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4章

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 修学旅行もおわってGWになった。運動部は総体に向けて練習に追われていた。蒼も練習試合や公式戦に引っ張りだこ。私はこの休み勉強以外にもう一つやることを決めていた。それは5人へのお守り、野球部が全国に行けますように、蒼が怪我しませんように、フェルトで作ったおそろいのお守り、もらってくれるかな?そんなことを思いながら心を込めて作った。
 そして今日は休み最終日!明日は暁くんの誕生日。私はプレゼントを買いに町に来た。雑貨屋さんを回ると暁くんにぴったりなキーホルダーを見つけた。全国制覇と書かれた札とバットに黒のグローブ。ありがちかと思ったけど、今年こそ全国にいってほしいから。私はそれをプレゼント仕様のラッピングをしてもらった。帰ってすぐにクッキーを作った。去年のクリスマスパーティーで暁くんが美味しいと言って私が作ったクッキーをいっぱい食べていた事を思い出してまた、食べて欲しいと思った。クッキーもプレゼント仕様に包んでメッセージカードは書かなかったけどおめでとうをいっぱい入れた。お守りとキーホルダーとクッキー。早く明日になって会いたいなー胸を膨らませて私は寝た。

 つぎの日いつも通りに一日はすぎて、お昼の時にみんなでお祝いをした。プレゼントはまだ渡してない。放課後、プレゼントを渡そうと暁くんを探していると教室から声がした。
「教室にいるのかな?でも、みんないるみたいだから渡せないかな?」
そう思って教室をあとにしようとした。すると
「なー暁この頃相川と仲いいよだろ?それなんでか知ってるか?」
私と暁くんのことを話しているようだ。盗み聞きはあんまやりたくないけど、いろいろ聞いてしまった。
「あー知ってる、暁が蒼と仲良くなりたいからって相川を助けたりしてんだろ?頭いいよなー俺もしよっかな?蒼と話したりしたいし、蒼ってめっちゃ持てるけど好きなやついて一筋らしいし。話すなら周りからだよなー」
え?耳を疑った。暁くんが私と仲良くしてくれてたのって蒼と話したかったからなの?私は少しだけ混乱して、追い討ちのように
「だって、暁は蒼が好きなんだよなー」
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