ただの遊び相手が欲しくてかまちょしてたら専属メイドになった～ただ、遊んでもらってただけなのに！！！～

プロローグ

私の可愛い花。
置いていくことを許して。
花は笑顔でずっといてくれた。
一生懸命話題を考えてくれたよね。
痛いだろうに。一生懸命雑草を抜いて家の手伝いをしてくれたり。
なんど、手に傷を作ったのかわからないくらい。
まだ、小さいのに。幼いのに。
小さい体でたくさん走り回って。
花冠もたくさん作ってくれたよね。
花を摘んで花売りをしたり。
キラキラとした笑顔が。
元気いっぱいに走り回る花が。
どの花よりも輝いていて。
太陽よりも眩しくて。
体の弱い私のために薬草を山から積んできたり。
薬の作り方を覚えたり。
普通の子供みたいに遊べさせてあげれなくてごめん。
いっぱい相手できなくてごめんね。
花も私に似て、体は弱いのに。
それでも。
美味しくもないのに、味の薄いスープを飲んで。
硬いパンをちぎったりして。
細くて小さな体で。
私の分まで頑張って。
怪我をしてまで、頑張って。
何度、心配したことか。
それなのに、花はいつも笑顔で。
「大丈夫」
たった一言だけ言って、日が昇れば外に出て。
何度重荷を背負わせたことか。
こんな不甲斐ない私のせいで。
花はいつも苦労して。
もうそろそろ解放してあげなければ。
もう自由にしてあげなければ。
そうわかってるのに。
それでも、花のことを思うとこんなにも苦しいの。
独りぼっちになってしまう花を。
心優しい花を手放すのを。
最初はすごく怖かった。
でも、不思議ね。
先に死んでいってしまうと、花には光が待っていた。
私でさえ見たことのない安らかな子供らしい笑顔を。
どうか、先ゆく私のためにもそのまま笑っていて。
悲しいことがあれば、必ず逢いにいくから。
どんな暗闇でも。かならず夜明けが来る。
きっと素敵な人に出会えるから。
花なら。
私たちの子供の花なら。
どんなことでも乗り越えて行ける。
独りじゃないよ。
空から花を見守ってる。
私と違って手先も器用だし愛嬌のある花なら、きっとどこでも生きていける。
世界一の花になれる。
どうか、花の行く先に光がありますように。
苦しまずに済みますように。
私の可愛い花が。
ずっと。ずっと。
幸せでありますように。
愛されますように。
また、花も。愛することができる人になれますように。
どうか、ずっと。
私たちのことを覚えていて。
愛する花へ。