ぼくらの国防大作戦

坂ノ内 佐吉

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第五章

Chapter.19 新たなる仲間

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 新たなる仲間

 3日後、二人はバラナシに帰り、三人が泊っているホテルに戻ると、友杏と智成が出迎えた。
「おかえり。二人とも」「おかえり。楽しかった?」友杏に続いて、智成が言う。
「ただいま」周人が言うと、幸来紗は、笑顔で黙って会釈する。
「そうそう、二人とも既に付き合ってるって? みっちーがメールでさ、二人が結ばれたって、幸来紗ちゃんから報告受けたって」智成は笑顔で言うと、幸来紗は照れている。
「そうなんだよね」
「すごい、やるねぇ。色男!」友杏も嬉しそうだ。
「二人とも、幸来紗には本当のことを話してさ、すべて知ってるから」
「もう、呼び捨てで呼んじゃってるわけだ」智成はニヤニヤしている。
「美智さんは? 幸来紗も、本当は美智さんが帰国してないってことは知ってるから」
「部屋で隠れてるよ」友杏はスマホで美智を呼び出すと、すぐに美智は駆け下りてきた。
「幸来紗、嘘ついた。ごめん」美智は気まずそうに両手を合わせて謝る。
「いいよ、いいよ。全部事情は聞いたから。四人の関係性も分かった」
 幸来紗は笑顔で返す。
「じゃあ、完全に決心は固まった?」美智は訊く。
「うん、やってみるよ」幸来紗のもやもやは完全に晴れていた。
「じゃあ、具体的に作戦を考えなくちゃ。幸来紗ちゃん、お父さんを説得できそう?」
 友杏は真剣な表情に切り替わる。
「分からない。とても難しいと思う。正直、自信ないな…… 核保有するというのは不可能に近い気がする。正直、私自身もそれが最善策とは思わないし。ただ、周人にそのアイデアを聞いた後、なるべく肯定しようと思って、核抑止力についてはネットで調べたりした。たぶん、私もお父さんに洗脳されてたところはあると思ってたから。……言ってみるけど、かなり手こずることにはなると思う」
「分かった。協力に感謝するわ。あとは、あなたにかかってるから」
 友杏は幸来紗の手を握り、真剣に見つめると、幸来紗は少し固くなる様子を見せる。
「友杏さん、そんな言い方じゃ重いって。幸来紗ちゃん、何か、俺らで協力できそうなことがあったら何でも言って。この後、幸来紗ちゃんが計画を遂行している間も、近くにいるから」
「そうだよ。幸来紗、何でも言って」
 智成が幸来紗を和ますように言うと、それに続いて、美智も言う。
「俺は、常に幸来紗のそばにいるから」周人が幸来紗を見る。
「ところで、幸来紗ちゃんは、インドにあとどれぐらいいるんだっけ?」
 友杏が訊く。
「予定だと、十二月までだけど、その気になったから、そんなに長く滞在する気がなくなっちゃった」
「早めに切り上げられる?」
「うん、そうだね」幸来紗の気持ちは切り替わっていた。
「明日、学校の責任者には話すよ。こんな大きなミッションに関わるだもん。なんか落ち着かなくて、じっとしてられないよね」

 36日目
 幸来紗は、学校の責任者と話すと周人のもとに近寄る。
「あと二週間だけは、スケジュールを組んであるし、手続きがあるからいて欲しいって。いいかな?」
「大丈夫でしょ。三人には俺から伝えておくよ。俺は幸来紗が帰るまで一緒にインドにいるから」
「ありがとう、周人」
 周人は、ボランティアからホテルに戻った後、幸来紗のことを三人に伝えた。
「分かった。日本に帰ってくるまで、待ちましょう」友杏が言う。
「野島くん、私さ、もう二人には話したんだけど、横浜に引っ越すよ。九州は危険だからさ」
「うん、その方がいいよ。回避できればいいけどね。家族にも警告しておいた方がいいんじゃないないかな。信じさせるのが大変だけど。そうだ、幸来紗も横浜に呼び寄せるつもりだから。……三人はどうするの?」
「帰るつもりだよ。それでみっちーの引っ越しを手伝うかな。カレーも飽きたし」智成が言う。
「そういえば、友杏さんてさ、日本での住まいどうしてるの?」美智は疑問に思う。
「ホテル住まいだよ」
「お父さんの家に一緒に住めないの? 俺らと同世代なんじゃない?」智成は訊く。
「下手に家族に会っちゃってさ過去を変えちゃったりすると、自分の存在に関わってきちゃいそうだから、避けた方がいいと思うんだよね。だから、私はホテル住まいだな」
「バック・トゥ・ザ・フューチャー的なやつだな」美智が楽しそうに言う。
「そうそう、その映画観たよ! 超面白いね! 私も、2065年から、スポーツ年鑑みたいなのあれば、持ってくればよかったよ。私のタブレットでもギャンブルの種の情報はないんだよね。荒稼ぎできたのにー!」
 悔しがる友杏に対し、三人は笑う。
「俺らは、1週間以内くらいには日本に帰るからさ」
「分かった。じゃあ、また横浜で落ち合おう。これでとりあえず、インドでやることは終了だな。帰ろう」
 智成は、いかにも日本へ帰りたそうな様子で喋る。
「みんなに話したいと思ってたことがあるんだけど……」
 周人はあらたまって口を開く。
「何? どうかした」友杏が訊く。
「あの、1億の報酬金のことだけどさ…… いらなくない?」
「えっ?」智成が周人を見る。
「別に、日坂と美智さんに受け取るなって言うわけじゃないけど、俺はいらないよ」
「よく言った。かっこいいねぇ」友杏は笑みをこぼす。
「このミッションに喰いついた理由はさ、正直、報酬金があったからだったけどさ、こんなに素敵な体験させてもらってさ、彼女もできちゃったりしてさ、さらに、まだ分からないけど、東京への核ミサイルを防いで、150万人の命を救うなんてことをさせてもらってるんだよ。大したリスクもないのに。こんな充実感を味あわせてもらって、とてもそんな大金受け取れないよ。」周人は、申し訳なさそうに言う。
「私もいらない!」美智は、周人の意見に同意して即答で答える。
「そうだな。俺もいらないよ」智成も同意するが、一瞬、悔しそうな表情も見せる。
「ありがとう…… みんなを充実させてあげれたみたいだね。そんなきっかけを与えられたみたいで私も嬉しいよ」  
 友杏は笑顔で話し出す。
「正直ね、こういう流れにならなかなぁって期待していたところはあったの。でも、このLSJ計画にかかる経費にはちゃんと使って。3千万円払ってるけど、今は返さないで、成功した時に差額を返してくれればいいから。別に細かい明細もいらないからね。適当に返してくれればいいから」
「うん、ありがとう友杏さん」
「なるべく多く返します」
「俺、今んところ、そんなに役に立ててないし…… 返します。とにかくありがとう」
 美智、周人、智成の順で答え、三人は友杏に笑顔で頭を下げた。
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