呪われた少女の恋が報われるまで

ゆきち

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※3話(2人の初夜の話)

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 ハンスは困っていた。いつも困っているようだが、困っているものはしょうがないのだ。
 先日やっと村に帰ってきてコンスタンツェ——愛称のコニーと呼ぶようになった——と晴れて両思いの婚約者になったところだったが、そこでとんでもない問題に直面したのだ。

 コニーに具体的な性の知識がない。
 なんと彼女は、「思い合う男女が唇同士でキスをすると、女の腹に生命が宿る」と本気で思っていたらしい。「男を喜ばせるテクニック」は村の女衆から吹き込まれているらしいのに。なんのためのものなのか、全く理解していなかったようだった。
 子供の姿の時であれば微笑ましい勘違いで済んでいたのだが、今は状況が違う。もう彼女は成人を迎えた大人の女性の肉体をもち、今後ハンスとの結婚を控えている。
 実際のところをどうやって伝えるのが一番コニーを傷つけず穏便に済むのか、ハンスは頭を悩ませていたのである。
 初夜に手取り足取り教える?
 男としてはそそるものがあるが、コニーにとっては未知の行為なのだ。怖がらせるに決まっている。
 では事前に口頭で説明する?
 誰が? ハンス自身? 上手く説明できる自信がないし、これまで我慢してきた分、説明中に爆発してしまう可能性がある。そうでなくても気持ちを隠さなくても良くなった、という精神的な開放感があるのだ。
 ではどうしたら、と考えたところである考えに至った。村の女衆に投げよう。女同士ならコニーの精神的な負担も減るだろうし、ハンスも肩の荷が降りる。色々とすっ飛ばしてテクニックだけ教えた腹いせ込みだが。



 かくして結婚式が筒がなく終わり、今現在。
 ハンスとコニーはベッドに並んで腰掛けていた。コニーはすでに真っ赤な顔をして太ももに両手を挟み、もじもじしている。きちんと真実を教えてもらったことが察せられた。
 そんなコニーは、薄く柔らかい素材のネグリジェを纏っていた。下品にならない程度に、しかししっかりと身体の線を強調するようなデザイン。そして脱がせやすい構造になっているようだった。
 上から下まで見られていることに気が付いたのか、恥ずかしそうにしている。

「大丈夫か? 無理しなくていいんだぞ」
「いえ! その、今まで私、ものすごく破廉恥なことをしてたんだなって、恥ずかしくなってしまって……」
「ああ、なるほど……」
「ううー……すみませんでした……ハンスさんがあれだけ慎みを持てって言っていた意味がやっとわかりました……」
「そうだなぁ。これからも俺以外にはやっちゃだめだぞ」
「? ハンスさんにはいいんですか? その、いつもそっけなかったから、そういうのはお嫌いなのかなとか、私に女としての魅力がないのかなとか思ってました」
「そんなわけあるか。コニーを傷つけたり怖がらせたくなくて、薬でずっと抑えてたんだぞ」
「えっ、そ、そうだったんですか?!」
「ああ。でも、それも今日で終わりだ。本当に無理してないか? 覚悟はできているか?」
「は、はい! ハンスさん、あの、私の全部、味わってくださいね……って言うといいよってお姉さんたちに教えてもら、ひゃっ」
「そりゃあいいセリフだねぇ。そうさせてもらうよ」

 ハンスがコニーの手を取り、そのままベッドに押し倒す。もしも痛かったり嫌だったらすぐ言うんだよ、とハンスが耳元で囁く。コクコクと頷くコニーは羞恥で耳まで真っ赤だ。
 そのまま唇にキスをする。帰ってきた時とは違い、しっかりと深く繋がるような大人のそれ。
 淫らな水音と荒く漏れる息。最後に軽いリップ音を立てて唇同士が離れた。
 それだけで何もかもが初めてのコニーは腰が砕けてしまい動けなくなってしまったようだ。とろんとした焦点の合わない目を、ぼんやりとハンスに向けている。身体に触れてもいいか、と問われてなんとか頷くだけで精一杯のようだ。
 へそのあたりから徐々に上へとゆっくり撫でる。ネグリジェから溢れんばかりのその胸に差し掛かり、極薄い布の上から頂点に優しく触れる。

「っひゃんっ! ……?!」

 思わず出てしまったらしい嬌声に、本人が一番驚いている。自由になっている方の手のひらで口元を押さえて目を見開いている。

「ここ、触られるのは嫌?」
「嫌じゃない……けど、変な感じがします……腰のあたりが、ぞわぞわって……」
「それが気持ちいいってことだよ。声も、我慢しなくていいよ」
「う、うるさくないですか?」
「大丈夫。むしろもっと興奮する」
「はわ……」

 ハンスが気持ちのいいところを探るように性感帯を愛撫していく。口から耳、首筋に、徐々に下がりながらキスの雨を降らせていく。

「ッひ、ふぁあ、ぁ……!!」

 徐に頂きを啄まれ、熱い舌でぬるりと絡め取られる。コニーが気がつかないうちに胸を隠していた布は解かれ、豊かな双丘が露わになっていた。
 コニーはすでに息も絶え絶えで、頭が痺れてしまったみたいに意識がふわふわとしていた。何をされても気持ちがよくて、声だって我慢しろと言われたとしても自然に漏れてしまうので無理だった。
 コニーは今、とっても幸せな気分だった。繊細なガラス細工でも扱っているかのように、とても優しくされているのがわかる。ずっと触っていて欲しい。はしたないと分かっていても、無意識に「もっと」と口に出してしまっていた。
 それを待っていたかのように、ハンスの手が太ももやお尻に降りてくる。ぞくぞくと快感が腰を昇ってくる。際どいところまで触っていても、一番疼いているところには触ってくれない。
 触って欲しい。もっと激しく乱して欲しい。気付けばハンスの手を持って、下腹部へ誘導していた。ハッとしたコニーの顔がみるみるうちに赤く染まる。一瞬驚いた表情を浮かべたハンスがコニーの真っ赤な耳元で、いいの? と確認してくる。
 コクリと頷くと、するりとネグリジェの細い紐が解かれた。白く透き通った肌が露わになる。恥ずかしい部分を隠してくれるものはこれで全てなくなってしまった。
 ハンスの固い指が遠慮がちにゆっくりと茂みを越えて降りてきた。割れ目に差し掛かるとビクッと勝手に腰が跳ねる。秘部をほぐすように触られる度快感が走り、下腹部が疼く。くちゅ、くちゅといやらしい水音が響く。

「ぁあっ、や、ん、っんぅ」

 唇で塞がれた口内にぬるりと太い舌が侵入してくる。快感の波が繰り返し襲ってきて、もう何が何だか分からない。なのに、快感を求めるように腰が勝手に動いてしまう。

「ここ? ここが一番気持ちがいいのかな?」
「っあ、ぁ、なっなんか、へん……っですっ、なんか、きちゃ……ぅ……あぁあっ」
「いいよ、そのままイッて」
「ッんうぅ~~ッ、っ……ひぅ……っ」

 津波のような強い快感に耐え切れず、そのまま絶頂に至る。初めての感覚に視界がチカチカする。荒い息を繰り返すコニーの頬を撫で、良くできました、とでも言うようにハンスが唇に軽いキスを落とした。

 これで、終わり? とコニーは少しの寂しさと安心、物足りなさを感じていたが、ハンスに手を取られ指先に触れたものを理解した瞬間、不安と歓喜がないまぜになった感情が渦巻いた。

「もう、我慢の限界なんだ……挿入れても、いいか?」
「ぅあ、は、はい……で、でも、そんな大きいなんて聞いてません! そんな大きいの、ぜ、絶対挿入らな……っ」

 ハンスのモノはとても硬く熱く大きく、コニーには未知過ぎた。そんなものが挿入れられてしまったら、一体どうなってしまうのだろう。

「痛かったら、すぐに言うんだよ」
「……っひ……」

 秘部に押し当てられたそれの熱さに声が漏れる。まだ痛くはない。痛くはないが、怖い。
 震えているのがわかったのだろう、ハンスがコニーの頭を優しく撫でる。

「コニー、力を抜いて……」
「は、い…………っぁ、あ、あぁぁ……っ」
「……っ、きっつ……」

 ゆっくりと、内壁を無理やり押し広げながら挿入ってくる。思わず手と脚でぎゅうっとハンスを抱きしめる。ハンスも苦しそうな顔で荒い息をついている。
 ぷちぷちと何かを押し破られる感覚のあと、侵入が止まる。

「……コニー、大丈夫? 痛くない?」

 えもいわれぬ異物感に、コニーは小さく頷くことしかできなかった。ぎゅっと瞑った目尻から、生理的な涙がぽろりと落ちる。
 そのままお互いにじっとしていると、不思議なことにコニーにふわふわとした安心感と安らぎが湧いてきた。先ほどまで異物でしかなかったそれを、身体が受け入れたかのようだった。
 コニーの身体の力がゆっくりと抜けてきたことがわかったのか、ハンスがコニーの額に軽くキスを落とし頭を撫でた。

「上手だね、コニー。良い子だ」
「えへ……」
「ゆっくり……動くからね」
「へっ? ぅあ……ふ……な、にこれぇ……っ」

 竿がずず、と引き抜かれるのと同時に、先程までコニーを襲っていた快感の波が再び起こり始めた。ただし、先ほどとは比べ物にならないくらい深く強い。
 引き抜いたかと思うとまた奥までグッと押し挿入れられる。ぐちゅ、と卑猥な水音が響く。
 初めはゆっくりだったそれは、コニーが快感を感じているのがわかると徐々に早くなり、最後にはパンッパンッと叩きつけるようなものとなった。

「あっ、あ、んぁっ、ふっ、激しっ、あぁっ、んっ」
「……っ痛く、ないか?」
「気持、ちっ、いい……っんあ、ぁあ、っひゃっん!」

 乳房の頂点をぬるりと舐められる。完全に不意打ちで腰が跳ね、内壁がぎゅうぅっと締まる。硬くなった先端はとても敏感になってしまっているようだ。

「ハンス、さ、もっ、んぁっ、だめぇっ」
「……っいいよ、一緒に、イこうな……ッ」
「っふぁ、あぁあっ、~~~~ッッ……っ」

 ズンッと最奥を突かれ、絶頂に至る。
 子種が注がれている感覚に、これまでにないくらいのえもいわれぬ幸福感で埋め尽くされた。

「……ハンスさん……好き、大好き……嬉しい、幸せ……」
「コニー……」

 ポロポロと涙を流すコニーをハンスが力強く抱きしめた。



 その後何度も何度も交わり、コニーが先に力尽きたことで、長く短い夜は更けていったのであった。



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