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EP1
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目が覚めても学校には行かない。今日に限ったことじゃない。部屋にこもって寝るか、コンビニに行くかの2択だった。
昼食を買いにコンビニへ出た。
レジの定員と目を合わさずに店を出ようとした。
「あの~、」
声が聞こえた。
後ろには女子高生がたっている。うちの学校の同学年のようだった。
「これ落としましたよ。」
彼女は僕が落としたレシートを拾ってくれた。
途端、目が合ってしまった。すぐにそこから立ち去ろうとした。するとまた声をかけられた。
「あの!」
「なんですか。」
「市ヶ谷くん...だよね?ほら私、同じクラスの、」
「人違いです。」
小声で僕はそう言ってその場から立ち去ろうとした。
「待って!!」
「なんですか。」
「私、同じクラスの鈴木美緒だよ。」
「鈴木......」
「やっぱり!市ヶ谷くんじゃない!!」
僕は家に帰ろうと早足でコンビニを出た。彼女はついてきて質問してくる。
「ねぇ何で学校に来ないの?」
「なんでもいいだろ。」
「勉強大丈夫なの?ちゃんと食べてるの?」
「なんでもいいだろ!あんたには関係ない!!......ほっといてくれ...」
僕が思わず大声を出してしまい、驚いて帰ると思いきや、僕の前に立ってこう言った。
「関係なくないよ!クラスメイトでしょ?それに...それに君は!...」
「もういいだろ。帰らせてくれ。」
僕はまた歩き出すが、彼女はまた僕の前に立った。
「なんで?どうして学校に来ないの?私でよければ相談に...」
僕は頭に血が登り、手を横に出してしまった。
すると黒い大きな影が現れ、彼女を突き飛ばしてしまった。
影は消え、彼女は倒れ、僕は汗が止まらなかった。
(また、まただ...またやってしまった...)
僕は家まで走った。その後彼女がどうなったかは知らない。
そう、これが僕の魔法。“壊す魔法“だ。中2の時、浮いていた僕は1人のクラスメイトにからかわれ、カッとなってつい手をだそうとした。僕の出した手はそいつには届かず、代わりに僕の影がそいつを吹っ飛ばした。これが不登校の始まり。
次の日、またコンビニへ出た。
案の定、彼女はいた。僕を見るや否や走ってきた。
「なんで...ここに......」
「あなた。魔法持ちだったのね。」
「なんで...僕の影のことを...」
「え?あ、だって私もだもん。ってゆーか昨日私のこと吹き飛ばしたじゃない!」
と言ってニコッと笑った。
「場所、変えようか。」
彼女の提案で近くの公園にやってきた。
「君のはなんなの?」
「私のはね~、予知だよ。」
「予知って、未来が見れるの?」
「そう。未来を見れるの。」
「じゃあ、僕と会うことも予知してたの?」
「違う。予知は聞けばいいものかもしれない。でも慎重に使わないと。確定した未来は曲げられない。例えば、もし今ここで君が死ぬことを予知したとしても、その未来を変えられる方法は無いってこと。」
「そうなんだ...いつから使えたの?」
「小学生の時に両親が事故で死んだの。私は泣きじゃくってただけだったけど、ある時涙がピタッと止まって、その時に見たの。」
「見えたって、何が?」
「地面に転がって血をながす男。私の両親を殺した犯人の死体。その前には血のついた包丁を持った私。」
「殺したって...事故じゃなかったの?」
「うん。でも事故として処理された。だから私はここにいるの。」
「ってことは君は...」
「そう。私は人殺しなの。」
清々しいまでの顔でそう言った。
(そうか。彼女もだったんだ。彼女も世界を憎んでいるんだ。僕と同じだ。)
「ねぇ、鈴木さん。」
「何?」
「一緒に壊そう。」
「...?!」
「世界を。この憎むべき素晴らしい世界を壊そうよ。2人で。」
僕は仲間を見つけたと思って提案した。
「僕らの魔法は夢の魔法だ。壊すために与えられたものだ。僕らの夢は壊すこと。」
「そうだね。ありがと。」
彼女は公園の夕日に照らせれて笑っていたが、目には涙が浮かんでいた。
それがこの物語の始まりだ。
昼食を買いにコンビニへ出た。
レジの定員と目を合わさずに店を出ようとした。
「あの~、」
声が聞こえた。
後ろには女子高生がたっている。うちの学校の同学年のようだった。
「これ落としましたよ。」
彼女は僕が落としたレシートを拾ってくれた。
途端、目が合ってしまった。すぐにそこから立ち去ろうとした。するとまた声をかけられた。
「あの!」
「なんですか。」
「市ヶ谷くん...だよね?ほら私、同じクラスの、」
「人違いです。」
小声で僕はそう言ってその場から立ち去ろうとした。
「待って!!」
「なんですか。」
「私、同じクラスの鈴木美緒だよ。」
「鈴木......」
「やっぱり!市ヶ谷くんじゃない!!」
僕は家に帰ろうと早足でコンビニを出た。彼女はついてきて質問してくる。
「ねぇ何で学校に来ないの?」
「なんでもいいだろ。」
「勉強大丈夫なの?ちゃんと食べてるの?」
「なんでもいいだろ!あんたには関係ない!!......ほっといてくれ...」
僕が思わず大声を出してしまい、驚いて帰ると思いきや、僕の前に立ってこう言った。
「関係なくないよ!クラスメイトでしょ?それに...それに君は!...」
「もういいだろ。帰らせてくれ。」
僕はまた歩き出すが、彼女はまた僕の前に立った。
「なんで?どうして学校に来ないの?私でよければ相談に...」
僕は頭に血が登り、手を横に出してしまった。
すると黒い大きな影が現れ、彼女を突き飛ばしてしまった。
影は消え、彼女は倒れ、僕は汗が止まらなかった。
(また、まただ...またやってしまった...)
僕は家まで走った。その後彼女がどうなったかは知らない。
そう、これが僕の魔法。“壊す魔法“だ。中2の時、浮いていた僕は1人のクラスメイトにからかわれ、カッとなってつい手をだそうとした。僕の出した手はそいつには届かず、代わりに僕の影がそいつを吹っ飛ばした。これが不登校の始まり。
次の日、またコンビニへ出た。
案の定、彼女はいた。僕を見るや否や走ってきた。
「なんで...ここに......」
「あなた。魔法持ちだったのね。」
「なんで...僕の影のことを...」
「え?あ、だって私もだもん。ってゆーか昨日私のこと吹き飛ばしたじゃない!」
と言ってニコッと笑った。
「場所、変えようか。」
彼女の提案で近くの公園にやってきた。
「君のはなんなの?」
「私のはね~、予知だよ。」
「予知って、未来が見れるの?」
「そう。未来を見れるの。」
「じゃあ、僕と会うことも予知してたの?」
「違う。予知は聞けばいいものかもしれない。でも慎重に使わないと。確定した未来は曲げられない。例えば、もし今ここで君が死ぬことを予知したとしても、その未来を変えられる方法は無いってこと。」
「そうなんだ...いつから使えたの?」
「小学生の時に両親が事故で死んだの。私は泣きじゃくってただけだったけど、ある時涙がピタッと止まって、その時に見たの。」
「見えたって、何が?」
「地面に転がって血をながす男。私の両親を殺した犯人の死体。その前には血のついた包丁を持った私。」
「殺したって...事故じゃなかったの?」
「うん。でも事故として処理された。だから私はここにいるの。」
「ってことは君は...」
「そう。私は人殺しなの。」
清々しいまでの顔でそう言った。
(そうか。彼女もだったんだ。彼女も世界を憎んでいるんだ。僕と同じだ。)
「ねぇ、鈴木さん。」
「何?」
「一緒に壊そう。」
「...?!」
「世界を。この憎むべき素晴らしい世界を壊そうよ。2人で。」
僕は仲間を見つけたと思って提案した。
「僕らの魔法は夢の魔法だ。壊すために与えられたものだ。僕らの夢は壊すこと。」
「そうだね。ありがと。」
彼女は公園の夕日に照らせれて笑っていたが、目には涙が浮かんでいた。
それがこの物語の始まりだ。
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