超絶ゴミ恩恵『消毒液』で無双する

びゃくし

文字の大きさ
44 / 52

第四十二話 魔法具

しおりを挟む

「これは魔法具だねぇ。アンタたち珍しいもんを手に入れたよ」

「魔法具? ですか?」

「そう魔力付与された武器、防具、または道具は稀に特殊な効果をもち魔法具と呼ばれるものがある」

 ミクラ婆さんは染み染みと驚きの声をあげながらダンジョンで発見した剣身のない柄を撫でる。

「それで、その柄はどんな効果をもっているんだ?」

「そう急かすんじゃないよ! まったくそんなだからアンタは幸の薄い顔をしてるんだ!」

 質問しただけなのに……。
 はあ、ミクラ婆さんはマジで口が悪いな。
 
「ほら、ツィアこれに魔力を籠めてごらん。おっと扱いには十分気をつけるんだよ。それと、柄の先端は自分や他人に向けたら駄目だ」

「はい」
 
 理不尽じゃね?
 オレには常にキツい態度なのにラーツィアには声音からして優しいんだもんな。
 ……気持ちはわかるけどさ、もうちょっとオレにも優しくしてくれよ。

 ラーツィアはミクラ婆さんから受けとった柄を握ると、その細い腕にグッと力を入れる。

 途端柄に劇的な変化が訪れた。

「きゃっ!?」

 ラーツィアの可愛らしい悲鳴の後、握った柄の先端からブォンという何かが放出される音が鳴る。

 それは光輝くナニカ。

 正面に構えていたそれは、光の柱となってミクラ婆さんの魔導具屋の天井に突き刺さる。

「あ」

「こ、これどうしましょう?」

「ツィア、それをこちらに」

 予想外の結果に慌てるラーツィアに師匠が危険を察知したのかそっと近づいて光を放出する柄を受け取る。

 すると光の柱は段々と収束していき形がみるみる萎んでいく。

 あー、天井にドデカイ穴が開いてる。
 でも、ラーツィアは怪我もなく無事のようだし、必要経費だな必要経費。

「驚いた……ツィア、アンタ見掛けによらずかなりの魔力があるんだねぇ」

 目を丸くして目の前の光景が信じられない様子のミクラ婆さんはなぜそんなことを思ったのか聞かせてくれる。
 ラーツィアの握った魔法具の正体も。

「その柄は籠めた魔力によって刃を形成する魔法具だ。わたしゃてっきりツィアなら中程度の刃が形成されると思ってたんだけど……そういえばこの娘はアンタたちの中で魔法での攻撃役を担ってたんだっけかね。いや~、すまなかったよ」

 ミクラ婆さんが冷や汗をかきながら謝る。
 
 ラーツィアの莫大な魔力ならこの魔導具屋の屋根が吹っ飛んでもおかしくなかった……危ねぇ、意外と危険な状況だったんだな。

「……そういうことは事前に言ってもらわねば困ります。ツィアが怪我をしていたらどうなっていたことか……」

 怖えぇ。
 師匠はラーツィアを大事にしてるから不用意に危険に晒したミクラ婆さんに苦言を呈している。
 ラーツィアに怪我一つなかったから良かったけど、別の意味でも危険だった。

「でも、レオ、結構楽しかったですよ?」

「……わかりました。ツィアがそう言うなら」

 場の空気を変えるためかミクラ婆さんが喋りだす。

「魔力の刃は籠めた魔力量によって切れ味が変わるようだよ。場合によっては恩恵で生成した武器にも匹敵する威力があるかもねぇ。まあ、それ位になると相当な量の魔力が必要だろうけど」

 それってかなり使える武器になるんじゃないか?

 ラーツィアは体術は苦手だけど、吸魔の指輪を装備したオレには……もしかして最適な武器?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...