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第66話 森の中はモンスターフィーバー! レベル差は頭の回転数で補って無双します!
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「オルトロスはいないのか?」
私の問いにゲリュオンは3つの首を同時に横に振った。
ゲリュオンはオルトロスという鋭い牙と強靭な肉体、そして尾に毒蛇を備えた双頭の犬を飼っていると聞いたことがある。
今は犬の散歩中では無かったということか。
良かった。
それでも状況が多少マシになっただけだが。
「リンネ!」
ユウタが私の背後で詠唱を始めた。
彼の周りには役に立ちそうもない女が3人いる。
足手まといだ。
「逃げろと言っただろ!」
ユウタの足元に手裏剣を投げる。
怯んだ彼を無視し、私は挑発スキルでゲリュオンの敵愾心を煽る。
目が赤く光った3つ首のモンスターが私に向かって突進して来る。
「リンネ!」
「ユウタ、また会おう」
どうせユウタのことだ。
逃げずに私と戦おうとするだろう。
ならば、ゲリュオンもろとも私がこの場を離れるまでだ。
「ヘイ! モンスター。追いかけっこしよう!」
私は森の奥へと逃げ込んだ。
◇
メキメキと木がなぎ倒される音が背後から聞こえる。
私への怒りに突き動かされたゲリュオンが追い掛けて来る。
幸運だったのは、かのモンスターの機動力が私より劣るということ。
無理もない。
3つの上半身を支える下半身は一つしかない。
円錐を逆さにした様なフォルムは、バランスが悪い。
それでも何とか私に追いつこうと、周囲の動物を蹴散らしながら怒りの声を上げる。
「しかし、逃げてばかりじゃキリが無い」
ユウタに会う前、高い岩山に昇りこの狩り場を俯瞰した。
「……かと言って、正面切って戦っても勝てる相手では無い」
この森の形状も頭に入れて置いた。
その知識が役に立つ時が来た。
◇
森を抜け出たゲリュオンが辺りを見渡している。
木々が姿を消し、突然開ける視界。
ここは、道の無い行き止まりだ。
青い空が眩しく、崖の下には更に広大な森が広がっている。
ゲリュオンは確かに私を見失っていない。
恐らく、この開けた台地にいる。
ゲリュオンはそう確信している。
「いた!」
ゲリュオンはそう思っただろう。
崖を背にして私は立っている。
阿修羅の様な6本の腕を回転させながら切り掛かって来る。
私は剣、斧、槍の乱舞の餌食となった。
八つ裂きにされ、塵芥となった私の肉片は風に舞った。
だが、それらは風と共に消えて行った。
不思議な現象に、ゲリュオンは3つの首を傾げている。
奴の足跡、気配から、私はそろそろ出番だと推測した。
「それは私の残像だ」
本当の私は奴の足元。
つまり土の中で気配を消し、潜んでいた。
『三分残像』はSPを多く消費するのであまり使いたくなかったが、仕方ない。
ボコリと土から這い出た私は、小太刀でゲリュオンの足首を切り裂く。
「ゴオオ!」
両の足首を失ったゲリュオンは、まるで回転力を失った駒の様にふらついた。
土から抜け出した私のやることは、後一つ。
背後からゲリュオンの背中を蹴り、崖の下に突き落とすことだった。
◇
50メートルはあろうかという崖下に落ちたゲリュオンは、豆粒の様に小さくなっていた。
それでも生きている様で、切り立った崖をよじ登ろうとしている。
しかし、足首を失った身体では登ることも出来ず、無様に滑り落ちている。
「戦闘終了」
モンスターとの一定の距離が取られた場合、戦闘は一旦終了となる。
「……と思ったが、そう甘くは無いか」
私はため息が出た。
目の前に、今、主人の仇を取るべく目をギラつかせた双頭の犬、オルトロスがいた。
つづく
私の問いにゲリュオンは3つの首を同時に横に振った。
ゲリュオンはオルトロスという鋭い牙と強靭な肉体、そして尾に毒蛇を備えた双頭の犬を飼っていると聞いたことがある。
今は犬の散歩中では無かったということか。
良かった。
それでも状況が多少マシになっただけだが。
「リンネ!」
ユウタが私の背後で詠唱を始めた。
彼の周りには役に立ちそうもない女が3人いる。
足手まといだ。
「逃げろと言っただろ!」
ユウタの足元に手裏剣を投げる。
怯んだ彼を無視し、私は挑発スキルでゲリュオンの敵愾心を煽る。
目が赤く光った3つ首のモンスターが私に向かって突進して来る。
「リンネ!」
「ユウタ、また会おう」
どうせユウタのことだ。
逃げずに私と戦おうとするだろう。
ならば、ゲリュオンもろとも私がこの場を離れるまでだ。
「ヘイ! モンスター。追いかけっこしよう!」
私は森の奥へと逃げ込んだ。
◇
メキメキと木がなぎ倒される音が背後から聞こえる。
私への怒りに突き動かされたゲリュオンが追い掛けて来る。
幸運だったのは、かのモンスターの機動力が私より劣るということ。
無理もない。
3つの上半身を支える下半身は一つしかない。
円錐を逆さにした様なフォルムは、バランスが悪い。
それでも何とか私に追いつこうと、周囲の動物を蹴散らしながら怒りの声を上げる。
「しかし、逃げてばかりじゃキリが無い」
ユウタに会う前、高い岩山に昇りこの狩り場を俯瞰した。
「……かと言って、正面切って戦っても勝てる相手では無い」
この森の形状も頭に入れて置いた。
その知識が役に立つ時が来た。
◇
森を抜け出たゲリュオンが辺りを見渡している。
木々が姿を消し、突然開ける視界。
ここは、道の無い行き止まりだ。
青い空が眩しく、崖の下には更に広大な森が広がっている。
ゲリュオンは確かに私を見失っていない。
恐らく、この開けた台地にいる。
ゲリュオンはそう確信している。
「いた!」
ゲリュオンはそう思っただろう。
崖を背にして私は立っている。
阿修羅の様な6本の腕を回転させながら切り掛かって来る。
私は剣、斧、槍の乱舞の餌食となった。
八つ裂きにされ、塵芥となった私の肉片は風に舞った。
だが、それらは風と共に消えて行った。
不思議な現象に、ゲリュオンは3つの首を傾げている。
奴の足跡、気配から、私はそろそろ出番だと推測した。
「それは私の残像だ」
本当の私は奴の足元。
つまり土の中で気配を消し、潜んでいた。
『三分残像』はSPを多く消費するのであまり使いたくなかったが、仕方ない。
ボコリと土から這い出た私は、小太刀でゲリュオンの足首を切り裂く。
「ゴオオ!」
両の足首を失ったゲリュオンは、まるで回転力を失った駒の様にふらついた。
土から抜け出した私のやることは、後一つ。
背後からゲリュオンの背中を蹴り、崖の下に突き落とすことだった。
◇
50メートルはあろうかという崖下に落ちたゲリュオンは、豆粒の様に小さくなっていた。
それでも生きている様で、切り立った崖をよじ登ろうとしている。
しかし、足首を失った身体では登ることも出来ず、無様に滑り落ちている。
「戦闘終了」
モンスターとの一定の距離が取られた場合、戦闘は一旦終了となる。
「……と思ったが、そう甘くは無いか」
私はため息が出た。
目の前に、今、主人の仇を取るべく目をギラつかせた双頭の犬、オルトロスがいた。
つづく
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