがあんなんになるほどのことかよ!おい!答えろよ!」
「それ、多分お前への誕プレだよ。ほらカードが落ちてた。」
「それより、あれってなんだよ!」
「あ、あれだよ。お前が蒼のこと、、、」

 私は気づくと廊下を走っていた。袖で目をこすっても曇ってくる。どんなにぬぐっても涙は止まらない。私は暁くんへのプレゼントを持っていないことを忘れるほど夢中で走った。昇降口をでると雨が降っていた。私はかまわず、バスケ部の体育館へと走っていった。
「蒼!」
蒼がそこにはいる。そろそろ部活も終わっていることだ。優心も今日はその体育館でマネージャーの仕事をしてるはずた。私が体育館につくと蒼が私の姿を見つけて駆け寄ってきてくれた。
「り、りん?どうしたの?こんなびしょ濡れで、まって優心がタオル持ってるから。あ、優心!タオル!」
私は2人からされるがままに動いた。私はどうすればいいの?

 私達は私の家に行った。帰ってる途中、中身が空っぽになったように私は一言も話をしなかったらしい。けどふたりは黙ってそばにいてくれた。濡れた制服を脱ぎ、ジャージに着替えた私に蒼が
「で、どうしたの?こんなの普通じゃないでしょ?はなしてくれる?」
「、、、あ、暁くんが蒼を好きだって。だから、だから私と仲良くしてくれてるんだって。聞いたの。」
蒼と優心は私の言葉に目をほんとに丸くしていた。そんな2人に伝えなくちゃと思って単語単語を繋げて話した。
「私、こんなに暁くんが好きだったんだ。」
暁を好きで好きで仕方がなかったからショックが大きかった。だって、あの太陽のような笑顔が大好きでずっと隣にいたかったんだもん。漫画とかで見る初恋が実らないってゆうのはホントだったんだ。
 
 その日から私達はぎくしゃくし始めた。暁くんは何度も話しかけようとしたけど、私が一方的に避け続けた。私はほかの男子達にも声を掛けられても一言で会話を切るようになった。だってみんな、私を使って蒼と仲良くなろうとしてると思ったから。人の力を使って蒼に近づいて欲しくないのと大好きな人に利用されたことによる男子不信。今思えば暁くんにはとてもひどいことをしたと思う。試合も近いのに、お守りも渡せてないのに。それでも暁くんたちは全国へ行った。それがまた悲しくて寂しかった。やっぱり私が応援しなくても(心のどこかでは応援してたけど)目標を叶えちゃうんだ。心にポッカリと空いた穴を埋めるため作詞家に向けた勉強に打ち込んだ。私にはそれしかなかった。それをしている間だけはこの世界から切り離されていて違う私を作ることが出来ると思っていたから。
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