60 / 65
第1章
第60話 あの少年
しおりを挟む
「ユメル殿、心当たりはあるか?」
「まぁ……」
オズモンド国王の言葉にユメル侯爵は考え込んだ。
「まぁ、我々の命を狙っている者がいてもおかしくない。それだけのことをしているのだからな」
オズモンド国王はユメル侯爵の肩を、ポンと叩いた。
「しかし、私でなくて、ユメル殿を狙うとは、敵はまだ、我々の遠大なる計画に気付いていないのかな……」
オズモンド国王はそのまま窓の方に歩を進め、綺麗に整備された中庭を見下ろす。
色とりどりな草花に夕日が差し、眩しかった。
オズモンド国王は眩しさに目を細めた。
そして、振り返りこう言った。
「ユメル殿、何か思い当たる節は無いか、個人的な恨みを買っているとか……」
「はぁ、まあ……」
やはり、ユメル侯爵の心の中に、ムネタカという四文字がこびりついていた。
だが、それが何なのか思い出せない。
自分を暗殺しようとした少年の名前であることだけだ。
その少年については、まるで見覚えが無い。
そして、気になるのは、ペルがその少年の名前を叫んでいたということだ。
とすれば、オズモンド国王の娘であるペルがその少年と、何らかの接点があるとするならば……オズモンド国王とその少年も何らかの接点がある?
ユメル侯爵は混乱していた。
どうやらオズモンド国王はそのことに気付いていない様だった。
国王はあの時、遠くから様子を窺っているだけだった。
ペルが、叫ぶようにムネタカと呼んでいたのは、聞こえていなかったのだろう。
聞こえていたとしても、ただの絶叫に聞こえただけなのか。
「あの、オズモンド様」
「なんだ? ユメル殿」
「オズモンド様は、あの少年に見覚えはありますか?」
「いや。知らないが……」
ユメル侯爵は思い切って問うってみたが、結果は思わしくなかった。
オズモンド国王は顔色一つ変わっていない。
嘘はついていない様だ。
ならば、ペルに問い合わせてみるしかない。
「ユメル殿」
「はい」
「なぜ、私がその少年について知っていると思ったのだ?」
ユメル侯爵は、オズモンド国王の問いに震えた。
鋭い質問だったからだ。
「いや、その……」
「まさか、私がお主を殺そうとする訳が無かろう」
オズモンド国王はそう言うと、肩をゆすりながら大笑いした。
「ははは……」
ユメル侯爵は安堵した。
作り笑いもうまく出来た。
「お互い、計画を達成するまでは一蓮托生。それこそ、500年前の10英雄の様に、魔王討伐後に、無様に利権争いをするつもりはない。事が成されれば、ユメル殿と私でこの世界を2分する。だったな?」
オズモンド国王は真顔で念を押して来た。
「は、はい」
「よろしい」
「まぁ……」
オズモンド国王の言葉にユメル侯爵は考え込んだ。
「まぁ、我々の命を狙っている者がいてもおかしくない。それだけのことをしているのだからな」
オズモンド国王はユメル侯爵の肩を、ポンと叩いた。
「しかし、私でなくて、ユメル殿を狙うとは、敵はまだ、我々の遠大なる計画に気付いていないのかな……」
オズモンド国王はそのまま窓の方に歩を進め、綺麗に整備された中庭を見下ろす。
色とりどりな草花に夕日が差し、眩しかった。
オズモンド国王は眩しさに目を細めた。
そして、振り返りこう言った。
「ユメル殿、何か思い当たる節は無いか、個人的な恨みを買っているとか……」
「はぁ、まあ……」
やはり、ユメル侯爵の心の中に、ムネタカという四文字がこびりついていた。
だが、それが何なのか思い出せない。
自分を暗殺しようとした少年の名前であることだけだ。
その少年については、まるで見覚えが無い。
そして、気になるのは、ペルがその少年の名前を叫んでいたということだ。
とすれば、オズモンド国王の娘であるペルがその少年と、何らかの接点があるとするならば……オズモンド国王とその少年も何らかの接点がある?
ユメル侯爵は混乱していた。
どうやらオズモンド国王はそのことに気付いていない様だった。
国王はあの時、遠くから様子を窺っているだけだった。
ペルが、叫ぶようにムネタカと呼んでいたのは、聞こえていなかったのだろう。
聞こえていたとしても、ただの絶叫に聞こえただけなのか。
「あの、オズモンド様」
「なんだ? ユメル殿」
「オズモンド様は、あの少年に見覚えはありますか?」
「いや。知らないが……」
ユメル侯爵は思い切って問うってみたが、結果は思わしくなかった。
オズモンド国王は顔色一つ変わっていない。
嘘はついていない様だ。
ならば、ペルに問い合わせてみるしかない。
「ユメル殿」
「はい」
「なぜ、私がその少年について知っていると思ったのだ?」
ユメル侯爵は、オズモンド国王の問いに震えた。
鋭い質問だったからだ。
「いや、その……」
「まさか、私がお主を殺そうとする訳が無かろう」
オズモンド国王はそう言うと、肩をゆすりながら大笑いした。
「ははは……」
ユメル侯爵は安堵した。
作り笑いもうまく出来た。
「お互い、計画を達成するまでは一蓮托生。それこそ、500年前の10英雄の様に、魔王討伐後に、無様に利権争いをするつもりはない。事が成されれば、ユメル殿と私でこの世界を2分する。だったな?」
オズモンド国王は真顔で念を押して来た。
「は、はい」
「よろしい」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる