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第38話 出港

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バルクとフィリアが険しい表情をする。

「それじゃ、このままだと捕まるんじゃないですか? 逃げましょう」

ハルトは提案するが……。

「いや、ここで逃げたら、意味が無い」

バルクが冷静に言う。
確かに、その通りだ。

「だからと言って、このままここにいても、いずれ見つかるでしょう?」

ルミナスが言う。
ハルトも同意した。

「そこで、私は考えたのだが、ハルト君とルミナスちゃんがまず、船に乗ってくれ。君は顔が知られていない」

バルクがハルトの方を向いて言う。

「そんなことできるの?」

ハルトが疑問に思った。

「その際、あの兵三人に言ってくれ。さっき街を出た森の方にバルクとフィリアらしき人を見たと」
「なるほど、見張りが探しに言ってる間に、バルクさんとフィリア姫は船に乗り込むのですね」
「その通り」

名案だ。

「じゃ、ルミナス行こう」

ハルトは誘う。

「うん。分かった」
「気をつけてね」

フィリアが心配そうに言う。

「大丈夫ですよ。バルクさんとフィリア姫も」

ハルトは言う。

「そうだな。ハルト君と一緒だし、問題ないだろう。ルミナスちゃん。ハルト君とのデート楽しんでおいで」

バルクは言う。

「そうね。せっかくの機会だもの。ハルト、楽しんどいて。でも、あんまり遅くならないように」

フィリアは言う。
まるで、保護者のような言い方だった。
そして、ルミナスは顔が真っ赤だ。

「じゃあ、行きますか」
「そうだね」

二人はバルクとフィリアと別れ、船に乗った。

「ハルト……」

ルミナスは緊張していた。
ハルトと二人きりだということと、これから兵士に嘘を付き通せるかということに。

「あの~」

見張りの兵士に話し掛ける。

「ん? お前らは?」

兵士が不審そうな目で見る。

「実は僕達、港の外でバルクさんとフィリア姫に会ったのですが……」

ハルトは言う。

「何!? 本当か?」

屈強な兵士達が目を丸くする。

「はい」

ハルトはうなずく。

「よし、すぐに確認に行くぞ!」

兵士の一人が言った。

「分かりました」

部下らしき兵も付いて行く。

「良かった」

ハルトは振り返り、フィリアとバルクに合図を送る。

こうして四人は船に乗れた。

だが……
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