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第108話 オムライス

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「ハルト、もうすぐマテリアライズド王国だ」

バルクが大海原に浮かぶ、大陸を見て言う。

「いよいよか」

ハルトは緊張していた。
なぜなら、王族会議で見たマテリアライズド王国の国王。
その国王に怒鳴られたことを思い出した。
ハルトが彼の料理を間違えて食べしまったからだった。

「ハルト、何をそんなに怖がっているの?私がついているじゃない」
「そうだな」
「そうよ。私がついていれば何も問題ないわ」

ルミナスはそう言いながらハルトの腕を掴んだ。

「おい、あんまり引っ付くなよ」
「いいでしょ。別に」
「ダメだろ」
「どうして?」
「どうしてもだ」
「嫌だ。絶対に離さない」
「おい、ちょっと」
「離れたくない」
「しょうがないな」
「やった」
「まったく……」
「えへへ」

お熱いね。
バルクはフィリアと視線を交わす。
フィリアも呆れた様に笑う。

聖女リリカが見たら嫉妬するだろう。

ルミナスはいつまで叶わぬ恋を追い続けるのか。

「ふぅー」
「どうしたんだ?」
「なんでもない」
「そうか」
「うん」
「…………」
「……..なんか話してよ」
「なんかって言われてもなぁ。う~ん。あ!じゃあ、ルミナスの好きな食べ物は?」
「ハルトの作ったオムライスかな」
「そうなのか。今度作ろうかな」
「本当!?楽しみにしてるから!!」
「おう、任せろ」

ハルトは思い出した。
そうだ。
王族会議の後の晩さん会。
そこで出されたオムライスがおいしそうだった。
そのオムライスは自由に取って良かった。
ハルトはマテリアライズド王国の国王が並んでいたのを無視して、先に食べた。
だから怒鳴られた。

食べ物の恨みは怖い。
ハルトは思った。

そして、、、
オムライスはよくジークフリートに作らされた。
ハルトはパーティでは虐められていたし、雑用と料理係だった。

ドラゴンテイルズのメンバーはオムライスが好きだった。

ハルトはオムライスばかり作らされて、それは皆美味いとほめてくれた。

過去を思い出していると、、、

「おぉ、あれがマテリアライズド王国か」

バルクが言った。

「大きいな」
「ハルト、着いたぞ」
「ああ」

ハルト達はマテリアライズド王国に到着した。
マテリアライズド王国。
人口はおよそ130万人。

「すげぇ」

ハルトは思わず声を出した。
巨大な城があり、町中が賑わっていた。
ハルト達が入国審査を受けている間、

「ハルト、ご飯食べに行こうよ」

とルミナスが言ってきた。
こいつはデートかなんかと勘違いしてるんか。
ハルトは思う。

「いや、金ないし」
「お金ならあるよ」

ルミナスは財布を取り出した。
「いや、でも」
「いいから行くよ」

ハルトはルミナスと食事をすることになった。
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