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大雨
しおりを挟むーー心臓を握り潰されているかような時間が延々と続き、
気がついたら、雨に打たれていた。
いつ終わって、いつ外に出てきたのかも分からない。
ただ体に残る気だるさと痛みで、
一歩も動きたくないことだけは分かる。
空から落ちてくる一本一本の雨が、まるで剣のように体を刺していくみたいだと思った。
会いたくなかった。
あの人にお仕置きされないようにするために、ベッドでも眠らず、反射的にドアを閉めるような動作をしてきたのに。
何で。どうしてまた、僕の前に。
2年間、会いになんか来なかったくせに。
馴らさずに挿入された場所は裂け、
真っ直ぐ見下ろしてくる冷たい視線に、心が凍るみたいだ。
「蒼さん!」
雨音の中で、薄らと声が聞こえた。
神崎さんの車が目の前にあって、機械的にそこに乗り込む。
「何してるんですか。電話いただけたら玄関に車止めると言ったでしょう。
ずぶ濡れじゃないですか」
「……うん」
「目が腫れていますね。
今日の客は酷かったのですか」
車に常備しているのか、タオルが渡される。
車のシートが濡れるのを、多少申し訳ないとも思う。
「……別に。内容は、とりわけ酷い訳ではなかった」
「明日は体調不良ということでキャンセルしますね。
明日予約が入っている方には私から連絡をします」
「いや、良い。大丈夫」
仕事を休む、ということは、これまでも殆どしたことがなかった。
多少の熱では切り出さなかった神崎さんがそんなことを言うのは、
僕は今、相当酷い顔をしているのだろうか。
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