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第24話 醤油完成!

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まあ、それはいいとして、早速作ってみることにする。
まず、麹菌を作ることにした。
麹菌は、日本古来より存在するカビの一種である。
米のデンプンを糖に変える働きがあり、発酵食品作りには欠かせない存在だ。
日本酒の醸造にも使われていて、味噌、醤油などの調味料やお酒の原料にもなっている。
僕は、米、水、塩を用意して作業を開始した。
米を蒸して潰していく。
そして、米粒一つ一つに麹菌を植え付けていく。
一時間ほどすると、米の中に黒い塊が出来てきた。
それを布で包み、天日に干す。
これを乾燥させるのだ。
こうして出来たものが、こうじ菌だ。
次に、米を蒸し器に入れて、30分程加熱する。
その後、冷ましてからすりつぶす。
そこに、こうじ菌を混ぜ合わせれば完成だ。
出来上がったものを瓶に入れると、蓋をして更にその上から重石を乗せる。
これで暫く放置すれば出来上がりだ。
数日後、僕は完成した醤油を手にいれていた。
味見をしてみると、懐かしい味わいが口に広がる。
ああ……これだよ! 僕は感動に打ち震えた。
ちなみに、イリアスも飲んでいる。
イリアス曰く、少ししょっぱいけど美味しいとのこと。
確かに、ちょっとだけしょっぱいかもしれない。
ただ、飲めないことはないな。
僕はそう思ったのだが、村では違う感想を持ったようで……。
皆、大絶賛していた。
特に女性陣は、涙を流しながら飲んでいた。
僕は、街でこれを販売することにした。

「売れるといいね」

イリアスが言う。
そうだな。
正直、自信はあるんだけどな。
僕は、試作品を数個作ると店を構えた。
そして、開店初日。
客足が途絶えることはなかった。
飛ぶように売れて行く。
しかも、若い女性を中心に人気が出たようだ。
なんでも、恋人同士で飲むと幸せになれるとか言われているみたいで……。
それを聞いた僕は複雑な気持ちになった。
なんか、負けた気がするんだよなぁ。
そんなことを思いながら、忙しく働くのであった。

「あー働いた」

疲れて宿屋で休憩。
一緒に来てくれたイリアスとベッドに座る。

僕とイリアスは、他愛もない話をしていたが、ふと会話が途切れた瞬間に目が合う。
そして、お互い微笑むとキスをした。
そのまま抱き合い、服を脱ぐと行為に及ぶ。
僕達は激しく求め合った。
そして……。
僕とイリアスは、裸のまま布団の中で横になっていた。
僕は、腕枕をしている状態でイリアスを見つめている。
イリアスは、僕に体を預けるようにして寝転がっていた。
僕は、そんな彼女の頭を撫でている。
すると、イリアスは僕の手を掴むと頬擦りしてきた。
まるで猫のような仕草である。
僕は思わず笑ってしまった。
その笑い声に反応したのか、イリアスは目を覚ますと僕を見て言った。
どうやら、起こしてしまったようだ。
彼女は、起き上がると僕に抱きついてくる。
僕は、優しく抱き締めると再び唇を重ねた。
今度は軽いものだ。
イリアスは、とても嬉しそうな顔をしている。
本当に可愛いな。
僕は、そう思うと同時に胸が熱くなった。
この子は、絶対に守ってみせる。
改めて、そう決意したのだった。
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