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第32話 ペットロス
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一歩一歩進むと、その先にぽっかりと口を開けたかのような、人が1人ずつ入れるくらいの狭い洞窟。
その入り口にユメル侯爵は差し掛かった。
「ここに……魔石が……」
ユメル侯爵は興奮していた。
彼が欲しがっている魔石がここにある。
昨日、タルボから取り上げようとして取り上げることが出来なかった魔石。
力ではタルボに勝てないとユメル侯爵は分かっている。
だから、こうして彼が留守にアジトを襲い奪う気だった。
「あっ! 何しに来たんだい! 人の棲み処に勝手に!」
洞窟の奥で食事の支度をしていたマイファと、ユメル侯爵一行が鉢合わせになった。
「おっと、奥さん。これは失礼」
丁寧に礼をするユメル侯爵。
「あんた、貴族だろ!? 丁寧にお辞儀なんかしても人の棲み処に勝手に入り込んで、何が貴族だよ! 帰れ!」
物凄い剣幕で怒鳴るマイファ。
招かれざる客が突然現れ、喚き散らす。
「ま、奥さん。そう騒がないで。貰うものを貰ったら大人しく帰りますから」
「へん! 魔石だろ! わたしゃしないよ!」
マイファは腰に差した短剣を抜いた。
他にいる彼女の子分達もそれぞれ、武器を手にする。
「やめときなさいって。我々に勝てるわけがない」
ユメル侯爵の背後には彼に仕える屈強な騎士達、兵士達が控えていた。
そして……
「グルルルウ」
「ん? シルベン。お腹が空いているのか?」
口元を血で濡らしたユメル侯爵の飼い犬が、鋭い視線をマイファの背後に向けている。
そこには、石のベッドに布でくるまれ寝かされているアイリーンの姿があった。
「ほぅ、あの赤子を餌にしたいのですか?」
「グルルルウ!」
「いいでしょう! 頂いてしまいなさい!」
「ガウウウウ!」
シルベンは後ろ脚をばねにして飛び上がった。
それを止めようとするマイファの子分達。
「きゃっ!」
「わっ!」
邪魔する者どもの喉元をかみ切る飢えた猟犬。
血しぶきが洞窟の天井を濡らした。
「リザベッツ! パウラ!」
瞳孔が開き倒れ込む子分達の名を呼ぶマイファ。
着地し態勢を整えたシルベンは、前足で地面を闘牛の様に掻くと、一直線にアイリーンに突進して行った。
「行かせないよ!」
流線形になったシルベンに横から突進するマイファ。
その素早さから避けることも出来ないシルベン。
無防備だった横からの攻撃に、体勢を崩す。
そして……
「うおりゃ!」
その倒れたところに、その凶暴な犬の脇腹にマイファの一撃がお見舞いされる。
「ギャウウウウウウン!」
凶暴な猟犬の断末魔。
「はあ、はあ」
顔中、返り血で真っ赤のマイファが息も絶え絶え立ち上がる。
それを見たユメル侯爵の顔は、どんどん怒りに歪んで行った。
「きっ、きさまああああ! 私の可愛いシルベンちゃんを!」
その入り口にユメル侯爵は差し掛かった。
「ここに……魔石が……」
ユメル侯爵は興奮していた。
彼が欲しがっている魔石がここにある。
昨日、タルボから取り上げようとして取り上げることが出来なかった魔石。
力ではタルボに勝てないとユメル侯爵は分かっている。
だから、こうして彼が留守にアジトを襲い奪う気だった。
「あっ! 何しに来たんだい! 人の棲み処に勝手に!」
洞窟の奥で食事の支度をしていたマイファと、ユメル侯爵一行が鉢合わせになった。
「おっと、奥さん。これは失礼」
丁寧に礼をするユメル侯爵。
「あんた、貴族だろ!? 丁寧にお辞儀なんかしても人の棲み処に勝手に入り込んで、何が貴族だよ! 帰れ!」
物凄い剣幕で怒鳴るマイファ。
招かれざる客が突然現れ、喚き散らす。
「ま、奥さん。そう騒がないで。貰うものを貰ったら大人しく帰りますから」
「へん! 魔石だろ! わたしゃしないよ!」
マイファは腰に差した短剣を抜いた。
他にいる彼女の子分達もそれぞれ、武器を手にする。
「やめときなさいって。我々に勝てるわけがない」
ユメル侯爵の背後には彼に仕える屈強な騎士達、兵士達が控えていた。
そして……
「グルルルウ」
「ん? シルベン。お腹が空いているのか?」
口元を血で濡らしたユメル侯爵の飼い犬が、鋭い視線をマイファの背後に向けている。
そこには、石のベッドに布でくるまれ寝かされているアイリーンの姿があった。
「ほぅ、あの赤子を餌にしたいのですか?」
「グルルルウ!」
「いいでしょう! 頂いてしまいなさい!」
「ガウウウウ!」
シルベンは後ろ脚をばねにして飛び上がった。
それを止めようとするマイファの子分達。
「きゃっ!」
「わっ!」
邪魔する者どもの喉元をかみ切る飢えた猟犬。
血しぶきが洞窟の天井を濡らした。
「リザベッツ! パウラ!」
瞳孔が開き倒れ込む子分達の名を呼ぶマイファ。
着地し態勢を整えたシルベンは、前足で地面を闘牛の様に掻くと、一直線にアイリーンに突進して行った。
「行かせないよ!」
流線形になったシルベンに横から突進するマイファ。
その素早さから避けることも出来ないシルベン。
無防備だった横からの攻撃に、体勢を崩す。
そして……
「うおりゃ!」
その倒れたところに、その凶暴な犬の脇腹にマイファの一撃がお見舞いされる。
「ギャウウウウウウン!」
凶暴な猟犬の断末魔。
「はあ、はあ」
顔中、返り血で真っ赤のマイファが息も絶え絶え立ち上がる。
それを見たユメル侯爵の顔は、どんどん怒りに歪んで行った。
「きっ、きさまああああ! 私の可愛いシルベンちゃんを!」
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