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第13話 わっ、ばっちい!

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だけど、追放とはどういう事だろう。

「何者かが転生してきて、この世界の理を変えている」

転生? ああ、そういえばそんな話があったな。
僕が、その話をすると、 男の表情が変わった。
何だ?
急に焦り始めたぞ。
何か知っているのか?
もしかして、アリシアを狙っている奴なのかな?
それはまずいな。

「やだー。この人、怖い」

そう言ってアリシアは、僕の腕にしがみついてくる。
うふふ。
嬉しいな。
僕達が微笑んでいると、 突然、男の身体から黒い霧のようなものが噴き出してきた。
これは……?
何が起こってる?
僕は警戒して身構えた。

「その転生者がこの世界をうろつくことっで、俺の人生はメチャクチャだ」

なるほど、僕が転生した生で色々変わった様だ。

だけど、こいつは何を言っている?

「俺は、ただ自分の国を平和にしたいだけだった。なのに、あいつのせいで!」

あいつ?
僕? 

「ねー。何か暑くない?」

イリアスが、僕の腕を掴みながら言ってくる。
確かに暑いな。
洞窟の中だから、涼しいはずなんだけど。
汗ばんで来た。
僕の額からも汗が流れ落ちる。
僕は、服を脱ぎ捨てた。
そして、アリシアの方を見る。
アリシアは下着姿になっていた。
目のやり場に困る。
あれ?
さっきまであんな格好じゃなかったのに。
僕は、慌てて目をそらした。
男を見ると、全身から湯気が出てきている。
まるで沸騰しているみたいだ。
この熱さの原因はこいつか!

「ね、汗を舐めてぇ」

アリシアが擦り寄って来る。
いかん、理性が飛びそうだ。
僕は必死に耐えながら、アリシアを引き剥がした。
イリアスが後ろから抱き付いてきた。
こっちも駄目だ。
僕は、二人の手を振り払った。
このままでは、マズい。
何とかしないと。
どうすればいい?
僕は、考えた。
そして、閃いた。
僕は、アイテムボックスを開くと中を探った。
あった。
これなら、いけるか? 僕は、それを握り締めると男に向かって投げつけた。
それは、勢い良く飛んで行く。

「わっ、ばっちい!」

アリシアの声が聞こえてきた。
だが、気にしない。
男に命中した。

うんこだ。

犬の。

男は苦しみ始める。
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