170 / 548
第170話 始動・パンダ工房
しおりを挟む
ここは『オルガライドの街』の中央にある大広場。
ボクが毎日ガールハントに明け暮れていた思い出の地だ。
こんな言い方だとナンパ野郎と思われるかもしれないけど、ガールハントというのはそんな軽い気持ちでやるような甘いモノではない。
全身全霊を込めて場を支配し、お姉さん達に食い物を奢ってもらわなければならないのだ。
失敗は死あるのみ。
って、ボクはなぜガールハントの辛い思い出に浸っているのだ!?
今日はライガーさん達の様子を見に来たんじゃないか。
「クーヤ、あそこ!」
タマねえの指差す方向を見ると、4人家族っぽい人達と会話しているライガーさんの姿が見えた。おそらくお客さんだろう。
「よしリリカちゃん、ライガーさんの近くまで行くよ!」
「らいがーさん?あーーーーーっ!ぱんだこーぼー!!」
魔物のスタンピードがあった時に、お母さんとリリカちゃんはパンダ工房に避難していたので、ライガーさんとは面識があるのです。
あそこは筋骨隆々の職人揃いだけど、子供に優しい人ばかりなので、リリカちゃんはみんなに可愛がってもらっていたみたいですよ!
とててててててて
急いで駆けつけたんだけど、もうすでに4人家族のお客さんは馬車に乗り込んでいて、発車寸前という状態だった。
いや、馬車じゃなくて『パンダ車』でした。
馬の代わりにパンダ社長が車を引いて歩くのですよ!
「あれ?クーヤ達じゃないか!悪いがお客さんが中に乗ってるんで、ちょっと行って来る!」
「あいあいさーーー!パンダ社長も頑張ってねーーーーー!」
『ブモ!』
勇ましい返事をして出発したパンダ車だけど、その歩みは滅茶苦茶遅かった。
でもパンダ車ってのは、大広場周辺をぐるっと一周して帰って来るだけの乗り物なので、目立ちながらお客さんを楽しませればそれでいいのだ。
「みなさーん!『パンダ工房』の馬車はいかがでしょうか!最新式で全然揺れない、本当に凄い馬車なんですよ~」
「本日は試乗することも出来ますので、気になる方はこちらへどうぞーーー!」
元気ハツラツな声を出しているのは、もちろんラン姉ちゃん率いる営業班だ。みんな可愛いらしい制服を着ているので、めちゃめちゃ華やかですごく目立っている。
近くには見た目的にも高級そうな馬車が何台も置いてあって、ベイダーさんと数人の従業員がお客さんの対応をしていた。
「これは間違いなく売れまくる」
「うん。華やかさが桁違いだもん!今すぐ馬車が買えるような大金を持ってる人はいないだろうけど、パンダ工房に人が雪崩れ込んで来るかもね!」
「わああああああ~~~~~~~~!すごいすごーーーーーーーーーい!」
あっ!ここは街の中央だから、その辺でカードからお金を引き出して衝動買いしていく人も結構いるかもだね。テントがいくつか設置してあるので、そこで契約書を書いたりするのかな?
大広場の目立つ一等地を借りた時点で、パンダ工房は勝負に出たということだ。何日続けるのかは知らんけど、このパフォーマンスで馬車が売れないわけがない。
この日の為に、歯を食いしばりながら作りまくった馬車を、一斉放出する時が来たのですよ!
「お?クーヤじゃねえか。学園は・・・もう終わってる時間か!」
「やっぱ今日のイベントは見逃せないっしょ!」
「タマちゃんとリリカちゃんも見に来たんだね~」
レオナねえ、アイリスお姉ちゃん、ナナお姉ちゃんの三人も来ていたようだ。
「パンダ工房の大勝負の日なんだから、見逃せるわけないです!」
「いっぱい売れたらお金持ちだって言ってた」
「それは報告しないでいいです!いや、期待はしてますけど!」
「「わーーーーーっはっはっはっはっはっはっは!」」
『近々大金が手に入る』だと死亡フラグになるから、気を付けなきゃダメですよ?この世界の死亡フラグはマジで危険なのだ。
でも特許って、そこまで大金が入るわけじゃないんだよな~。
馬車一台でサスペンション4本使うにしても、せいぜい10万円ってとこだよね?
なのでボクに入って来る金額は、特許使用料が3%なら3000円、10%なら10000円って感じだと思う。よく分からないから、その辺の取り決めはライガーさんに丸投げしてるのだ。
でも何もしないでお金がポコポコ入って来るんだから、安かろうが全然問題無いっス!消耗品じゃないから、サスペンションじゃそこまで稼げないと思ってたし。
そういや、ハンバーグやメメトンカツの特許はどうしようかな?そっちで儲けたいなら、動き出すと同時に特許を取った方がいいような気もする。
しかしブームの火付け役にならんと絶対大損こくよな~。
あ~もう!よく分からんから商売とかホント嫌い!!コレも誰かに丸投げしよう!
************************************************************
「みんなお疲れ様ーーーーーーーーーーーーーー!」
「「お疲れ様でした!!」」
夕方になり、さすがにもう十分だろうってことで、馬車の初売りは終了した。
何台売れたのかは聞いてないけど、少なくともそこに置いてあった馬車は全部無くなっている。おそらく予約も凄いことになっているのではないでしょうか?
「ねえねえラン姉ちゃん!何台くらい売れたの?」
ちょっと疲れた顔をしていたラン姉ちゃんだったが、ショタのその言葉を聞き不敵に笑った。
「1日で10台以上よ!それ以外にも、パンダ工房でゆっくり馬車を見てから買いたいって人が大勢いたわ!」
「「おおおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~!!」」
馬車って新車並みの値段が付いたヤツとかもあったハズなのに、かなりの快挙なんじゃないの!?
「すごいすごい!馬車の性能もそうなんだけど、お姉ちゃん達とパンダ社長のおかげかもしれないね!」
ショタの一言に、孤児院出身の女の子達も笑顔になった。
「可愛い制服で揃えたのは大正解ね!お客さんに滅茶苦茶ナンパされたわ・・・」
「え?そんなにすごかったの?」
ラン姉ちゃんだけじゃなく、営業班全員がウンウン頷いている。
やっぱり可愛いは正義ですね!しかしそこまで効果があるとは・・・。
「何人もの女性客からどこで服を買ったのか聞かれたんで、しっかり『シェミール』の宣伝もしておいたわよ!」
「おーーーーーーーーーーーー!お客さんが押し寄せて来て、クリスお姉ちゃんも大変なことになりそうですね!でもきっと喜んでくれるよ!!」
こりゃあ革命が起きますよ?
もう手遅れかもしれないけど、帰ったらクリスお姉ちゃんに伝えよう。
・・・とまあ、そんな感じで馬車の初売りは大成功に終わりました!
これでパンダ工房の名は、一気にオルガライドに知れ渡ることでしょう。
あとは、変な揉め事が発生しないことを祈るしかないね。
場合によってはクーヤちゃん自ら出動して、キツいヤキをぶち込んでやりますぞ!
ボクが毎日ガールハントに明け暮れていた思い出の地だ。
こんな言い方だとナンパ野郎と思われるかもしれないけど、ガールハントというのはそんな軽い気持ちでやるような甘いモノではない。
全身全霊を込めて場を支配し、お姉さん達に食い物を奢ってもらわなければならないのだ。
失敗は死あるのみ。
って、ボクはなぜガールハントの辛い思い出に浸っているのだ!?
今日はライガーさん達の様子を見に来たんじゃないか。
「クーヤ、あそこ!」
タマねえの指差す方向を見ると、4人家族っぽい人達と会話しているライガーさんの姿が見えた。おそらくお客さんだろう。
「よしリリカちゃん、ライガーさんの近くまで行くよ!」
「らいがーさん?あーーーーーっ!ぱんだこーぼー!!」
魔物のスタンピードがあった時に、お母さんとリリカちゃんはパンダ工房に避難していたので、ライガーさんとは面識があるのです。
あそこは筋骨隆々の職人揃いだけど、子供に優しい人ばかりなので、リリカちゃんはみんなに可愛がってもらっていたみたいですよ!
とててててててて
急いで駆けつけたんだけど、もうすでに4人家族のお客さんは馬車に乗り込んでいて、発車寸前という状態だった。
いや、馬車じゃなくて『パンダ車』でした。
馬の代わりにパンダ社長が車を引いて歩くのですよ!
「あれ?クーヤ達じゃないか!悪いがお客さんが中に乗ってるんで、ちょっと行って来る!」
「あいあいさーーー!パンダ社長も頑張ってねーーーーー!」
『ブモ!』
勇ましい返事をして出発したパンダ車だけど、その歩みは滅茶苦茶遅かった。
でもパンダ車ってのは、大広場周辺をぐるっと一周して帰って来るだけの乗り物なので、目立ちながらお客さんを楽しませればそれでいいのだ。
「みなさーん!『パンダ工房』の馬車はいかがでしょうか!最新式で全然揺れない、本当に凄い馬車なんですよ~」
「本日は試乗することも出来ますので、気になる方はこちらへどうぞーーー!」
元気ハツラツな声を出しているのは、もちろんラン姉ちゃん率いる営業班だ。みんな可愛いらしい制服を着ているので、めちゃめちゃ華やかですごく目立っている。
近くには見た目的にも高級そうな馬車が何台も置いてあって、ベイダーさんと数人の従業員がお客さんの対応をしていた。
「これは間違いなく売れまくる」
「うん。華やかさが桁違いだもん!今すぐ馬車が買えるような大金を持ってる人はいないだろうけど、パンダ工房に人が雪崩れ込んで来るかもね!」
「わああああああ~~~~~~~~!すごいすごーーーーーーーーーい!」
あっ!ここは街の中央だから、その辺でカードからお金を引き出して衝動買いしていく人も結構いるかもだね。テントがいくつか設置してあるので、そこで契約書を書いたりするのかな?
大広場の目立つ一等地を借りた時点で、パンダ工房は勝負に出たということだ。何日続けるのかは知らんけど、このパフォーマンスで馬車が売れないわけがない。
この日の為に、歯を食いしばりながら作りまくった馬車を、一斉放出する時が来たのですよ!
「お?クーヤじゃねえか。学園は・・・もう終わってる時間か!」
「やっぱ今日のイベントは見逃せないっしょ!」
「タマちゃんとリリカちゃんも見に来たんだね~」
レオナねえ、アイリスお姉ちゃん、ナナお姉ちゃんの三人も来ていたようだ。
「パンダ工房の大勝負の日なんだから、見逃せるわけないです!」
「いっぱい売れたらお金持ちだって言ってた」
「それは報告しないでいいです!いや、期待はしてますけど!」
「「わーーーーーっはっはっはっはっはっはっは!」」
『近々大金が手に入る』だと死亡フラグになるから、気を付けなきゃダメですよ?この世界の死亡フラグはマジで危険なのだ。
でも特許って、そこまで大金が入るわけじゃないんだよな~。
馬車一台でサスペンション4本使うにしても、せいぜい10万円ってとこだよね?
なのでボクに入って来る金額は、特許使用料が3%なら3000円、10%なら10000円って感じだと思う。よく分からないから、その辺の取り決めはライガーさんに丸投げしてるのだ。
でも何もしないでお金がポコポコ入って来るんだから、安かろうが全然問題無いっス!消耗品じゃないから、サスペンションじゃそこまで稼げないと思ってたし。
そういや、ハンバーグやメメトンカツの特許はどうしようかな?そっちで儲けたいなら、動き出すと同時に特許を取った方がいいような気もする。
しかしブームの火付け役にならんと絶対大損こくよな~。
あ~もう!よく分からんから商売とかホント嫌い!!コレも誰かに丸投げしよう!
************************************************************
「みんなお疲れ様ーーーーーーーーーーーーーー!」
「「お疲れ様でした!!」」
夕方になり、さすがにもう十分だろうってことで、馬車の初売りは終了した。
何台売れたのかは聞いてないけど、少なくともそこに置いてあった馬車は全部無くなっている。おそらく予約も凄いことになっているのではないでしょうか?
「ねえねえラン姉ちゃん!何台くらい売れたの?」
ちょっと疲れた顔をしていたラン姉ちゃんだったが、ショタのその言葉を聞き不敵に笑った。
「1日で10台以上よ!それ以外にも、パンダ工房でゆっくり馬車を見てから買いたいって人が大勢いたわ!」
「「おおおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~!!」」
馬車って新車並みの値段が付いたヤツとかもあったハズなのに、かなりの快挙なんじゃないの!?
「すごいすごい!馬車の性能もそうなんだけど、お姉ちゃん達とパンダ社長のおかげかもしれないね!」
ショタの一言に、孤児院出身の女の子達も笑顔になった。
「可愛い制服で揃えたのは大正解ね!お客さんに滅茶苦茶ナンパされたわ・・・」
「え?そんなにすごかったの?」
ラン姉ちゃんだけじゃなく、営業班全員がウンウン頷いている。
やっぱり可愛いは正義ですね!しかしそこまで効果があるとは・・・。
「何人もの女性客からどこで服を買ったのか聞かれたんで、しっかり『シェミール』の宣伝もしておいたわよ!」
「おーーーーーーーーーーーー!お客さんが押し寄せて来て、クリスお姉ちゃんも大変なことになりそうですね!でもきっと喜んでくれるよ!!」
こりゃあ革命が起きますよ?
もう手遅れかもしれないけど、帰ったらクリスお姉ちゃんに伝えよう。
・・・とまあ、そんな感じで馬車の初売りは大成功に終わりました!
これでパンダ工房の名は、一気にオルガライドに知れ渡ることでしょう。
あとは、変な揉め事が発生しないことを祈るしかないね。
場合によってはクーヤちゃん自ら出動して、キツいヤキをぶち込んでやりますぞ!
35
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる