異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)

文字の大きさ
19 / 103

七日目―冒険者の先輩

「……まっ、今日中に終わるとは思ってなかったけどな」

(大収穫だぜ!?脳内の俺の高笑いが、止まんないのなんの!)

 また後日訪ねることを約束し、俺は、今日の魔法具店を辞した。

(生活魔法のススメにもあった灯火トーチだが、改めて見ると、魔法文字に違和感があったんだよな)

 例えば、 灯火トーチの〘ライト〙だけでも、火や明かりを意味しているんだ。電灯などの装置の意味もあるが……しかも〘ファイア〙も、そのまま炎の意味だ。だが、こちらでの意味は、小さな火だ。炎は温度も幅広く、大きさも想像イメージで容易に変えられる。
 これ……〘ライト〙と〘ファイア〙で、魔法文字コード重複ちょうふくしていることも問題だが、炎の意味を知られるのは、少々危険かもしれない。

 水生成クリエイトウォーターは、特に違和感はない。逆に、水の部分を置き換えれば、別のものを生成出来るんじゃないか?
 これで風を起こしてもいいわけだ。ただ、〘成〙を〘放出〙という意味合いに変えなければいけないか。
 
 〘水〙読み ウォーター 意味 水
 〘生〙読み プロデュース 意味 現象を生み出す
 〘成〙読み ゲット 意味 手にいれる

 ・微風ブリージは、〘微〙の部分で強弱を設定出来るなら、疾風ゲイル雄風ブラストと強く出来るはず。
 
 俺は、蝋燭が短くなるのも構わず、夜な夜な解析を進めたのだった。

 ♢

「ん~!……いい天気だな!今日は、外の依頼も受けてみたいが、パーティーがネックなんだよなぁ」

 翌朝、昨日の凝り固まった身体を伸ばした俺は、眉尻を下げた。

 昨晩の生活魔法も試したいが、安全が確認出来るまでは、人前では使えない。

(どうすっかなぁ?魔法の実験をしてもいい場所かぁ。火は、昨夜の意味合いでも危険だから、誰もいない時限定だ。そもそも、ギルドのルールで一人では、無理…あっ、確かラノベでは、冒険者ギルドに鍛錬場があるんだったな。魔法訓練場に結界を張ってるラノベもあったし。いっちょ、受付のお姉さんに声をかけてみるか)

 俺は、タバサさんに朝の挨拶を済ませ、朝食を貪りながら、今日の予定を決めた。そうと決まれば!と、俺は朝食を掻き込み、タバサさんに部屋の鍵を預け、宿を飛び出した。
 
(よし、着いた!)

 飛び出したといっても、ほとんど近距離である。ふんっと軽く意気込んで、ギルドの扉を開ければ、朝の賑やかな冒険者たちで溢れ返っていた。

「おはようございます」
「おはようございます。なにかご用でしょうか?」
「魔法の訓練場の申請を行いたいのですが…」
「訓練場の使用は一人でしょうか?」
「はい、そうです」

 なんだ?これも監督がいるとかいうのか?いくら青少年の安全確保の為とは言え、この世界の冒険者ギルドは、過保護過ぎないか?冒険者の醍醐味は自由だろう。その代わり、全てが自己責任だが。
 流石に訓練にまで監督がいるとか……ここは森じゃないんだぞ?

「その監督役、私がさせて頂きますよ」

 俺が眉間にシワを寄せ、嫌悪感ある表情をしていたせいだろう。
 周囲の空気が少しだけピリッとした時、そんな朗らかな声が響いた。濃い藍色の短髪に、水色の瞳を持つ男性だった。

「貴方は?」
「私は、ウルディン。孤児院出身のCランク冒険者だ」
「Cランク……」

 確か、冒険者ギルド登録の際に、ソフィアさんが言っていたアレを思い出す。

 ―――『先輩Dランク以上の冒険者を一人護衛に付けることで、パーティーを組む必要がない決まりもあります。その場合、同伴者には、ギルド貢献ポイントと実績情報に加味され、ランクアップの判断に寄与されます。同伴料は、その時の依頼料の3割を納めることになっています』―――

 だが、どうして俺に?
 他にも、候補はいくらでもいるだろうに。

「君はルイ君だよね?孤児院は卒院はしているけど、うちの子達が迷惑をかけたみたいじゃないか」
 
 うちの子達?
 俺が首を傾げると、彼はちらっとある方向へ視線を走らせた。

「…なるほどね」

 彼の視線の先にいたのは、気まずそうに集まっているアンナたちがいた。アンナたちは、孤児院の子たちか。

「私は魔法師なんだけど、今は、腹に少々怪我をしていてね。長い距離の移動は、許可されていないんだ」
「それで、ギルド内は好都合だと言うことですね」
「そういうことだ。多少の無理は平気なんだけど、嫁さんが煩くてね」

 肩を竦めながら、女房の愚痴を子供に吐く魔法師ウルディン。

「奥様の愚痴は、仲間内で吐くことをお勧めさせていただきますよ。このような、誰でも聞くことの出来る環境下では、夕方にも、貴方の命は危ないかもしれない」

 壁に耳あり、障子に目ありとは、よく言ったもの。世間は以外と狭いのだ。
 前世では、嫌と言うほど味わっている。どこで知り合いが繋がっているか。話を聞かれているか……分かったものではない。

 特に、夫婦喧嘩は犬も食わぬと言うほど、他人からすれば下らない場合が多い。そんなことに巻き込まれるのは、アンナたち同様に御免である。

「あははっ!?確かにそうだね!これから気を付けるよ」

 奥さんの怒る姿を想像しているのだろう。おどけているようだが、彼の頬に流れる一筋の汗を見逃さなかった。彼の夫婦関係を察して、心の中で合掌するのだった。

☆長いので、分けます。続きの更新は、明日予定です!✨
感想 0

あなたにおすすめの小説

本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます

青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。 藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。 溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。 その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。 目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。 前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。 リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。 アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。 当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。 そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。 ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。 彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。 やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。 これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。

畑の隣にダンジョンが生えたので、農家兼ダンチューバーになることにした件について〜隠れ最強の元エリート、今日も野菜を育てながら配信中〜

グリゴリ
ファンタジー
 木嶋蒼、35歳。表向きは田舎で農業を始めて1年目の、どこにでもいる素朴な農家だ。しかし実態は、内閣直轄の超エリート組織・ダンジョン対策庁において「特総(特別総括官)」という非公開の最高職を務める、日本最高峰の実力者である。その事実を知る者は内閣総理大臣を含む極少数のみ。家族でさえ、蒼が対策庁を早々に退庁したと信じて疑わない。  SSSランクのテイムスキルと攻撃スキル、SSランクの支援スキルと農業スキルを18歳時に鑑定され、誰もが「化け物」と称えたその実力を、蒼は今日も畑仕事に注ぎ込んでいる。農作物の品質は驚異的に高く、毎日の収穫が静かな喜びだ。少し抜けているところはあるが、それもご愛嬌——と思っていた矢先、農業開始から1年が経ったある朝、異変が起きた。  祖父母の旧宅に隣接する納屋の床に、漆黒に金の縁取りをしたゲートリングが突如出現したのだ。通常の探索者には認識すらできないそれは、蒼だけが見えるシークレットプライベートダンジョン——後に「蒼天の根」と呼ばれることになる、全100階層の特異空間だった。  恐る恐る潜ったダンジョンの第1層で、蒼は虹色に輝くベビースライム「ソル」と出会い、即座に従魔として契約。さらに探索を進める中でベビードラゴンの「ルナ」、神狼種のベビーシルバーウルフ「クロ」を仲間に加えていく。そしてダンジョン初潜入の最中、蒼の体内に「究極進化システム」が覚醒する。ダンジョン内の素材をエボリューションポイント・ショップポイント・現金へと変換し、自身や従魔、親しい者を際限なく強化・進化させるこのシステムは、ガチャ機能・ショップ機能・タスク機能まで備えた、あまりにもチートじみた代物だった。  蒼は決める。「せっかくだから配信もしよう」と。農家兼ダンチューバーという前代未聞のスタイルで探索者ライセンスを取得し、「農家のダンジョン攻略配信」を開始した彼の動画はじわじわと注目を集め始める。  そんな中、隣のダンジョンの取材にやってきたのが、C級探索者ライセンスを持つ美人記者兼ダンチューバー・藤宮詩織だった。国際探索者協会の超エリート一家に生まれながら自らの道を切り開いてきた彼女は、蒼の「農家なのになぜかとても強い」という矛盾に鋭い鑑定眼を向ける。  隠れ最強の農家配信者と、本質を見抜く美人記者。チート級の従魔たちが賑やかに囲む日常の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。ダンジョン攻略・農業・配信・ガチャ・そして予期せぬ大事件——波乱と笑いと感動が交錯する、最強農家の新米配信者ライフが、今幕を開ける。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

転生?憑依?したおっさんの俺は【この子】を幸せにしたい

くらげ
ファンタジー
鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は、四十目前の独り身の普通という名のブラック会社に務めるサラリーマンだった。だが、目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた。しかも【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!? 「誰も【この子】を幸せにしないなら俺が幸せにしてもいいよな?」

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった

よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】 皆様の熱い応援、本当にありがとうございます! ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です! 【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】 電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。 気がついたら異世界召喚。 だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。 52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。 結論――王都の地下下水道に「廃棄」。 玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。 血管年齢は実年齢マイナス20歳。 そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。 だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。 下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。 捨てられた魔道具。 長年魔素を吸い続けた高純度魔石。 そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。 チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。 あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。 汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。 スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。 この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。 魔力は毒である。代謝こそが命である。 軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。 でも、だからこそ――まず1話、読んでください。 【最新情報&著者プロフィール】 代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作! ◆ 2月に待望の【第2巻】刊行! ◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中! ◆ 【コミカライズ企画進行中】! すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

無能な悪役に転生した俺、10年間で集めたハズレスキル4000個を合成したら最強になっていた

向原 行人
ファンタジー
十八歳になると神様からスキルを授かる世界を舞台にした、アポカリプス・クエスト……通称アポクエというゲームの悪役に転生してしまった。 俺が転生した悪役アデルは、この世界では珍しいスキル無し……神様から加護を授けられなかった。 そのため無能呼ばわりされた挙句、辺境に追放されてゲーム序盤に死んでしまう。 幸い、ゲーム開始の十年前……八歳のアデルなので、そんな運命を変えるべく、剣や魔法の腕を磨く。 更に、無能呼ばわりされない為に、ゲーム知識で隠しアイテムを手に入れてスキルを授かるのだが……授かったのは「ハズレスキルガチャ」というスキル。 一日一回ガチャでハズレスキルが貰えるらしい。 いや、幾らハズレスキルがあっても意味がないと思うのだが、もしかしたらレアスキルが当たるかも……と、十年間ガチャを回す。 そして約四千ものハズレスキルが貯まったが、一つもレアなスキルは出なかった。 だが、二つ目の隠しアイテムで、「スキル合成」というスキルを授かり、四千個のハズレスキルを組み合わせ、新たなスキルを作れるようになった。 十年間の努力とスキル合成……この二つを使って、末永く暮らすんだっ!