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仕事
しおりを挟む部屋の中を温めて待っていると、インターホンが鳴った。
気のせいだろうが、少し弱々しい音のようにも聞こえる。
ドアを開けたら、蒼は少し俯いた。
表情があまり優れない、と思う。
「入って。お茶入れるから」
冷蔵庫を開けてお茶を入れるが、一向に蒼が入ってこない。
「どうした?」
「……や、柳瀬さん」
声は少し震えていて、動揺しているみたいだ。
「具合でも悪い?」
首を振る蒼が、床をゆっくりと指差す。
その先にはみぃが座っていて、蒼を見上げている。
「あーその白猫、拾ったんだ。
みぃって名付けた」
みぃがひとつ鳴くと、蒼はびくっと震えた。
「……ねこさん。あまり、会ったことなくて」
「苦手?」
「苦手じゃない、と思う。かわいい」
そっとしゃがみ込んだ蒼だったが、みぃが立ち上がるとまた肩を震わせて身を引く。
「ご、ごめんね?」
「何謝ってんの?」
「みぃさんが、気を使って道を開けようとしてくれてるのかなって」
みぃがそこに居たから、入れなかったようだ。
そもそも、猫に対してさん付けは、さすがに笑ってしまう。
まるで、臆病な子どもが初めて出会う動物に警戒を隠せないみたい。
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