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第二章
第十二話
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「ミオ、ダナン伯爵領・イーステの街にも向かいますが、まずは馬車小屋へ転移しますよ」
べルンの街からイーステの街へ向かう途中にある村への連絡を済ませた師匠の早業により、師匠は私の手を繋ぐとそう言った。
「馬車小屋? 皆の転移の為に、もう一度、戻ってくるんですよね?」
「それは勿論ですが、このような失礼な対応をする家に、ミオが心血を注いだ馬車を、一晩たりとも、預けておけるものですか!?」
「分かりました。レイナ、きゅうちゃん、ジョウは、私の身体に掴るんだよ」
「はーい!」
「わかった!」
「承知した」
三名の返答に一呼吸を置いたタイミングで、師匠は『転移!』と唱えたのだった。
(無事に、馬車を回収出来て良かったな)
(うん。突然転移して驚かせたかと思ったけど…まさか、私の馬車の構造を真似しようとして、解体き始める寸前だったとは・・・・・・あれには、私も唖然としたよ。もし、元通りにならなかったらどうするつもりだったんだろうねぇ?)
(さぁな。だが使用人の話では、あれも伯爵の命だったらしい。不服届け以前の問題で、拘束が、先ほどか明日の朝か。それだけの話だ)
「そうだよ!僕が頑張って作ったのに!(←語弊)車軸なんて、エイルが隠蔽していたのを逆手に取って、裏ギルドに売り払おうとしてたんだよ!?人として ・・・いや!?世界で類を見ないあるまじき犯罪行為!」
例によって、例によるミオのダダ漏れ思考は、レイラ・きゅうちゃん共に共有が成されていた。
だがそれにより、レイラ・きゅうちゃんの常識や考え方の一部が、ミオ色に染まることになるとは、この時は誰も想像していない。しかし、ひよこが始めて見たものを親と思う『刷り込み』現象と、以たようなものだろう。
「そうですね!きゅうちゃんの頑張って作っった車軸(だから、語弊である)を盗もうだなんて言語道断です!逆らえないという情状酌量の余地はあれど、彼らの今後の人生が厳しいものになるのは間違いありません」
もふもふきゅるるんのきゅうちゃんがぷんすこ怒る姿に、師匠は大いに参同していた。きゅうちゃんを腕に抱き、慰めるように自身の頬でぐりん!ぐりん!とやっていた。
きゅうちゃんも楽しいのか。
♠形の尻尾を、師匠の顔へ縦横無尽にべちんべちん!と当てていた。
あの尻尾。皮で撓るから、結構痛いんだけど……師匠は蕩けた顔してるから(読者様には見せられない)……まぁいっか。ミオは珍しく師匠に引いていたが、これが、師匠ときゅうちゃんの触れ合いなのだろう。
そして、ミオはあまり深く考えていないが、エイルは二つの意味を重ねて発言した。
一つは、人類として国家に準ずる法の裁き。
もう一つはミオを可愛がっているガイア様やウルシア様が、このまま黙って見ているのだろうか?という懸念が混じった思い。
どちらにしろ、犯罪者に厳しいこの世界では、刑期を終えて社会に戻っても、条件の良い仕事に付くことは出来ない可能性大である。
「それにしても……その【不服届け】とやらは、隣領の男爵家では駄目な理由があるんですか?」
「スーダレイ男爵領は、元々、騎士爵家の出身でしてね。領地も、ポイット村を含めた三村しかない極少領地なのです。なのでそこには、王家と連絡を取れる魔導具が置いてないんですよ」
「極少領地こそ、連絡が取れる道具は置くべきだと思うんですけど……」
人材が限られる分、なにかあれば道具で解決出来る。
「まぁ、スーダレイ領にダンジョンでも出来れば、スタンピードなどの可能性を含めた道具が設置されると思いますが……。なにかあれば、隣の伯爵領へ助けを求める様になっていますから」
むぅ…と納得がいかない私に、師匠も思うところはあるのだろう。苦笑気味に微笑みながら、有事の救援策を教えてくれた。
そのスーダレイ領から、今から転移するダナン伯爵領イーステの街まで、どれぐらいの時間がかかるのか。
今は、私のキャパの為にも聞かないことにする。
(王都や領都外の村って、食糧確保の面もあるんでしょ?)
(まぁ、そうだな。この世界の人が集まる都や街は、魔物対策として周囲を外壁で覆うからな。村が税金として納める穀物が、その側面も持っているのは確かだ)
(それを守る為にも、緊急救難の連絡手段を持たせるのは、当然でしょ!?この世界は、未開拓の森・山が沢山あるし、敵は魔物だけじゃないでしょ!?賊も『ストップだストップ!』…ごめん)
(全く……自分のキャパが狭いのを自覚するのは良いことだが、ヒートアップするのも疲れるだろう?少し落ち着け)
(………ふぅ。ありがと)
(なんのなんの、お安い御用だ)
「お安い御用~!」
ぺしべし!?
(まだやってるの!?)
きゅうちゃんの声がする方を見れば、びっくり仰天。ミオが目にしたのは、♠の跡がいっぱい付いた恍惚顔の残念エルフ。
(ロレンツォの手紙待ちだが、あいつも色々あるんだろう。ほっとけ)
(そっか。なら、仕方ないかな?……うん)
そこへ呆れた顔を隠しもしないジョウが、念話で話してきた。返事をする自分の声に戸惑いを感じたが、仕方ない、仕方ない。
(あれでは、国一番の賢者も形無しだな…)
ぷすぅ…と鼻息を漏らし、前脚に顔を乗せたジョウは、侮蔑の視線をエイルへと向けたのだった。
べルンの街からイーステの街へ向かう途中にある村への連絡を済ませた師匠の早業により、師匠は私の手を繋ぐとそう言った。
「馬車小屋? 皆の転移の為に、もう一度、戻ってくるんですよね?」
「それは勿論ですが、このような失礼な対応をする家に、ミオが心血を注いだ馬車を、一晩たりとも、預けておけるものですか!?」
「分かりました。レイナ、きゅうちゃん、ジョウは、私の身体に掴るんだよ」
「はーい!」
「わかった!」
「承知した」
三名の返答に一呼吸を置いたタイミングで、師匠は『転移!』と唱えたのだった。
(無事に、馬車を回収出来て良かったな)
(うん。突然転移して驚かせたかと思ったけど…まさか、私の馬車の構造を真似しようとして、解体き始める寸前だったとは・・・・・・あれには、私も唖然としたよ。もし、元通りにならなかったらどうするつもりだったんだろうねぇ?)
(さぁな。だが使用人の話では、あれも伯爵の命だったらしい。不服届け以前の問題で、拘束が、先ほどか明日の朝か。それだけの話だ)
「そうだよ!僕が頑張って作ったのに!(←語弊)車軸なんて、エイルが隠蔽していたのを逆手に取って、裏ギルドに売り払おうとしてたんだよ!?人として ・・・いや!?世界で類を見ないあるまじき犯罪行為!」
例によって、例によるミオのダダ漏れ思考は、レイラ・きゅうちゃん共に共有が成されていた。
だがそれにより、レイラ・きゅうちゃんの常識や考え方の一部が、ミオ色に染まることになるとは、この時は誰も想像していない。しかし、ひよこが始めて見たものを親と思う『刷り込み』現象と、以たようなものだろう。
「そうですね!きゅうちゃんの頑張って作っった車軸(だから、語弊である)を盗もうだなんて言語道断です!逆らえないという情状酌量の余地はあれど、彼らの今後の人生が厳しいものになるのは間違いありません」
もふもふきゅるるんのきゅうちゃんがぷんすこ怒る姿に、師匠は大いに参同していた。きゅうちゃんを腕に抱き、慰めるように自身の頬でぐりん!ぐりん!とやっていた。
きゅうちゃんも楽しいのか。
♠形の尻尾を、師匠の顔へ縦横無尽にべちんべちん!と当てていた。
あの尻尾。皮で撓るから、結構痛いんだけど……師匠は蕩けた顔してるから(読者様には見せられない)……まぁいっか。ミオは珍しく師匠に引いていたが、これが、師匠ときゅうちゃんの触れ合いなのだろう。
そして、ミオはあまり深く考えていないが、エイルは二つの意味を重ねて発言した。
一つは、人類として国家に準ずる法の裁き。
もう一つはミオを可愛がっているガイア様やウルシア様が、このまま黙って見ているのだろうか?という懸念が混じった思い。
どちらにしろ、犯罪者に厳しいこの世界では、刑期を終えて社会に戻っても、条件の良い仕事に付くことは出来ない可能性大である。
「それにしても……その【不服届け】とやらは、隣領の男爵家では駄目な理由があるんですか?」
「スーダレイ男爵領は、元々、騎士爵家の出身でしてね。領地も、ポイット村を含めた三村しかない極少領地なのです。なのでそこには、王家と連絡を取れる魔導具が置いてないんですよ」
「極少領地こそ、連絡が取れる道具は置くべきだと思うんですけど……」
人材が限られる分、なにかあれば道具で解決出来る。
「まぁ、スーダレイ領にダンジョンでも出来れば、スタンピードなどの可能性を含めた道具が設置されると思いますが……。なにかあれば、隣の伯爵領へ助けを求める様になっていますから」
むぅ…と納得がいかない私に、師匠も思うところはあるのだろう。苦笑気味に微笑みながら、有事の救援策を教えてくれた。
そのスーダレイ領から、今から転移するダナン伯爵領イーステの街まで、どれぐらいの時間がかかるのか。
今は、私のキャパの為にも聞かないことにする。
(王都や領都外の村って、食糧確保の面もあるんでしょ?)
(まぁ、そうだな。この世界の人が集まる都や街は、魔物対策として周囲を外壁で覆うからな。村が税金として納める穀物が、その側面も持っているのは確かだ)
(それを守る為にも、緊急救難の連絡手段を持たせるのは、当然でしょ!?この世界は、未開拓の森・山が沢山あるし、敵は魔物だけじゃないでしょ!?賊も『ストップだストップ!』…ごめん)
(全く……自分のキャパが狭いのを自覚するのは良いことだが、ヒートアップするのも疲れるだろう?少し落ち着け)
(………ふぅ。ありがと)
(なんのなんの、お安い御用だ)
「お安い御用~!」
ぺしべし!?
(まだやってるの!?)
きゅうちゃんの声がする方を見れば、びっくり仰天。ミオが目にしたのは、♠の跡がいっぱい付いた恍惚顔の残念エルフ。
(ロレンツォの手紙待ちだが、あいつも色々あるんだろう。ほっとけ)
(そっか。なら、仕方ないかな?……うん)
そこへ呆れた顔を隠しもしないジョウが、念話で話してきた。返事をする自分の声に戸惑いを感じたが、仕方ない、仕方ない。
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