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第4話 カルノーサ・リリリコ
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目が覚めるとアーゲラは、ベッドの上に横たわっていた。体を起こそうとしたら全身に激痛が走り、思わず声を上げた。
「いっ!!!った、、、」
「アーゲラ!よかったあぁ。」
部屋の隅にいたエノコの心配している声。エノコが涙を流している理由がアーゲラにはわからなかった。
「エノコ、どう、しました?」
「バカ。心配したんだからね。3日間も起きないで、わたし、、、」
「3日も?あ、そうか。無事だったんですね。良かった。」
なぜ激痛が走ったのかわからなかったが、包帯でぐるぐる巻きになっている両腕が視界に入り、怪異とのことを思い出す。記憶は定かではないが、生きているならそれでいい。
「今、みんなを呼んでくるね。みんな心配してたんだから。」
エノコはそう言い涙をぬぐいながら部屋を出て、みんなを呼びに行った。少ししたら、司祭と男の子たちが走ってやってきた。
「アーゲラさん!」
「「お兄ちゃん!」」
男の子たちは少年に抱きつき、泣きながらアーゲラに謝り続ける。意識が戻ったとはいえケガだらけの体に障るのではないのかとアーゲラを心配して狼狽する司祭。アーゲラは顔を引きつりながらも笑って見せる。その様子に司祭は一度視線を外し、ぎゅっと口を結んだあと再度目線をアーゲラに合わせて、深く頭を下げた。聖職者として生きている以上誰しもが危険など百も承知だろう、しかしそうしたい気持ちもそうする意味も理解できる。それでも謝罪ではなく、感謝をしてほしかったと望んでしまうから、その姿を直視できなかった。アーゲラはまるで自分にそうするかのように泣き叫ぶ男の子の頭をそっと撫でた。
「すみません、少しよろしいですか?」
声の方に視線を向けると部屋に二人の見知らぬ男が入ってきた。一人は声の主で一回り程上の年齢に見える男性。もう一人は自分と同世代だと思われる少年、アーゲラは素性を訪ねようと思ったとき、エノコからの紹介があった。
「あ!この人だよ!私たちを助けてくれたの!!」
エノコが同世代と思われる少年に手を向けてそう言った。“助けてくれた人?“アーゲラの頭に浮かんだ疑問はすぐに消え、怪異から自分たちを守ってくれた人なんだろうと推察できた。
「怪異から守ってくれた人ですか?」
「まあ、っすね。」
少年は少し言葉を澱ませながら同意した。それならばと、感謝の意を述べようとしたとき、少年が勢いよく頭を下げた。
「すいませんでした!!!」
理解ができず慌てるアーゲラ。“頭をあげてもらおう“とか”“なぜそうするのか”と尋ねようとしたが、体に走る痛みで喋ることができなかった。
「いっ!いたたた。」
頭をあげた少年はアーゲラの様子に、自分の体を労わるように諭す。
「ああ、急に動こうとすると身体に触るっすよ。」
体の痛みに耐えながらアーゲラは「どうして、謝るのですか?」と尋ねると、男は頭を搔きながら申し訳なさそうに語った。
「実は自分なんっすよ、向こうからこっちに逃がしたの。」
「むこうから??」
少年はアーゲラの疑問の意図を思い出し、改めて説明を始めた
「ああ、エノコちゃんも〈黒夜〉のこと知らなかったっすもんね。」少年は「そうですね、私も。」と答え、説明を求める。
「〈黒夜〉ってのは、簡単に言えばもう一つの世界のことっすね。人によっては世界の裏側とかっていう人もいるっす。」
「はあ。」
「まあ、すぐに理解するのは難しいっすよね。自分もあんまちゃんとはわかってないっす。まあ怪異が生活してる場所ってイメージで理解してもらえれば!」
「そう、ですか。」
「はい!どっちにしろ明確なことはよくわかってないで。ただ、もう一つの世界があるってこと以外に、狂暴化している怪異が多くいるってことが知られてます。」
「でそこから逃げてきた。と?」
「お、すごいっすね!理解早いっす。そうっす、自分が仕留めたと思っていた怪異が生きていて、こっちの世界に逃げてきちゃったんすよ。なんで、本当にすいませんでした。」
少年はもう一度アーゲラに頭を下げた。
「はい、わかりました。とは言え生きているので感謝しかありません。ありがとうございました。」
「すみません、聞きたいことがあるのですが良いですか?」
「自分に答えられることであれば。」
「あなたはなぜ黒夜と呼ばれる場所に居たのですか?」
「ああ。自分もお兄さん方と同じ天使の足音に所属している聖職者なんすよ。ただちょっと役割が違ってて、自分らは黒夜の調査と怪異の討伐を主に活動してるんす。なんで、向こうに居たって感じっす。」
「なるほど。」
「そうっす。ほかに聞きたいことあります?」
アーゲラはエノコや司祭のほうを見る。司祭はゆっくりと頷いており、エノコは「私ももう聞いたから大丈夫」とアーゲラに伝えた。それならと、アーゲラは少年に「はい大丈夫です。」と答える。少年はニコッと微笑むと思い出したように自己紹介を始めた。
「そうだ。自己紹介がまだだったすね。自分、“カルノーサ・リリリコ“って言います。よろしくお願いしますっ」カルノーサは体をかがめ、少年が手を握りやすいように差し出した。
「アーゲラ、バウルスです。」アーゲラはぎこちない口調でゆっくりとカルノーサの手を握った。
「よろしくっす、アーゲラ。」
「いっ!!!った、、、」
「アーゲラ!よかったあぁ。」
部屋の隅にいたエノコの心配している声。エノコが涙を流している理由がアーゲラにはわからなかった。
「エノコ、どう、しました?」
「バカ。心配したんだからね。3日間も起きないで、わたし、、、」
「3日も?あ、そうか。無事だったんですね。良かった。」
なぜ激痛が走ったのかわからなかったが、包帯でぐるぐる巻きになっている両腕が視界に入り、怪異とのことを思い出す。記憶は定かではないが、生きているならそれでいい。
「今、みんなを呼んでくるね。みんな心配してたんだから。」
エノコはそう言い涙をぬぐいながら部屋を出て、みんなを呼びに行った。少ししたら、司祭と男の子たちが走ってやってきた。
「アーゲラさん!」
「「お兄ちゃん!」」
男の子たちは少年に抱きつき、泣きながらアーゲラに謝り続ける。意識が戻ったとはいえケガだらけの体に障るのではないのかとアーゲラを心配して狼狽する司祭。アーゲラは顔を引きつりながらも笑って見せる。その様子に司祭は一度視線を外し、ぎゅっと口を結んだあと再度目線をアーゲラに合わせて、深く頭を下げた。聖職者として生きている以上誰しもが危険など百も承知だろう、しかしそうしたい気持ちもそうする意味も理解できる。それでも謝罪ではなく、感謝をしてほしかったと望んでしまうから、その姿を直視できなかった。アーゲラはまるで自分にそうするかのように泣き叫ぶ男の子の頭をそっと撫でた。
「すみません、少しよろしいですか?」
声の方に視線を向けると部屋に二人の見知らぬ男が入ってきた。一人は声の主で一回り程上の年齢に見える男性。もう一人は自分と同世代だと思われる少年、アーゲラは素性を訪ねようと思ったとき、エノコからの紹介があった。
「あ!この人だよ!私たちを助けてくれたの!!」
エノコが同世代と思われる少年に手を向けてそう言った。“助けてくれた人?“アーゲラの頭に浮かんだ疑問はすぐに消え、怪異から自分たちを守ってくれた人なんだろうと推察できた。
「怪異から守ってくれた人ですか?」
「まあ、っすね。」
少年は少し言葉を澱ませながら同意した。それならばと、感謝の意を述べようとしたとき、少年が勢いよく頭を下げた。
「すいませんでした!!!」
理解ができず慌てるアーゲラ。“頭をあげてもらおう“とか”“なぜそうするのか”と尋ねようとしたが、体に走る痛みで喋ることができなかった。
「いっ!いたたた。」
頭をあげた少年はアーゲラの様子に、自分の体を労わるように諭す。
「ああ、急に動こうとすると身体に触るっすよ。」
体の痛みに耐えながらアーゲラは「どうして、謝るのですか?」と尋ねると、男は頭を搔きながら申し訳なさそうに語った。
「実は自分なんっすよ、向こうからこっちに逃がしたの。」
「むこうから??」
少年はアーゲラの疑問の意図を思い出し、改めて説明を始めた
「ああ、エノコちゃんも〈黒夜〉のこと知らなかったっすもんね。」少年は「そうですね、私も。」と答え、説明を求める。
「〈黒夜〉ってのは、簡単に言えばもう一つの世界のことっすね。人によっては世界の裏側とかっていう人もいるっす。」
「はあ。」
「まあ、すぐに理解するのは難しいっすよね。自分もあんまちゃんとはわかってないっす。まあ怪異が生活してる場所ってイメージで理解してもらえれば!」
「そう、ですか。」
「はい!どっちにしろ明確なことはよくわかってないで。ただ、もう一つの世界があるってこと以外に、狂暴化している怪異が多くいるってことが知られてます。」
「でそこから逃げてきた。と?」
「お、すごいっすね!理解早いっす。そうっす、自分が仕留めたと思っていた怪異が生きていて、こっちの世界に逃げてきちゃったんすよ。なんで、本当にすいませんでした。」
少年はもう一度アーゲラに頭を下げた。
「はい、わかりました。とは言え生きているので感謝しかありません。ありがとうございました。」
「すみません、聞きたいことがあるのですが良いですか?」
「自分に答えられることであれば。」
「あなたはなぜ黒夜と呼ばれる場所に居たのですか?」
「ああ。自分もお兄さん方と同じ天使の足音に所属している聖職者なんすよ。ただちょっと役割が違ってて、自分らは黒夜の調査と怪異の討伐を主に活動してるんす。なんで、向こうに居たって感じっす。」
「なるほど。」
「そうっす。ほかに聞きたいことあります?」
アーゲラはエノコや司祭のほうを見る。司祭はゆっくりと頷いており、エノコは「私ももう聞いたから大丈夫」とアーゲラに伝えた。それならと、アーゲラは少年に「はい大丈夫です。」と答える。少年はニコッと微笑むと思い出したように自己紹介を始めた。
「そうだ。自己紹介がまだだったすね。自分、“カルノーサ・リリリコ“って言います。よろしくお願いしますっ」カルノーサは体をかがめ、少年が手を握りやすいように差し出した。
「アーゲラ、バウルスです。」アーゲラはぎこちない口調でゆっくりとカルノーサの手を握った。
「よろしくっす、アーゲラ。」
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