パーティから追放されたのは神に選ばれし救世主だった。～チートスキルで元のパーティを見返し、全知全能の冒険者になってやる！～

第6話 自己紹介

騎士はハルトとリーダーの間に割って入った。

「シグルト！」

フィリアと呼ばれた少女が騎士に声を掛ける。

「ご無事で良かった……。ここは私に任せて下さい」
「分かった！」

フィリアはハルトの手を取った。
そして、そのまま走り出す。

「待てっ！」

リーダーが追いかけようとするが、

「お主らの相手はこの私だ！」

シグルトという騎士が立ちふさがる。
フィリアとハルトはこの場をシグルトに任せ、少し離れた岩陰に身を隠し戦況を見守ることにした。

「ここなら安全です」
「ありがとうございます」

ハルトはフィリアにペコリとお辞儀をした。

「あの、貴方は一体？」
「私はフィリア・ガーレット」
「フィリア・ガーレット」

ハルトはその名を復唱する。

「あの五大王族のガーレット家ですか！」
「はい、その通りです。それで、貴方のお名前は？」
「僕はハルトと言います。無職つまりノージョブの平民です。よろしくお願いします」
「ハルト殿ですね？ よろしくお願いいたします。それで、どうしてハルト殿はこのような場所にいらっしゃったのでしょうか？」
「実はギルドの案件でスライムを討伐していて。まさかこんな事態になっているなんて夢にも思わず……」
「スライム……ですか。なるほど……」

フィリアはハルトと話しながら、シグルトと荒くれ者のリーダーとの戦いを見守っていた。
シグルトとリーダーは互角の戦いを繰り広げていた。

「あの、フィリア様はどうしてここに？」
「ええ……まぁ、色々ありまして……」

なんだか歯切れが悪い。
ハルトは重くなった空気を打開するために、冗談ぽく笑ってこう言う。

「もしかして、何か事情があって逃げて来たとか？」
「いえ……まぁ……」

フィリアは苦笑いを浮かべた。
その時だった。

「フィリア様。荒くれ者を討伐しました」

シグルトが縄で繋がれた荒くれ者達を指差した。