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嫌な客
しおりを挟む次の日、僕は後ろ手に手鎖をかけられていた。
目の前で笑う男は荒木さんと言って、今や僕の常連客だ。
予約がとれにくい中、月に何回も予約を入れてくるのは余程気に入ってもらえているのだと思う。
「あー気持ちいいよ、気持ちいい。
蒼くん、蒼くん。綺麗だね、すごいよ」
「……っう、あぁ、は、んん」
中でだらしなく動く男相手にでもしっかり気持ち良くなってしまう。
僕もまた、すっかりおかしいのかもしれない。
途端、パンっと破裂したような音がして、
それからじんじんと頬に痛みがやってくる。
これにも、もう慣れた。
荒木さんは、挿れながら叩いたり、
首を絞めたりするのが、好きだった。
「白い肌が赤くなる。
ああ、中も締まるね。これだけされても萎えないんだ。
ほんと、可愛い」
ーー痛い。
この行為を痛く感じてしまうのは、
きっと、昨日柳瀬さんのような客に合ってしまったからだと思う。
体はうわべだけの優しさなど受けてしまえば、
いくらでも、怠けてしまう物だと思った。
こんなに痛くはなかったと思う。
こんなに、嫌ではなかったと思う。
「蒼くん、どう?ねぇ、気持ちいい?」
「……っは、い」
無理矢理肯定の言葉を述べる。
どこもかしかも感覚が変で、嫌になる。
こうなったのは、
昨日のお茶と、おかゆと、毛布のせい。
柳瀬智という客は、嫌な客だ。
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