【書籍発売中!】神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)

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第一章

第百八話 諦めも肝心

ロレンツォ Side

「……また無茶な要求を!?」

 エイルから届いた魔鳥を読んで、一気に力が抜けた。へにゃっと机に突っ伏せば、側に控えていたロレンツォ専属執事ミハエルがピクッと肩を揺らす。

「旦那様、どうされましたか?」
「いや、問題ないよ」
「左様ですか」

 私が片手でひらひらと仰げば、彼は定位置に戻った。

「………」

 確かに相談を持ちかけたのは私だよ?でも……程度ってもんがあるだろ!?

『療養院の周囲へ、外灯を模した魔道防犯カメラ(接近判別・自動録画機能付き)を設置予定です』

 療養院を要塞化するつもり?しかも、接近判別をどうやってするつもりなん……だ?

「もしかしてエイルの奴、ミオの開発案を起用したのか?」

 悶々と思巡する脳内で、私は先日見た情報を思い出す。しかも、私の相談に難しい表情で帰宅した彼だ。

 勿論、彼の言い分も理解しているよ?

『大きな結界が接し合うのは、相互作用の危険性からお勧めできない』と言っていたエイルだ。きっと知恵を借りるべく、ミオ達に相談したのだろう。

「為るべくして成る……か」
 
 もはや、諦めの境地に辿り着いた気持ちを抱えたロレンツォは、返事を認める為に筆を取った。
 
 それから少し時間が経ったミオ達が、どこにいるのかといえば――――。



『実に羨ましい!!』
「そんな泣かなくても……」

 地の涙を流すドリアンに、ミオたちは困惑していた。

『精霊が気に入った魔力を浴びている間は、人間の森林浴と同じくリラックス効果があり成長促進に繋がります』
「人間は成長しないよ?リラックスするだけだよ?しかも家に戻れば、現実が身体を再び襲うのよ?」

 人それぞれだが、私はその場限りの効果だった。次の日になれば、気分も身体も元に戻ってしまう。

『それは、ストレス過多なのでは?休養が必要な方なのだと思います。精霊は人族と違い、気に入った魔力を浴びることが至宝なことなのです!何故ならば、微量でも浴びることが出来れば、その間は経験値を上げ続けているようなものです。それを仕事とか!?……くぅっ!!…私が行きたかった!!』
「……そんなに?」

 めっちゃ悔しがり続けるドリアンに、私には別の心配が生まれる。私に貢献すれば、彼等が徳をするのは理解している。
 今回、私の魔力が込められた魔石を、十個だけ持ってきている。それも、ただ魔力を込めた魔石では無い。魔石の魔力を鑑定した精霊のお済み付きでだ。

 その精霊は、例のデザインコンテストでピア様が見つけた初級精霊である(しかも生まれたばかり)。
「面白い魔力」と言い放った神経が図太い奴である。
 
 そんな私の魔力は、中級精霊のドリアンが泣いて羨ましがるほどの存在らしい。果たして、魔石十個で場が足りるだろうか?

 あの薬草素材採取に群れた精霊たちを思い出した私は、トップアーティストのチケット完売並みの速さで抑えられるのではないだろうか?

 私は、その魔石を入れた鞄に視線を走らせ……そっと反らした。

「面白い魔力が精霊好みならば、その魔力を魔石に込めて聖域へ持参しましょう!きっと、魔石に釣られた精霊が、お仕事契約を申し出るはずです!」
 との師匠の目的遂行の為、我々は転移で聖域へ来ていたのだが。

 ロレンツォ様からのお返事を待ちたかったけど、魔石実験を待ちきれず、今此処に至っているのだが。

「此処にも、待ち切れない精霊たちがいたか」

 匂いでもあるのだろうか?私の鞄には、既に群がる精霊たちの姿があったのだ。
 
「……どうしました?ミオ」

 私の呟きを拾った師匠が、私に問いかけ振り向いた。私は助けを乞うべく、瞳に願いを乗せ、師匠へ視線を走らせた。

「……これは、募集を掛ける必要は無さそうですね」

 私の視線の意図を直ぐに汲み取った師匠が、私の鞄を見て呟く。寧ろ、次回予約が発生しそうですよ、師匠。


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