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十三話 「ただの人間」 下中
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たった一歩。
たった一歩で、ルーを連れて走った距離を埋めた。
足の裏で爆発させた魔力は、石畳を砕きながら速度を生み出し、
「あ? なんだ、てめえは」
魔王の視線を向けさせる事に成功する。
左手でソフィアさんに火球を飛ばしながら訝しげにこちらを見る魔王は、魔王と呼ばれるよりも僕と一緒に高校に通っている方が似合うような容貌だ。
そして、そんな相手に斬る事に、今の僕に躊躇いはない。
「僕は勇者」
風のように僕を運ぶ速さをそのままに、ぐるりと横に一回転しながら聖剣を振り回す。
人の背丈ほどもある聖剣は、少し回してやるだけで遠心力が付き、斬るというよりも叩き付けるとしか言いようのない無様さ。
だけど重さと速さと聖剣自体の頑丈さは、当たればとんでもない威力を叩き出す。
「おっ」
こちらに突き出された魔王の右腕に、正面からぶち当たった聖剣からは地面を思い切りハンマーでぶん殴ったような衝撃が伝わり、赤い飛沫が辺りに飛び散る。
聖剣を引くと、魔王の五本の指全てがあらぬ方向を向いていた。
「僕は勇者、アカツキ……」
落ち着け、と思いながら、今だけは演技がバレませんように、と祈る。
イメージはソフィアさんのように、颯爽とした名乗り。
「お前を斬る者だ!」
勇者でも何でもない僕が出来る、ほんの少しの足掻きだ。
「へえ、てめえが勇者か」
にんまりと、ギザギザした歯を剥き出しにして満面の笑みを浮かべた魔王は、折れた右手を左手で触れた。
「……そんなのアリかよ」
すると傷口から溢れていた血も、折れた骨もすっかり元通りの綺麗な手に戻っている。
雀の涙程度しかダメージ通らないのに、一瞬で全回復するボスとか卑怯過ぎるだろ……。
ゲームならキレて売り飛ばしてるバランスにもほどがある。
「お前が俺様の片割れねえ……」
「片割れ?」
「ああ、いやさ、ほら、なんつーの?」
まったく要領を得ない言葉を発する魔王は、剣を向けられているというのに、腕組みをし始めた。
「俺様が世界で一番強いのは絶対でさ、それは間違いねーだろ?」
「そうなのか……?」
穏やかですらある声のトーンは、いっそ友人に話しかけていると考えた方が、勇者と魔王の会話と考えるより理解しやすい。
「そうなんだよ、わかれよクソが。 でよ、その世界最強の超絶俺様を倒す勇者って奴が、一体どんなクソかと考えてたわけなんだけどよ」
話している内容がどこに飛ぶのか、さっぱりわからないが今一秒でも時間を稼げば、一秒遠くにルーが逃げられる。
ソフィアさんとマゾーガはまだ逃げていないが、何とかして逃げてくれと伝えなければならない。
今はまだ駄目だ。
またソフィアさんに魔王の興味を向けさせるのは不味い。
「あーとさ……つまり、お前は俺様の片割れなんだよ」
「……どういう事だ」
本気でさっぱりわからん。
「わかれよ、クソが! 今の俺様が最高に説明してやってるだろうが!?」
「何も説明してないだろうが!?」
僕に正対した魔王は残っていた火球全てを僕に向け、一気に全てを解き放った。
空気すら蒸発しそうな熱量を持った火球は、壁が勢いよく迫ってくるような印象を僕に与えてくる。
「だけど……!」
聖剣の能力は『絶対不壊』
神が鍛ったと言われている聖剣は、あらゆる攻撃を完全に防ぎきる。
刀身に隠れるように火球の群れをやり過ごした僕は、そのまま前に出た。
「あーちくしょう! そういや俺様、誰かに説明した事なかったわ!」
大きく振りかぶられる魔王の拳は、僕から見ても見切れそうだ。
しかし、聖剣の重さは勇者の力を発動させた僕でも、簡単には操れない。
「わかれよ、てめえ!」
「別に分かり合わなくて構わない!」
話し合いが出来る以上、相互理解の可能性はあるかもしれないけど、そんな暇な事は別な誰かか、漫画の世界にでも任せておく。
駄々っ子のように発射された魔王の拳は、ブラックホールのような黒い渦を纏っている。
火球なんて目じゃない速度で僕に向かってくる拳を、聖剣のふちで受けた。
もし刃で受けたら両刃の作りになっている聖剣が、僕の身体に吹っ飛んできて真っ二つにされていただろう。
「今度は僕の番だ!」
痺れた手を気にする余裕もなく、弾かれた勢いをそのままに横殴りにフルスイング。
剣道の基本も、ソフィアさんの振る剣の美しさもなく、ただ力任せだけど威力だけは確実だ。
「はっ! まぁいい。 てめえをぶっ殺してからゆっくり考えるからよ!」
迎撃は再び全力の拳。
型もなく、ただ力任せに振るわれた拳は、しっかりと聖剣に命中し、ぐしゃっと軽くすら聞こえる音が僕の耳に届く。
しかし、拳を戻した瞬間にはすっかり元通りになっていて、魔王が傷を負った痕跡は聖剣を汚す血だけだ。
「地獄でゆっくり考えろ!」
威勢のいい事を言いながら正直な話、僕は焦っていた。
たった二発受けただけで、もう手の感覚がない。
どうする……僕はすでに身体を回して、再び遠心力をたっぷりと乗せた一撃をお見舞いしようとしていて、魔王も拳を振りかぶっている。
しかも、勝てるとは最初からまったく、これっぽっちも思ってなかったけど、差がありすぎるだろ、これ。
「ソフィアさん、逃げて! マゾーガも!」
「……リョウジ」
一発受けて、一発ぶち当てる毎にスピードが跳ね上がっていく。
聖剣を振り回しているのか、振り回されているのかわからない状態で、高い所に張られたロープの上でタップダンスを踊っているような有り様だ。
ソフィアさんに視線を送っている暇はない。
「僕は守る……! 皆を守ってみせる!」
剣先には飛行機雲に似た水蒸気の尾が生まれ、聖剣を振り回すたびに身体が軋む。
ぶち、ぶちと何かが切れたような音が何かなんて考えたくもない。
それでもまだ、何とかなる。
「守るだなんだと、しちめんどくせえ奴だな! 力の本質なんてやつはぶっ壊す以外にゃねえだろうが!」
「だとしても、お前を壊せば世界は救われる!」
剣と拳、軍配は魔王の拳に上がった。
「やってみせろよ、勇者!」
僕の手から聖剣がすっぽ抜ける。
はね飛ばされた聖剣は、辺りの建物を破壊し、勇者の力を借りている事により強化された聴力が壁を十枚ばかりぶち抜いた事を知らせてくれた。
呆れるような力の暴風、それに立ち向かうのが僕というのが笑えない。
「やってやるよ、魔王!」
だけど引く理由はなく、僕は拳を作った。
馬鹿の一つ覚えのように大砲をぶっ放そうとする魔王の機先を制し、手打ちのジャブを見よう見まねで打ち込む。
「効くかよ、そんなもん!」
「百も承知だ!」
人を超えた反射速度は、時として徒になる。
ジャブが眼球に当たった所で、痛手になる気がしないし、すぐに再生出来るだろう。
しかし、反射的に目を閉じてしまうのは生物の本能だ。
「ちっ、どこに……」
その目を閉じた一瞬で魔王の後ろに周りこみ、柔らかな細い腰をがっちりとホールド。
「どっ」
へその下に力を籠め、引っこ抜くように魔王の身体を持ち上げ、
「せいっ!」
上体を逸らし、魔王の無防備な後頭部を石畳に叩き込み、首まで深々と埋め込んでやった。
「バックドロップなんて、他人に使う日が来るとは思わなかった……」
そして、一つ気付いた事がある。
勢いを付けすぎて、自分の頭までぶつけてしまったけど、凄く痛い。
ひょっとしたら勇者の力って、防御力上がってないんじゃないだろうか。
「クカカカカカカカカカ……!」
「寝てろよ、ほんと……」
ずぼっ、という感じで石畳を破壊しながら顔を引っこ抜いた魔王は、まるで応えた様子はない。
むしろ元気いっぱいに上半身のバネを使って、跳ね起きるくらいだ。
「今、俺様は生まれてこの方、初めて楽しい!」
「楽しい事なんて、いくらでもあるよ……」
対する僕は息も絶え絶え。
一息つけてしまった事で、逆に傷んだ筋肉が騒ぎ出し、一気に振り回した身体が休息を求めている。
今まで感じた事がないくらい、異常に身体が熱を発し、粘っこい汗が吹き出してきていた。
「いや、そうでもないぜ、これが。 俺様がこの世界に生まれ落ちてから半年」
「……半年?」
「ああ、半年だ。 そして、その時間は俺様に絶望をじっくり、ねっとりと教えてくれたもんよ」
色々と聞きたい事はある。
だけど、それを魔王は許してくれそうにない。
魔王の身体から噴き上がる魔力は、物理的な衝撃すら生む金色の光を生み出した。
「お前、俺様が全力を出してもいいんだよな?」
卑怯なんだよ、と魔王は呟く。
「俺様は強過ぎて、大抵の奴はパンチ一発で木っ端みじんだ。 俺様は賢過ぎて初めてのチェスで、魔物で一番チェスが強い奴にも勝っちまった」
俺様は無敵過ぎる、と呟く魔王は寂しげで、
「だから、お前は俺様初めての敵って事でいいんだよな?」
本気出してもいいんだよな、と魔王は言った。
「……勘弁してくれよ」
「はっ! まぁそう言うなよ、勇者!」
後ろから『プチン』と何かが切れる音がした。
たった一歩で、ルーを連れて走った距離を埋めた。
足の裏で爆発させた魔力は、石畳を砕きながら速度を生み出し、
「あ? なんだ、てめえは」
魔王の視線を向けさせる事に成功する。
左手でソフィアさんに火球を飛ばしながら訝しげにこちらを見る魔王は、魔王と呼ばれるよりも僕と一緒に高校に通っている方が似合うような容貌だ。
そして、そんな相手に斬る事に、今の僕に躊躇いはない。
「僕は勇者」
風のように僕を運ぶ速さをそのままに、ぐるりと横に一回転しながら聖剣を振り回す。
人の背丈ほどもある聖剣は、少し回してやるだけで遠心力が付き、斬るというよりも叩き付けるとしか言いようのない無様さ。
だけど重さと速さと聖剣自体の頑丈さは、当たればとんでもない威力を叩き出す。
「おっ」
こちらに突き出された魔王の右腕に、正面からぶち当たった聖剣からは地面を思い切りハンマーでぶん殴ったような衝撃が伝わり、赤い飛沫が辺りに飛び散る。
聖剣を引くと、魔王の五本の指全てがあらぬ方向を向いていた。
「僕は勇者、アカツキ……」
落ち着け、と思いながら、今だけは演技がバレませんように、と祈る。
イメージはソフィアさんのように、颯爽とした名乗り。
「お前を斬る者だ!」
勇者でも何でもない僕が出来る、ほんの少しの足掻きだ。
「へえ、てめえが勇者か」
にんまりと、ギザギザした歯を剥き出しにして満面の笑みを浮かべた魔王は、折れた右手を左手で触れた。
「……そんなのアリかよ」
すると傷口から溢れていた血も、折れた骨もすっかり元通りの綺麗な手に戻っている。
雀の涙程度しかダメージ通らないのに、一瞬で全回復するボスとか卑怯過ぎるだろ……。
ゲームならキレて売り飛ばしてるバランスにもほどがある。
「お前が俺様の片割れねえ……」
「片割れ?」
「ああ、いやさ、ほら、なんつーの?」
まったく要領を得ない言葉を発する魔王は、剣を向けられているというのに、腕組みをし始めた。
「俺様が世界で一番強いのは絶対でさ、それは間違いねーだろ?」
「そうなのか……?」
穏やかですらある声のトーンは、いっそ友人に話しかけていると考えた方が、勇者と魔王の会話と考えるより理解しやすい。
「そうなんだよ、わかれよクソが。 でよ、その世界最強の超絶俺様を倒す勇者って奴が、一体どんなクソかと考えてたわけなんだけどよ」
話している内容がどこに飛ぶのか、さっぱりわからないが今一秒でも時間を稼げば、一秒遠くにルーが逃げられる。
ソフィアさんとマゾーガはまだ逃げていないが、何とかして逃げてくれと伝えなければならない。
今はまだ駄目だ。
またソフィアさんに魔王の興味を向けさせるのは不味い。
「あーとさ……つまり、お前は俺様の片割れなんだよ」
「……どういう事だ」
本気でさっぱりわからん。
「わかれよ、クソが! 今の俺様が最高に説明してやってるだろうが!?」
「何も説明してないだろうが!?」
僕に正対した魔王は残っていた火球全てを僕に向け、一気に全てを解き放った。
空気すら蒸発しそうな熱量を持った火球は、壁が勢いよく迫ってくるような印象を僕に与えてくる。
「だけど……!」
聖剣の能力は『絶対不壊』
神が鍛ったと言われている聖剣は、あらゆる攻撃を完全に防ぎきる。
刀身に隠れるように火球の群れをやり過ごした僕は、そのまま前に出た。
「あーちくしょう! そういや俺様、誰かに説明した事なかったわ!」
大きく振りかぶられる魔王の拳は、僕から見ても見切れそうだ。
しかし、聖剣の重さは勇者の力を発動させた僕でも、簡単には操れない。
「わかれよ、てめえ!」
「別に分かり合わなくて構わない!」
話し合いが出来る以上、相互理解の可能性はあるかもしれないけど、そんな暇な事は別な誰かか、漫画の世界にでも任せておく。
駄々っ子のように発射された魔王の拳は、ブラックホールのような黒い渦を纏っている。
火球なんて目じゃない速度で僕に向かってくる拳を、聖剣のふちで受けた。
もし刃で受けたら両刃の作りになっている聖剣が、僕の身体に吹っ飛んできて真っ二つにされていただろう。
「今度は僕の番だ!」
痺れた手を気にする余裕もなく、弾かれた勢いをそのままに横殴りにフルスイング。
剣道の基本も、ソフィアさんの振る剣の美しさもなく、ただ力任せだけど威力だけは確実だ。
「はっ! まぁいい。 てめえをぶっ殺してからゆっくり考えるからよ!」
迎撃は再び全力の拳。
型もなく、ただ力任せに振るわれた拳は、しっかりと聖剣に命中し、ぐしゃっと軽くすら聞こえる音が僕の耳に届く。
しかし、拳を戻した瞬間にはすっかり元通りになっていて、魔王が傷を負った痕跡は聖剣を汚す血だけだ。
「地獄でゆっくり考えろ!」
威勢のいい事を言いながら正直な話、僕は焦っていた。
たった二発受けただけで、もう手の感覚がない。
どうする……僕はすでに身体を回して、再び遠心力をたっぷりと乗せた一撃をお見舞いしようとしていて、魔王も拳を振りかぶっている。
しかも、勝てるとは最初からまったく、これっぽっちも思ってなかったけど、差がありすぎるだろ、これ。
「ソフィアさん、逃げて! マゾーガも!」
「……リョウジ」
一発受けて、一発ぶち当てる毎にスピードが跳ね上がっていく。
聖剣を振り回しているのか、振り回されているのかわからない状態で、高い所に張られたロープの上でタップダンスを踊っているような有り様だ。
ソフィアさんに視線を送っている暇はない。
「僕は守る……! 皆を守ってみせる!」
剣先には飛行機雲に似た水蒸気の尾が生まれ、聖剣を振り回すたびに身体が軋む。
ぶち、ぶちと何かが切れたような音が何かなんて考えたくもない。
それでもまだ、何とかなる。
「守るだなんだと、しちめんどくせえ奴だな! 力の本質なんてやつはぶっ壊す以外にゃねえだろうが!」
「だとしても、お前を壊せば世界は救われる!」
剣と拳、軍配は魔王の拳に上がった。
「やってみせろよ、勇者!」
僕の手から聖剣がすっぽ抜ける。
はね飛ばされた聖剣は、辺りの建物を破壊し、勇者の力を借りている事により強化された聴力が壁を十枚ばかりぶち抜いた事を知らせてくれた。
呆れるような力の暴風、それに立ち向かうのが僕というのが笑えない。
「やってやるよ、魔王!」
だけど引く理由はなく、僕は拳を作った。
馬鹿の一つ覚えのように大砲をぶっ放そうとする魔王の機先を制し、手打ちのジャブを見よう見まねで打ち込む。
「効くかよ、そんなもん!」
「百も承知だ!」
人を超えた反射速度は、時として徒になる。
ジャブが眼球に当たった所で、痛手になる気がしないし、すぐに再生出来るだろう。
しかし、反射的に目を閉じてしまうのは生物の本能だ。
「ちっ、どこに……」
その目を閉じた一瞬で魔王の後ろに周りこみ、柔らかな細い腰をがっちりとホールド。
「どっ」
へその下に力を籠め、引っこ抜くように魔王の身体を持ち上げ、
「せいっ!」
上体を逸らし、魔王の無防備な後頭部を石畳に叩き込み、首まで深々と埋め込んでやった。
「バックドロップなんて、他人に使う日が来るとは思わなかった……」
そして、一つ気付いた事がある。
勢いを付けすぎて、自分の頭までぶつけてしまったけど、凄く痛い。
ひょっとしたら勇者の力って、防御力上がってないんじゃないだろうか。
「クカカカカカカカカカ……!」
「寝てろよ、ほんと……」
ずぼっ、という感じで石畳を破壊しながら顔を引っこ抜いた魔王は、まるで応えた様子はない。
むしろ元気いっぱいに上半身のバネを使って、跳ね起きるくらいだ。
「今、俺様は生まれてこの方、初めて楽しい!」
「楽しい事なんて、いくらでもあるよ……」
対する僕は息も絶え絶え。
一息つけてしまった事で、逆に傷んだ筋肉が騒ぎ出し、一気に振り回した身体が休息を求めている。
今まで感じた事がないくらい、異常に身体が熱を発し、粘っこい汗が吹き出してきていた。
「いや、そうでもないぜ、これが。 俺様がこの世界に生まれ落ちてから半年」
「……半年?」
「ああ、半年だ。 そして、その時間は俺様に絶望をじっくり、ねっとりと教えてくれたもんよ」
色々と聞きたい事はある。
だけど、それを魔王は許してくれそうにない。
魔王の身体から噴き上がる魔力は、物理的な衝撃すら生む金色の光を生み出した。
「お前、俺様が全力を出してもいいんだよな?」
卑怯なんだよ、と魔王は呟く。
「俺様は強過ぎて、大抵の奴はパンチ一発で木っ端みじんだ。 俺様は賢過ぎて初めてのチェスで、魔物で一番チェスが強い奴にも勝っちまった」
俺様は無敵過ぎる、と呟く魔王は寂しげで、
「だから、お前は俺様初めての敵って事でいいんだよな?」
本気出してもいいんだよな、と魔王は言った。
「……勘弁してくれよ」
「はっ! まぁそう言うなよ、勇者!」
後ろから『プチン』と何かが切れる音がした。
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