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思い出
しおりを挟む映画館は、思ったよりもずっと広かった。
エレベータを上がった最上階で、人もそれなりにいる。
入ってすぐのところにはお土産コーナーがあり、
現在上映されている映画のグッズが並べられていた。
「チケット貰ってくる。その辺見てな」
頷いて辺りを見渡せば、視線の先に子ぎつねのぬいぐるみを見つけ、思わず手に取る。
両手の平に乗せると少しはみ出してしまうくらいの大きさで、
落ち葉を抱き抱えていた。
ふわふわと柔らかく、可愛い。
「はい」
柳瀬さんの声がして、慌ててぬいぐるみを商品棚に戻した。
「これ、蒼のチケット」
チケットには、"コンと少年2"と印字されている。
コンと言うのは、子ぎつねの名前だった。
「ポップコーンと飲み物買いに行こうか」
頷くと、少し先導して柳瀬さんが歩く。
周りには男女のカップルや家族が多くいて、
幸せを掴んだ姿なのだろうと思う。
柳瀬さんは、僕と来て良かったのだろうか。
「何味が好き?」
「食べたことないかも……」
「そっか。じゃあまずは普通のにしよう。飲み物は?」
「……お茶?」
「もしかして、ジュースとかあまり飲んだことない?」
「そういえば、そうかも」
「ほんと、どんな生活してきたの?
飲んでみなよ。りんごジュースも頼んでおくから 。
無理だったらお茶にしな」
列に並んで一緒に食べ物を買うというのは、何だか心がむずむずする。
購入を終えたところで、女性の綺麗な声でアナウンスが入る。
館内へ入場できるようになったようだ。
「お話、分かるかな……前回眠ってしまったから」
「大丈夫だよ。殆ど最後まで見てたから」
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