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七日目―やらかすということ
「それで、子どもたちのお詫びと言ってはなんだけど、その監督役をやらせてもらえないかな?君は、まだこの街に来たばかりで、仲間がいないだろう?」
「こちらは有り難いですが、午後には、草原へ行きたいんです。それに付き合ってくれるなら、歓迎しますよ」
訓練に付き添うなら、俺の手中を明かすことにもなる。午後の採取同伴も条件に加えるが、彼はあっさりと頷く。
「ギルドも草原も、距離的には変わらないよ。僕の職種は、魔法師。杖があれば、どこでも心配無用さ。どっちみち、嫁さんの完治の判断が出なければ、依頼も出来ないしね。ここは、ギルドの貢献度を稼ぐ機会だよ」
手持ちの魔法杖を翳し、俺に自分を売り込む?ウルディン。伊達に、Cランクを名乗っているというわけではない。腹に傷があろうと、草原ぐらい屁の河童というわけか。
「なるほど、分かりました。それでは、お願いしてもいいですか?」
「勿論さ……というわけだ、ナタリア。手続きをしてくれるか?」
「か、畏まりました」
ウルディンの声がけにハッとなった受付のナタリアさんが、カウンター内でごそごそとやっている。
採取に必要な物資は、既に買い終え、その出番を鞄の中で待っている。街中依頼で出番がなかったが、ようやくのお出ましになりそうだ。
草原の動物や薬草についても、資料室で調べたからな。午後は、常設依頼を見てそのまま採取に行くのがよさそうだ。
常設依頼は、いつでも募集している薬草や素材だ。わざわざ、依頼の受理を登録する必要がない。
「午後の草原の常設依頼ですが、昼食後にそのまま出かけて大丈夫ですか?」
「あぁ、かまわないよ。本当なら、薬草採取は、午前中がいいんだけど、午後は他の子どもたちも疎らな時間だ。草原は広いと言っても、薬草は無限に生えているわけじゃないが、子供がいない方が、君は自由に動けそうだ。君の報酬が、僕にも直結するしね」
パチンっとウィンク一つ。
様に決まる異世界人の美形度が恨めしい。
―――『ギルド貢献ポイントと実績情報に加味され、ランクアップの判断に寄与されます。同伴料は、その時の依頼料の3割を納めることになっています』―――
しかし……ソフィアさんの言葉が、脳内を反芻する。確かに、俺の稼ぎが良ければ、ウルディンが貰えれる報酬も増えるというわけか。それにCからBへ昇格する際の実績にも加味されるなら、暇な時にそれを稼いでおくのも賢明だ。
だが……その任務を軽く考えているウルディンに、俺はニヤリとほくそ笑む。
たかが子供一人の子守りと考えているが、俺はバレンのところでも写生をしなければならない。
折角の一人(+監督役)での採取時間だ。他の子の目があって躊躇していた鑑定だが、午後は子供が疎ららしい。それに、無属性の疎外認識を使えば、俺の場所を把握出来ても、鑑定を使い放題なのは分からないだろう。
脳内で、ニヤニヤが止まらない。取らぬ狸の皮算用にならないように、採取(鑑定)を頑張らなきゃな。
❖冒険者ギルドの訓練場
「人がそれほどいるわけではないんですね」
街の中だというのに、体育館が2つ並ぶほどの広さだ。武と魔法で分けているのだろうが……もう一度言おう。ここは、街の中である。
「結界に、欠陥はないんですよね?」
「凄い大口を叩くけど、そんな大技を繰り出すつもりなのかい?」
子供の虚勢とでも思っているのか、くっくっくっと笑い、手で口を押さえている。
「先ほどは訓練と言いましたが、少し実験したいことがあるんです。実験は、どんな結果を生むか分からない。計り知れないのが、世の常ですよね?」
「世の常……って、ルイは10歳だよね..?まぁ、いいか。でも、大丈夫さ。国家都市……つまり、王都を滅ぼす災害級の魔物がもし蘇っても、びくともしないよ。ここは、街の中だ。非常時の避難場所にもなっている。冒険者ギルドは、安全への配慮には敏感だからね」
「了解です」
「両方の訓練場に、それぞれ結界があるから、心配はいらないよ。実験かなにか分からないけど、頑張って!」
「…はい、ありがとうございます」
監督役なのに、実験内容を聞かないのか?この世界のギルドと冒険者の安全の解釈度が違い過ぎて、暫し遠い目になる……と思ったら。
「………どうした~?魔法を打たないのか~?」
と結界外から声を掛けるウルディンがいた。なるほど。そう来たか。
「ほんっと、監督役の意味を辞書で調べろよな!?」
災害級の魔物(俺が生まれる前だから、脅威度は分からないけど)が襲ってきても、結果は大丈夫とお墨付きを貰ったんだ。
俺は、魔力を手のひらに集めるイメージに集中をした。そして、今の限界に達したのを感じて、訓練場にあった的に掌を向けた。
(雄風!?)
せっかくの実験の機会だ。派手に飛ばそうぜ!?そして、ルイの思惑通り、風は発生した。だが、ルイの魔力量か?経験値か?
竜巻ほどの威力はなく、つむじ風程度で済んだ。だがそれでも、高さは訓練場の天井に到達し、訓練場にあった物を巻き込み上げた。
数秒だけだったが、その威力や危険度を、Cランクのウルディンは一瞬で理解する。
人間、空は飛べないのだ。
数秒とは言えわ天井に届く高さに巻き上げれれば、冒険者生命は、一瞬で終わる。
しかも無詠唱である。
無詠唱は、高難易度の技で、高ランク冒険者が成せるスキルである。
しかし、ルイはそれを知らない。
前世の記憶に引っ張られ、イメージや成り立ちをしっかり理解していれば、魔法は成り立つという常識に囚われているのだ。
この世界の魔法師に接したことがないのも、彼のやらかしの原因でもあった。
「ルイ!大丈夫かい!?」
監督役という立場から、名前を呼び捨てにしているが、ウルディンは既に、ルイを『さん付け』で呼びたい気持ちになっていた。
「こちらは有り難いですが、午後には、草原へ行きたいんです。それに付き合ってくれるなら、歓迎しますよ」
訓練に付き添うなら、俺の手中を明かすことにもなる。午後の採取同伴も条件に加えるが、彼はあっさりと頷く。
「ギルドも草原も、距離的には変わらないよ。僕の職種は、魔法師。杖があれば、どこでも心配無用さ。どっちみち、嫁さんの完治の判断が出なければ、依頼も出来ないしね。ここは、ギルドの貢献度を稼ぐ機会だよ」
手持ちの魔法杖を翳し、俺に自分を売り込む?ウルディン。伊達に、Cランクを名乗っているというわけではない。腹に傷があろうと、草原ぐらい屁の河童というわけか。
「なるほど、分かりました。それでは、お願いしてもいいですか?」
「勿論さ……というわけだ、ナタリア。手続きをしてくれるか?」
「か、畏まりました」
ウルディンの声がけにハッとなった受付のナタリアさんが、カウンター内でごそごそとやっている。
採取に必要な物資は、既に買い終え、その出番を鞄の中で待っている。街中依頼で出番がなかったが、ようやくのお出ましになりそうだ。
草原の動物や薬草についても、資料室で調べたからな。午後は、常設依頼を見てそのまま採取に行くのがよさそうだ。
常設依頼は、いつでも募集している薬草や素材だ。わざわざ、依頼の受理を登録する必要がない。
「午後の草原の常設依頼ですが、昼食後にそのまま出かけて大丈夫ですか?」
「あぁ、かまわないよ。本当なら、薬草採取は、午前中がいいんだけど、午後は他の子どもたちも疎らな時間だ。草原は広いと言っても、薬草は無限に生えているわけじゃないが、子供がいない方が、君は自由に動けそうだ。君の報酬が、僕にも直結するしね」
パチンっとウィンク一つ。
様に決まる異世界人の美形度が恨めしい。
―――『ギルド貢献ポイントと実績情報に加味され、ランクアップの判断に寄与されます。同伴料は、その時の依頼料の3割を納めることになっています』―――
しかし……ソフィアさんの言葉が、脳内を反芻する。確かに、俺の稼ぎが良ければ、ウルディンが貰えれる報酬も増えるというわけか。それにCからBへ昇格する際の実績にも加味されるなら、暇な時にそれを稼いでおくのも賢明だ。
だが……その任務を軽く考えているウルディンに、俺はニヤリとほくそ笑む。
たかが子供一人の子守りと考えているが、俺はバレンのところでも写生をしなければならない。
折角の一人(+監督役)での採取時間だ。他の子の目があって躊躇していた鑑定だが、午後は子供が疎ららしい。それに、無属性の疎外認識を使えば、俺の場所を把握出来ても、鑑定を使い放題なのは分からないだろう。
脳内で、ニヤニヤが止まらない。取らぬ狸の皮算用にならないように、採取(鑑定)を頑張らなきゃな。
❖冒険者ギルドの訓練場
「人がそれほどいるわけではないんですね」
街の中だというのに、体育館が2つ並ぶほどの広さだ。武と魔法で分けているのだろうが……もう一度言おう。ここは、街の中である。
「結界に、欠陥はないんですよね?」
「凄い大口を叩くけど、そんな大技を繰り出すつもりなのかい?」
子供の虚勢とでも思っているのか、くっくっくっと笑い、手で口を押さえている。
「先ほどは訓練と言いましたが、少し実験したいことがあるんです。実験は、どんな結果を生むか分からない。計り知れないのが、世の常ですよね?」
「世の常……って、ルイは10歳だよね..?まぁ、いいか。でも、大丈夫さ。国家都市……つまり、王都を滅ぼす災害級の魔物がもし蘇っても、びくともしないよ。ここは、街の中だ。非常時の避難場所にもなっている。冒険者ギルドは、安全への配慮には敏感だからね」
「了解です」
「両方の訓練場に、それぞれ結界があるから、心配はいらないよ。実験かなにか分からないけど、頑張って!」
「…はい、ありがとうございます」
監督役なのに、実験内容を聞かないのか?この世界のギルドと冒険者の安全の解釈度が違い過ぎて、暫し遠い目になる……と思ったら。
「………どうした~?魔法を打たないのか~?」
と結界外から声を掛けるウルディンがいた。なるほど。そう来たか。
「ほんっと、監督役の意味を辞書で調べろよな!?」
災害級の魔物(俺が生まれる前だから、脅威度は分からないけど)が襲ってきても、結果は大丈夫とお墨付きを貰ったんだ。
俺は、魔力を手のひらに集めるイメージに集中をした。そして、今の限界に達したのを感じて、訓練場にあった的に掌を向けた。
(雄風!?)
せっかくの実験の機会だ。派手に飛ばそうぜ!?そして、ルイの思惑通り、風は発生した。だが、ルイの魔力量か?経験値か?
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数秒だけだったが、その威力や危険度を、Cランクのウルディンは一瞬で理解する。
人間、空は飛べないのだ。
数秒とは言えわ天井に届く高さに巻き上げれれば、冒険者生命は、一瞬で終わる。
しかも無詠唱である。
無詠唱は、高難易度の技で、高ランク冒険者が成せるスキルである。
しかし、ルイはそれを知らない。
前世の記憶に引っ張られ、イメージや成り立ちをしっかり理解していれば、魔法は成り立つという常識に囚われているのだ。
この世界の魔法師に接したことがないのも、彼のやらかしの原因でもあった。
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