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第42話 王様から魔王討伐の勧誘、そして憧れの女性との出会い!

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「お主が闘技場で優勝したことは、わしの耳にも届いておる」

「ははっ、光栄でございます」

俺はうやうやしく頭を下げる。
目の前にいる初老の男に気に入られるために。
そして、もう一人。

「……」

王の玉座から一段下がった場所で俺を見下ろすのは、リムル。
苦虫を噛み潰した様な顔をしている。

こいつに気に入られたくはない。
俺が気に入られたいのは、バイム王の横、宝石を散りばめた玉座に座りし、美しき姫。

「まぁ、この方が闘技場での優勝者ですの!?そうは見えませんわ」

高慢ちきな感じの高い声を上げるは、、、
バイム五世の娘にして、剣姫の二つ名を持つ勇ましくも可憐なアイラ姫。

俺は結婚するならアイラ姫と決めていた。

ゲームと変わらぬ容姿。
金色の髪に、緋色の瞳、まっすぐなピンク色の唇。
銀のプレートメイルに身を包んでいるが、若干肌の露出が多めだ。
白い肌が光を反射して眩しいくらいだ。

「これ、アイラ。失礼なことを言う出ない」

「だって、お父様。この方、どう見てもリムルより弱そうですわ!」

アイラはリムルを指差しながら父であるバイム王に反論した。

「だがな、アイラ……昨日、リムルはこのカイトに……」

バイム王が困った顔でアイラに、昨日の酒場での出来事を話そうとしている。
だが、それを遮る様にリムルがこう言った。

「アイラ様。このカイト君という男。なかなかの手練れです。私を昨日の晩、ジュエルで倒したのですから」

「え!?そうなんですの!?」

「はい。私も油断していました」

リムルは笑顔で俺との戦いのことを話した。
バイム王に先に言われるくらいなら、自分から言った方がまだマシだと思ったのだろう。
ゲーム通りの展開だ。
それにしてもリムルよ、お前、油断してなんかいなかっただろ。

「まぁ!そうだったんですの!?だとしても、信じられませんわ!こんな男がこんなにカッコいいリムルを倒しただなんて!」

目を丸くして驚きの声を上げるアイラ姫。
彼女の強さの基準はズバリ見た目だ。
イケメンなら強いという彼女独自の理論を持っている。

ゲームでは俺とパーティを組み、結婚し、最後はリムルが寝取った。

アイラ姫は俺にとって、嬉しくて、楽しくて、甘酸っぱくて、切ない女性だ。

「で、今日ここに来てもらったのは他でもない。カイトよ。我々と共に魔王討伐に協力してはくれまいか」

「え?」

「闘技場でのお主の活躍はすばらしいかったと聞いている。わしとしては是非、お主の力が欲しいのだ」

バイム王による誘い。

「だけど、俺は……」

迷って見せる俺。

「知っておる。お主は昨日、酒場でリムルからの誘いを断った。実はわしがリムル使ってお主を誘ったのだ」

「はい」

ま、分かってるけど。

「だが、リムルの奴返り討ちに合ったみたいで、なんでも、お主はリムルのことが嫌いな様だな」

ほっほっほと、余裕で笑って見せるバイム王。
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