異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)

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十二日目―新生活魔法、爆誕!

 ☆いつもご愛読ありがとうございます!
 読者様より、前話について、ご意見を頂きました!
 読んでみて、なるほど!としっくり来ましたので、思念転送テレパシーを、思念伝達テレパシーへ変更致します!
 宜しくお願い致します!m(_ _)m

 本文↓ 

「それで、僕も実験に参加出来るの?」
「あぁ、それはかまわねぇよ……というか、人手が足りん。寧ろ、手伝ってもらえたら助かる」
「っ!ありがとう!僕、収納ストレージでの快感が忘れられなくて……」
「快感?」

 その時を思い出したのか。
 身体をふるりっ!と震わせるバレンに、俺は眉間に皺を寄せた。

(こいつ……変な扉を開こうとしてんじゃねぇだろうな?こいつの悪癖は、引っ付き虫だけで十分だぜ)

 彼の言葉に辟易としながらも、人手がない今は、多少の事には、目を瞑るしかあるまい。

 俺は小さく息を吐きながら、口を開いた。

「ギルマスも手伝ってもらえませんか?」
「いいけど、なにをするんだい?」

 手紙の転送を終えたギルマスは、執務机に肘を付き、こちらをにこにこと眺めていたのだ。暇なら、手伝ってもらう。

「そうですね。扉の向こうへ、バレンを追い出します」
「え"!?」

 思ってもいなかったらしい俺の言葉に、バレンはショックを露わにした表情になる。

「何を考えてやがる。これは距離も伴った実験だぞ?最終的には、一階のホールまで行ってもらうからな?」
「僕が?」
「手伝いたいんじゃなかったのか?」
「それはそうだけど……」

 なにが不満なのか。やや膨れた頰を飼いながら、指をツンツンと抗議の意を示すバレン。勿論、ガン無視である。

「まずは、バレンの魔力を俺に流してくれ」
「え?」
「少しでいいんだ」
「……分かった」

 差し出した俺の手を、バレンは遠慮気味に握る……おい。なにを戸惑う必要がある?男同士だろ。もう少ししゃきっとしろ!

 普段は無駄にぐいぐい来る癖に、こっちが近寄ると恥ずかしがるとか……磁石かよ。

「……もういい、助かった」

 俺がぱっと手を開けば、バレンも頷き、手を離した。

「お前が外に出た後に、ギルマスにある言葉を決めてもらう」
「ある言葉?」
「バレンに託す言葉だ。今言ったら、意味がないだろ?扉の向こうで、俺の声が聞こえたと思ったら、戻ってきてくれ。こちらで一定の時間を決めるから、それまでにバレンが戻ってこなかったら、俺が声をかける」
「分かった!」
「じゃぁ、暫く廊下で待っていてくれるか?」
「了解です!」

 ビシッと気をつけをしたバレンは、機微な動きで、扉の向こうへ消えた。

「……はぁ、静かだ」
「ぷぷっ!君たちは、もう。それで、言葉はなんでもいいのかな?」

 俺のしみじみとした物言いに、ギルマスが吹き出す。なにが面白いのか。

「極ありふれた言葉でかまいません。出来れば、短めの」
「短い言葉か………ふむ。なら、これはどうだい?」
「……わかりました。では、それで試してみましょう」

 バレンのことを思い浮かべ、奴に届くように。魔素に俺の魔力を乗せ、それを大気に流す。奴の魔力を微量に混ぜながら。

(思念伝達!)

 大気の魔素に、ある言葉を託す。

(この方法だと、近い距離は可能だ。しかし、長い距離となると……これも、実験を繰り返すしかなさそうだな)

♢ 

(…………遅いなぁ。なにやってるんだろ?)

 扉を出て、体感では、10分ぐらいに感じていた。少しだけ退屈を感じ始めた時、それは唐突にやって来た。

〘お師匠様!〙
(は?……はあぁ!?)
〘お師匠様!〙
(ギルマスが決めた言葉って言ってたけど、これは、絶対にルイ君の仕業でしょ!?)
〘お師匠様!〙
(しつっこい!聞こえたから!)
〘………〙
(あれ?聞こえなくなった?……もしかして、僕が“聞こえたから!”って受け取ったから?……取り敢えず、これは成功だよね?凄いや!?ルイ君に知らせなきゃ!!)

「ルイ君!」

 興奮した僕は、ノックも忘れて扉を開けた。


「…おう、お疲れ。どうだった?」

 感極まったバレンを見る限り、聞く必要もなさそうだけど。言葉の確認は、必要だしな。

「聞こえた!聞こえたよ!だけどさ!?“お師匠様”って、どういうことなのさ!?」
「なにを怒ってるんだ?ギルマスが決めた言葉だぞ?」
「え"!?」

 嘘でしょ!?と、バッとギルマスを見れば、彼は……こちらに背を向け震えていた。

「本当に、ギルマスが?」
「だから、そう言ってるだろ?誤解しているかもしれんが、ギルマスはお茶目だぞ。意外とな」
「……そうですね!」
「…っ!ぶふっ!?……っ、もう無理!あははははっ!?」
「「……」」
 
 ヤケクソになった僕で、遂に限界を迎えたらしい。噴き出して爆笑するギルマスを背景に、僕とルイ君は、無言で顔を見合わせた。



(取り敢えず成功はしたが……どうすんだ?このカオス)

 笑いが止まらないギルマスをBGMに、昼を知らせる鐘の響きが、街に鳴り渡るのだった。
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