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三日目〜四日目 物資調達
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「…取り敢えず、夕飯を食べるか」
食いっぱぐれると、空腹で夜も眠れない。ナイフなどの準備は出来なかったが、おかげで、冒険者ギルドの規約は読み終えた。明日は、道具やポーション類を買いに行こう。
「タバサさん」
一階に降りると、受付にいたタバサさんと出会った。
「冒険者ギルドは、どうだったんだい?ルイ」
「無事に、登録出来ましたよ」
「そうかい!今日は特別に、シチューを大盛りにしてやろうかね!」
「ありがとうございます」
お祝いだろうか?
満面の笑みを浮かべるタバサさんに、俺は礼を言った。
「うん、美味い!」
初めに食べた肉は少し筋張っているが、充分美味い。野菜の旨味が染み込んでいる。次に食べたお肉は、コトコトと煮込んだ柔らかさを感じた。
「幸せだ……」
俺は頬を押さえながら、限られた贅沢な時間を存分に味わった。
♢
あれから、俺は考えた。
生活魔法の本に載っていた漢字。あれらの存在が、この世界でどういうポジションなのか。今一度、確認する必要があるだろう。
今日のやるべきリストは、武器店と雑貨屋と薬屋と資料室へ行くことだが……タバサさんに聞いたところ、雑貨屋には、ポーションやナイフなどもあるらしい。
「こんにちわ~」
取り敢えず、タバサさんお勧めの雑貨屋に来てみたが、どうだろう?
「いらっしゃいませ。なにかお探しですか?」
少し大きめの声をかければ、店の奥から人が現れた。俺はカウンターに手を置き、店員へ欲しい品物たちを告げる。
「幾つか欲しい品物があるんですけど―――」
「少々お待ち下さい」
彼はそう言って、再び奥へと戻った。
この店は雑貨屋ということだが、表に商品がない。どうやら、店員が品物を聞き、奥から在庫を持ってくるスタイルのようだ。
「お待たせしました。毒消しと消毒と回復の低級ポーション各2本ずつ、薬草を保管する布袋が20枚、麻紐100組、お手軽ナイフ2本です。確認をお願い出来ますか?」
「はい」
店員に促され、早速確認という名の品質保持鑑定にはいる。ちなみに、ナイフ2本のうち1本は、もしもの時の予備である。
・名前 毒消しポーション 品質 低級
・名前 消毒ポーション 品質 低級
・名前 回復ポーション 品質 低級
・名前 保管袋 材質 皮 品質 普通
・名前 麻紐 材質 麻 品質 普通
・名前 お手軽ナイフ 材質 鉄 品質 普通
「これで、お願いします」
「畏まりました。お包みしますので、少々お待ち下さい」
そう言って、大きめの袋へ包んでくれた彼に頭を下げ、俺は店を後にした。
♢
「おはようございます」
ひょこっと顔を出せば、ロマンさんは一瞬瞬きをしたが、すぐに明るい表情になる。
「…昨日のっ!ルイくんだったよね?顔色が悪そうだったけど、もう大丈夫なのかい?」
「はい。ご心配をおかけして、申し訳ありません」
「いやいやいや!体調が回復したならいいんだ。それより今日は、なにを見たいんだい?」
俺が頭を下げれば、彼は大仰に手を振った。少し謙り過ぎたか?
俺は脳内で首を傾げたが、答えの出ない疑問だ。気にしないことにした。
「昨日の続きの【生活魔法のススメ】を見たいのですが……」
「あぁ。それなら、丁度ここにあるよ」
机の上に置いてあった本を手に取り、俺に手渡してくるロマンさん。
「ありがとうございます」
「どういたしまして!他にも欲しい本があれば、遠慮なく聞いてね!」
「はい」
ロマンさんの申し出をありがたく受け取り、俺は空いている席に適当に座った。
食いっぱぐれると、空腹で夜も眠れない。ナイフなどの準備は出来なかったが、おかげで、冒険者ギルドの規約は読み終えた。明日は、道具やポーション類を買いに行こう。
「タバサさん」
一階に降りると、受付にいたタバサさんと出会った。
「冒険者ギルドは、どうだったんだい?ルイ」
「無事に、登録出来ましたよ」
「そうかい!今日は特別に、シチューを大盛りにしてやろうかね!」
「ありがとうございます」
お祝いだろうか?
満面の笑みを浮かべるタバサさんに、俺は礼を言った。
「うん、美味い!」
初めに食べた肉は少し筋張っているが、充分美味い。野菜の旨味が染み込んでいる。次に食べたお肉は、コトコトと煮込んだ柔らかさを感じた。
「幸せだ……」
俺は頬を押さえながら、限られた贅沢な時間を存分に味わった。
♢
あれから、俺は考えた。
生活魔法の本に載っていた漢字。あれらの存在が、この世界でどういうポジションなのか。今一度、確認する必要があるだろう。
今日のやるべきリストは、武器店と雑貨屋と薬屋と資料室へ行くことだが……タバサさんに聞いたところ、雑貨屋には、ポーションやナイフなどもあるらしい。
「こんにちわ~」
取り敢えず、タバサさんお勧めの雑貨屋に来てみたが、どうだろう?
「いらっしゃいませ。なにかお探しですか?」
少し大きめの声をかければ、店の奥から人が現れた。俺はカウンターに手を置き、店員へ欲しい品物たちを告げる。
「幾つか欲しい品物があるんですけど―――」
「少々お待ち下さい」
彼はそう言って、再び奥へと戻った。
この店は雑貨屋ということだが、表に商品がない。どうやら、店員が品物を聞き、奥から在庫を持ってくるスタイルのようだ。
「お待たせしました。毒消しと消毒と回復の低級ポーション各2本ずつ、薬草を保管する布袋が20枚、麻紐100組、お手軽ナイフ2本です。確認をお願い出来ますか?」
「はい」
店員に促され、早速確認という名の品質保持鑑定にはいる。ちなみに、ナイフ2本のうち1本は、もしもの時の予備である。
・名前 毒消しポーション 品質 低級
・名前 消毒ポーション 品質 低級
・名前 回復ポーション 品質 低級
・名前 保管袋 材質 皮 品質 普通
・名前 麻紐 材質 麻 品質 普通
・名前 お手軽ナイフ 材質 鉄 品質 普通
「これで、お願いします」
「畏まりました。お包みしますので、少々お待ち下さい」
そう言って、大きめの袋へ包んでくれた彼に頭を下げ、俺は店を後にした。
♢
「おはようございます」
ひょこっと顔を出せば、ロマンさんは一瞬瞬きをしたが、すぐに明るい表情になる。
「…昨日のっ!ルイくんだったよね?顔色が悪そうだったけど、もう大丈夫なのかい?」
「はい。ご心配をおかけして、申し訳ありません」
「いやいやいや!体調が回復したならいいんだ。それより今日は、なにを見たいんだい?」
俺が頭を下げれば、彼は大仰に手を振った。少し謙り過ぎたか?
俺は脳内で首を傾げたが、答えの出ない疑問だ。気にしないことにした。
「昨日の続きの【生活魔法のススメ】を見たいのですが……」
「あぁ。それなら、丁度ここにあるよ」
机の上に置いてあった本を手に取り、俺に手渡してくるロマンさん。
「ありがとうございます」
「どういたしまして!他にも欲しい本があれば、遠慮なく聞いてね!」
「はい」
ロマンさんの申し出をありがたく受け取り、俺は空いている席に適当に座った。
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