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思い出
しおりを挟む神崎さんに連絡を入れたら、
近くで待機してくれていたようですぐに迎えに来てくれた。
今まで神崎さんがお客さんを車に一緒に乗せるようなことはなかったのに。
「柳瀬さん、家の前で良いですか?」
「わざわざすみません。
ところで神崎さん、次回予約の時に水族館とかも行きたいのですが、良いですか?」
次は水族館へ行くなどという柳瀬さんに、驚く。
僕にはあまり縁のなかった施設にまた行こうというのだ。
「でしたら、明後日くらいはどうですか?
蒼については、1週間程他の予約をキャンセルしているので」
神崎さんの言葉に思わず反論してしまいそうになるが、
柳瀬さんがいる手前何も言えない。
何を勝手に話を進めているのだろう。
そして、1週間も全予約をキャンセルしているとは何事だろうか。
確かに昨日は、急に立花さんに会って混乱もしたが、
今はそれなりに落ち着けてはいるのに。
これではまるで、神崎さんが柳瀬さんを特別扱いしているみたいだ。
「明後日か、蒼、良い?」
柔らかい表情で尋ねられて、首を振ることが出来なくなる。
また、新しいことが知れるかもしれない。
そう思うと、何故か心が高揚してしまう自分もいた。
「……うん」
ひとつだけ頷くと、柳瀬さんが笑う。
その笑顔は、よく分からなくなるから止めてほしい。
「駅で待ち合わせようか。
水族館も、電車に乗るから」
断ることもできず、ただただ頷く。
車が柳瀬さんの家の前に止まると、
不器用ながら今日のお礼を言って彼と別れた。
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