異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)

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十二日目―ルイの新たな実験?

 それにしても、馬鹿貴族のせいで、碌に連絡が取れないのは不便だな。

 テレパシーでもありゃ……そうだよ!生活魔法で作れるかもしれない!実験してみよう。だが、誰を相手にしようか。ん?

「……バレン、距離が近いんだけど?」

 ふと視線を感じて横を見れば、バレンが顔を覗き込んでいた。お前、手紙書かなくていいのかよ?

「だって、ルイ君がそうやって考えに耽っている時って、魔法文字を考えている時でしょ?なにか、新しいのを思いついたの?」

 瞳をきらきらと輝かせて聞いてくるバレンに、俺の行動パターンが把握されつつある。ストーカーではないのだが、最近一緒にい過ぎたせいか?

 生活魔法事典が終わるまでの関係だったはずなのに、いつしか、秘密を知られる関係になってしまった。

「……そうだ、バレンに協力してもらおう」
「いいよ!なにをするの!?」

 即答かよ。まぁ、知らん間柄ではないが、少しは警戒を持てよ。

「……はぁ。思念伝達テレパシーっていう相手に届けたい言葉を心の中で強く呼びかけて、それが相手に届けば成功っていう実験」
「!!やる!僕、それやる!」

 はいはいはい!と連打で叫びながら、挙手するバレンは、俺に寄りかからんばかりだ。

「はぁ……近いぞ、バレン」

 俺が深いため息を吐きながら、声を低くして言えば、彼はしょぼんとしながら、素直に謝った。

「…ごめんね。少し興奮しちゃった」 

 こいつも、根は良い奴なんだ。引っ付き虫これさえなきゃなぁ。

「くっくっくっ……」

 俺たちの様子を見ていたギルマスは、笑い声を堪えているようだが、漏れてるし。なんなら、肩が震えてるし。
 背中に流した三つ編みの髪が、小刻みに揺れてバレバレだ。

「ギルマス、笑っているのバレバレですからね」
「くくっ…だって、滅茶苦茶嫌そうに顔を歪めながらも、ルイ君は謝罪を受け入れてるし?バレン君も、おざなりに扱われても、素直に謝ってるし?……お互い似た者同士だなぁって……いいコンビだよ」
「はぁ?」
「へ?」

 ギルマスの思わぬ意見に、お互いに顔を見合わせる俺たち。
 彼がなん歳か知らないが、俺たちより歳上なのは定か。到底受け入れられる意見ではない……が、所変われば品変わる。

 当事者と第三者では、見える景色が違うんだな。年長者の見解として覚えおこう。損はないだろう。

「バレン君。文の内容は、本当にこれでいいのかい?」
「はい。これで、お願いします」

 含み笑いから復活したギルマスが、バレンに声をかけていた。

 隠すことなく晒された手紙。そこには、電報のような短い文が添えられていた。

“例の件、解決の兆しあり。
 至急、連絡乞う。 バレン”

「分かった。では、預かるね」
「はい。よろしくお願いします」

 短い手紙だが、念の為、詳しく書くのを控えたのか?ギルマスが、権力を持つという知り合いを配送係に遣う辺り、二人の関係性は見えるが……俺たちは知らない人だからな。これが、賢明かもな。

 そう考えていた俺は、実験の内容に思考を切り替える。

(距離は、一階と二階……いや、始めはこの部屋の扉越しだな。正当性を持たせる為、バレンが扉を出た後に、ギルマスに決めてもらった言葉を、実験に使用してみよう)

☆生活魔法(仮) New!

思念伝達テレパシー……相手に届けたい言葉を心の中で強く呼びかける。それが相手に届けば成功。
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