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第196話 END
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目の前のエリスは僕が好きだったエリスとは別物になっていた。
頭が10個も在り、髪の毛の代わりに不規則に動く触手が生えている。
身体は毛むくじゃらで腹に巨大な顔がある。
口が裂けた口からは黒い瘴気が吐かれていた。
「エ……エリス!?」
僕はそれでもまだ悪い夢を見ているんだと思った。
目の前の魔物がエリスな訳が無い。
だけど、どうしても既視感が拭えなかった。
あの夜に彼女から裏切られた。
それと似た感覚が僕の全身を駆け巡っている。
「ユウタは私に喰われることで、永遠に一緒になるの」
腹にある裂けた巨大な口が、低くくぐもった声で伝えて来る。
「エリス、僕を驚かさないでくれよ」
「これが真実……」
「うわああ」
無数の触手がのたうちながら僕を絡み取る。
身動きが取れない。
HPが削り取られて行く。
「だっ……だめだ。エリスに奇跡を使うなんて!」
僕の身体が危険を感じ取り、白く光った。
奇跡が発動した。
辺り一面、白くなる。
「ユウ……タァ……」
低く地鳴りの様なうめき声が聞こえる。
良かった。
エリスは生きている。
視界が鮮やかになる。
目の前にいるのは、ボロボロになった魔物だった。
頭は10個から1個になり、無数の触手はチリチリに焼けてちじれていた。
巨大な腹にある口から血を流している。
「殺してやる! この奴隷ウジ虫が!」
僕の記憶がフラッシュバックした。
あの裏切られた夜に引き戻される。
そうだ。
エリスは僕を捨てたんだ。
今更戻って来る訳が無い。
だけど、気付いたときにはもう遅かった。
皆、僕のせいで死んだ。
そして、エリスこと魔王は僕の奇跡でも死ななかった。
僕が使える奇跡はあと一回。
それは僕の死と引き換えに使える。
それで、魔王を倒せることが出来ればいいが、出来なかった時は……。
もう、魔王を倒せる者は誰もいない。
◇
(ユウタ。やっと目が覚めたか。ちょっと気付くのが遅いけどな)
私は安堵した。
ユウタが元の優しい顔に戻っている。
今なら私が魔王にダメージを与え、ユウタが最後の奇跡を発動すれば……
ゾクリ。
震えている?
私はこの期に及んで死を恐れているのか?
勇敢に死んでいったセレスやガイアに笑われるぞ。
(兄者……)
やっぱり不安でたまらない。
(兄者、力をくれ!)
「おいおい、何やってんだよ。お前ら」
背後から聞き慣れた声。
「おい、リンネ。いつまで死んだふりしてんだ。まったく、魔王相手にしょうがねぇなあ」
私の襟首を摘まみ上げ、ひょいと持ち上げたのはタイチだった。
つづく
頭が10個も在り、髪の毛の代わりに不規則に動く触手が生えている。
身体は毛むくじゃらで腹に巨大な顔がある。
口が裂けた口からは黒い瘴気が吐かれていた。
「エ……エリス!?」
僕はそれでもまだ悪い夢を見ているんだと思った。
目の前の魔物がエリスな訳が無い。
だけど、どうしても既視感が拭えなかった。
あの夜に彼女から裏切られた。
それと似た感覚が僕の全身を駆け巡っている。
「ユウタは私に喰われることで、永遠に一緒になるの」
腹にある裂けた巨大な口が、低くくぐもった声で伝えて来る。
「エリス、僕を驚かさないでくれよ」
「これが真実……」
「うわああ」
無数の触手がのたうちながら僕を絡み取る。
身動きが取れない。
HPが削り取られて行く。
「だっ……だめだ。エリスに奇跡を使うなんて!」
僕の身体が危険を感じ取り、白く光った。
奇跡が発動した。
辺り一面、白くなる。
「ユウ……タァ……」
低く地鳴りの様なうめき声が聞こえる。
良かった。
エリスは生きている。
視界が鮮やかになる。
目の前にいるのは、ボロボロになった魔物だった。
頭は10個から1個になり、無数の触手はチリチリに焼けてちじれていた。
巨大な腹にある口から血を流している。
「殺してやる! この奴隷ウジ虫が!」
僕の記憶がフラッシュバックした。
あの裏切られた夜に引き戻される。
そうだ。
エリスは僕を捨てたんだ。
今更戻って来る訳が無い。
だけど、気付いたときにはもう遅かった。
皆、僕のせいで死んだ。
そして、エリスこと魔王は僕の奇跡でも死ななかった。
僕が使える奇跡はあと一回。
それは僕の死と引き換えに使える。
それで、魔王を倒せることが出来ればいいが、出来なかった時は……。
もう、魔王を倒せる者は誰もいない。
◇
(ユウタ。やっと目が覚めたか。ちょっと気付くのが遅いけどな)
私は安堵した。
ユウタが元の優しい顔に戻っている。
今なら私が魔王にダメージを与え、ユウタが最後の奇跡を発動すれば……
ゾクリ。
震えている?
私はこの期に及んで死を恐れているのか?
勇敢に死んでいったセレスやガイアに笑われるぞ。
(兄者……)
やっぱり不安でたまらない。
(兄者、力をくれ!)
「おいおい、何やってんだよ。お前ら」
背後から聞き慣れた声。
「おい、リンネ。いつまで死んだふりしてんだ。まったく、魔王相手にしょうがねぇなあ」
私の襟首を摘まみ上げ、ひょいと持ち上げたのはタイチだった。
つづく
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